大切な方を亡くされた際、ご遺骨をどこに納め、どのように供養していくかという問題は、多くの方が直面する大きな悩みです。特に「永代供養」という言葉を耳にする機会が増え、その選択肢の一つとして京都にある大谷祖廟を検討されている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、大谷祖廟における供養は、一般的な永代供養とは少し異なる点があります。
本記事では、大谷祖廟での供養がどのようなものなのか、その費用や手続き、そして後悔しないための選び方まで、分かりやすく解説します。故人を安心して送り、ご自身の心の平穏を保つための参考にしてください。
大谷祖廟の「永代供養」とは?真宗大谷派の考え方と特徴

「大谷祖廟での永代供養」と聞いて、一般的な永代供養をイメージされる方も多いかもしれません。しかし、真宗大谷派である大谷祖廟では、故人がすぐに仏となるという教えから、追善供養としての永代供養は行いません。ここでは、大谷祖廟の供養の考え方と、その特徴を詳しく見ていきましょう。
大谷祖廟とは?親鸞聖人の御廟所としての歴史
大谷祖廟(おおたにそびょう)は、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人の御廟所(ごびょうしょ)、つまりお墓所です。京都市東山区に位置し、真宗大谷派の本山である東本願寺が所有する飛地境内地にあたります。親鸞聖人が入滅されてから10年後の1272年(文永9年)に、聖人の墳墓を改め廟堂が建てられたのが起源とされています。
以来、本願寺の歴代や全国各地の真宗大谷派の門徒の方々のご遺骨が納められてきました。多くの人々にとって、親鸞聖人を慕い、その教えに触れる大切な場所として、今日まで受け継がれています。通称「東大谷」とも呼ばれ、京都の歴史と信仰の中心地の一つです。
浄土真宗における「永代供養」の捉え方と「納骨・永代経」
一般的な「永代供養」は、遺族に代わって寺院や霊園が永代にわたり遺骨を管理し、故人の冥福を祈る追善供養を指すことが多いです。しかし、浄土真宗の教えでは、人は亡くなるとすぐに阿弥陀如来の力によって浄土に往生し、仏となると考えられています。そのため、故人が無事に成仏することを願う「追善供養」は不要とされています。
大谷祖廟で行われるのは、厳密には「永代供養」ではなく、「納骨(のうこつ)」と「永代経(えいたいきょう)」です。納骨とは、故人のご遺骨を親鸞聖人の御廟所へお納めすることであり、これは親鸞聖人を慕う気持ちから行われます。 永代経は、仏さまの教えであるお経が永代にわたって存続し、繁栄することを願って受け継がれる法要です。
故人のためというよりは、仏法が長く続くことを願う意味合いが強いのが特徴です。
大谷祖廟で納骨・永代経を選ぶメリットと宗派の考え方
大谷祖廟での納骨・永代経を選ぶことには、いくつかのメリットがあります。まず、お墓の承継者がいない、または子どもに負担をかけたくないという方にとって、管理の心配がいらない点は大きな魅力です。 東本願寺が永代にわたり管理してくれるため、無縁仏になる心配がありません。
また、大谷祖廟への納骨は、基本的に宗派を問わず受け付けています。 ただし、納骨を機に真宗大谷派の所属寺を探すよう促される場合もありますので、事前に確認が必要です。 宗祖親鸞聖人の御廟所に納められるという、歴史と伝統ある場所で供養されることは、故人にとってもご遺族にとっても深い意義を持つでしょう。日々のお勤めの中で供養が行われるため、定期的なお墓参りが難しい方でも安心できます。
大谷祖廟永代供養(納骨・永代経)の具体的な費用と内訳

大谷祖廟で納骨・永代経を検討する際、最も気になるのが費用でしょう。ここでは、その具体的な費用体系と、一般的な永代供養との違いを交えながら解説します。費用は「志納金」という形で納めるのが特徴です。
納骨・永代経の志納金(費用)の種類と目安
大谷祖廟における納骨と永代経にかかる費用は「志納金」と呼ばれ、その金額はいくつかの種別によって異なります。志納金は、永代経の回数の違いによって設定されており、具体的には以下の5つの種別があります。
- 特別:15万円以上
- 1種:10万円以上
- 2種:7万円以上
- 3種:4万円以上
- 4種:2万円以上
このうち、4種(2万円以上)は真宗大谷派に属する方のみが申し込める種別です。 志納金は、故人のご遺骨を親鸞聖人の御廟所へお納めし、永代にわたり仏法が受け継がれることを願う永代経の懇志として納められます。 一般的な永代供養の費用相