妊娠後期に入り、お腹の赤ちゃんとの対面が近づくにつれて、体にはさまざまな変化が起こります。その一つに、脈拍が速くなる「動悸」を感じることがあります。特に、脈拍が1分間に120回にもなると、「これって大丈夫なの?」と不安になりますよね。本記事では、妊娠後期に脈拍が速くなる原因から、ご自身でできる対処法、そして医療機関を受診する目安まで、詳しく解説します。
あなたの不安を少しでも和らげ、安心してマタニティライフを過ごせるよう、一緒に見ていきましょう。
妊娠後期に脈拍が速くなるのはなぜ?体の変化を知ろう

妊娠後期になると、お母さんの体は赤ちゃんを育み、出産に備えるために大きく変化します。この時期に脈拍が速くなるのは、多くの場合、こうした生理的な変化によるものです。しかし、その背景にはいくつかの要因が考えられます。
妊娠中の脈拍、正常値の目安とは
一般的に、成人の安静時の脈拍数は1分間に60~100回が正常とされています。しかし、妊婦さんの脈拍は、妊娠後期までに普段よりも20%ほど増加し、80~90回になることがよくあります。中には100回を超える頻脈になる方もいます。これは、妊娠によって心臓がより多くの血液を全身に送り出す必要があるためです。
妊娠中の脈拍は、非妊娠時よりも高くなるのが自然な体の変化と理解しておきましょう。
妊娠後期に脈拍が上がる主な原因
妊娠後期に脈拍が上がる原因は、主に以下の3つが挙げられます。これらの要因が複合的に影響し、動悸や息切れとして感じられることがあります。
血液量の増加と心臓への負担
妊娠すると、お腹の赤ちゃんに酸素や栄養を届けるために、お母さんの血液量が大幅に増加します。妊娠前と比べて約1.4倍、最大で50%近くも増えると言われています。 この増えた血液を全身に送り出すため、心臓は普段よりも活発に働く必要があり、その結果、脈拍が速くなるのです。心臓への負担が増すことで、動悸を感じやすくなります。
ホルモンバランスの変化
妊娠中は、女性ホルモンの一つであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増加します。このホルモンは、体温を高く保つ働きがあるだけでなく、自律神経のバランスにも影響を与えることがあります。自律神経の乱れは、脈拍の増加や動悸を引き起こす原因となることがあります。
子宮の増大による影響
妊娠後期になると、赤ちゃんが大きく成長し、子宮もそれに伴って大きく膨らみます。この大きくなった子宮が、心臓や肺、横隔膜を物理的に圧迫することがあります。 肺が圧迫されると呼吸が浅くなり、酸素を取り込む効率が低下するため、心臓はより多くの血液を送り出そうと脈拍を速めます。また、下半身から心臓に戻る血管が圧迫されることで、血液の流れが滞り、心臓に負担がかかることも動悸の原因となります。
脈拍120は心配?危険なサインと見極めるポイント

妊娠後期に脈拍が120回になるのは、生理的な変化によるものが多いですが、中には注意が必要なケースもあります。ご自身の症状をよく観察し、危険なサインを見逃さないことが大切です。
脈拍が速いだけなら心配ないケース
安静時でも脈拍が120回程度になることは、妊娠中の生理的な変化として起こり得ます。特に、動悸や息切れ以外の症状がなく、一時的なものであれば、過度に心配する必要はないでしょう。 妊娠中は、少し動いただけでも心臓に負担がかかりやすいため、普段よりも脈拍が速くなるのは自然なことです。また、ストレスや緊張によっても脈拍は一時的に上昇することがあります。
すぐに病院を受診すべき危険な症状
脈拍が速いことに加えて、以下のような症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。これらの症状は、貧血や心疾患、感染症など、何らかの病気が隠れている可能性を示唆しています。
動悸や息切れがひどい場合
安静にしていても動悸や息切れが治まらない、あるいは徐々に悪化している場合は注意が必要です。特に、少し動くだけでひどい動悸や息切れを感じる場合は、心臓に大きな負担がかかっている可能性があります。 日常生活に支障が出るほどの動悸や息切れは、医師に相談するべきサインです。
胸の痛みやめまいを伴う場合
脈拍が速いことに加えて、胸の痛みや圧迫感、めまい、立ちくらみ、ふらつきなどの症状がある場合は、心臓や循環器系の問題が考えられます。 これらの症状は、心不全や不整脈などの重篤な病気の兆候である可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。
意識が遠のく、失神しそうな場合
脈拍の速さに伴い、意識が遠のく感じや、実際に失神してしまうような場合は、非常に危険な状態です。脳への血流が一時的に不足している可能性があり、早急な医療介入が必要です。このような症状が見られた場合は、迷わず救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診しましょう。
妊娠後期に脈拍が速いと感じた時の対処法

妊娠後期に脈拍が速いと感じたとき、まずは落ち着いてご自身の状態を確認することが大切です。心配のない範囲であれば、ご自宅でできるセルフケアで症状を和らげることができます。しかし、不安な症状がある場合は、迷わず医師や助産師に相談しましょう。
自宅でできるセルフケア
脈拍が速いと感じたときに、ご自宅で試せる対処法をいくつかご紹介します。これらの方法は、心臓への負担を減らし、リラックス効果を高めることで、症状の緩和につながります。
安静にして体を休める
動悸や息切れを感じたら、まずは無理せず安静にすることが最も重要です。横になったり、座ったりして体を休めましょう。特に、左側を下にして横向きに寝る「シムス位」は、大きくなった子宮が下大静脈を圧迫するのを防ぎ、血流を良くする効果が期待できます。 体を休めることで、心臓への負担を軽減し、脈拍を落ち着かせることができます。
水分補給をこまめに行う
脱水は、血液の粘度を高め、心臓に負担をかける原因となることがあります。意識的に水分をこまめに摂ることで、血液の循環をスムーズにし、動悸の緩和につながります。カフェインを含む飲み物は避け、水やお茶などを選びましょう。
リラックスできる環境を作る
ストレスや不安は、自律神経の乱れを引き起こし、脈拍を速める原因となります。深呼吸をしたり、好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするなど、ご自身がリラックスできる方法を見つけて実践しましょう。 腹式呼吸は、副交感神経を優位にし、心拍数を落ち着かせるのに役立ちます。
医師や助産師に相談するタイミング
ご自宅でのセルフケアを試しても症状が改善しない場合や、以下のような状況では、早めに医師や助産師に相談することが大切です。
- 脈拍が120回以上が続き、安静にしても改善しない場合
- 動悸や息切れがひどくなり、日常生活に支障が出ている場合
- 胸の痛み、めまい、ふらつき、意識が遠のくなどの症状を伴う場合
- 発熱や腹痛など、他の症状も同時に現れている場合
- 貧血の症状(顔色が悪い、だるさなど)が強い場合
- 不安が強く、精神的に落ち着かない場合
これらの症状は、単なる生理的な変化だけでなく、貧血、甲状腺機能亢進症、不整脈、心不全などの病気が隠れている可能性もあります。 医師や助産師は、あなたの症状を詳しく聞き、必要に応じて心電図検査や血液検査などを行い、適切な診断と治療方針を提案してくれます。安心して出産を迎えるためにも、気になることは遠慮なく相談しましょう。
よくある質問

- 妊娠後期で脈拍が速いのはなぜですか?
- 妊娠後期で脈拍が120は異常ですか?
- 妊娠後期で動悸がする原因は何ですか?
- 妊娠後期で息苦しい時はどうすればいいですか?
- 妊娠後期で脈拍が速い場合、病院に行くべきですか?
妊娠後期で脈拍が速いのはなぜですか?
妊娠後期に脈拍が速くなるのは、主に以下の生理的な変化が原因です。赤ちゃんに十分な血液を送るために血液量が増加し、心臓がより活発に働く必要があります。また、大きくなった子宮が心臓や肺を圧迫することや、ホルモンバランスの変化も影響します。
妊娠後期で脈拍が120は異常ですか?
妊娠後期に脈拍が120回になることは、必ずしも異常とは限りません。妊娠中は非妊娠時よりも脈拍が速くなるのが一般的で、100回を超える頻脈になる方もいます。しかし、胸の痛みやめまい、息切れがひどいなど、他の症状を伴う場合は、医療機関を受診して相談することをおすすめします。
妊娠後期で動悸がする原因は何ですか?
妊娠後期に動悸がする主な原因は、妊娠による血液量の増加、心臓への負担増大、ホルモンバランスの変化、そして大きくなった子宮による心臓や肺の圧迫です。貧血も動悸の原因となることがあります。
妊娠後期で息苦しい時はどうすればいいですか?
妊娠後期に息苦しさを感じたら、まずは楽な姿勢で安静にしましょう。特に左側を下にして横向きに寝るシムス位は、心臓への負担を軽減し、呼吸を楽にする効果が期待できます。また、こまめな水分補給やリラックスできる環境作りも大切です。症状が改善しない場合や、他の症状を伴う場合は、医療機関を受診してください。
妊娠後期で脈拍が速い場合、病院に行くべきですか?
脈拍が速いだけでなく、胸の痛み、めまい、意識が遠のくなどの症状がある場合や、安静にしても脈拍が120回以上が続き、動悸や息切れがひどい場合は、すぐに病院を受診すべきです。貧血や心疾患、感染症などの可能性も考慮し、医師の診察を受けることが重要です。
まとめ
- 妊娠後期に脈拍が速くなるのは、多くの妊婦さんにみられる生理的な変化です。
- 妊娠中は血液量が増加し、心臓への負担が増すため、脈拍が上昇します。
- ホルモンバランスの変化や子宮の圧迫も脈拍上昇の原因となります。
- 安静時の脈拍が120回程度でも、他の症状がなければ心配ないことが多いです。
- 胸の痛み、めまい、強い息切れ、意識が遠のく場合はすぐに受診が必要です。
- 自宅では安静にし、こまめな水分補給とリラックスを心がけましょう。
- 左側を下にして横向きに寝るシムス位は、心臓への負担軽減に役立ちます。
- ストレスや不安は脈拍を速める原因となるため、心穏やかに過ごすことが大切です。
- 貧血が原因で脈拍が速くなることもあるため、鉄分摂取も意識しましょう。
- 症状が続く場合や不安が強い場合は、遠慮なく医師や助産師に相談してください。
- 妊娠中の体の変化を理解し、ご自身の体調に注意を払うことが重要です。
- 定期的な妊婦健診で、体の状態をしっかり確認してもらいましょう。
- 安心して出産を迎えるために、気になることは専門家に相談する勇気を持ちましょう。
- 妊娠後期は出産準備の時期であり、無理のない範囲で体を動かすことも大切です。
- ご自身の体と赤ちゃんのサインに耳を傾け、健やかなマタニティライフを送りましょう。
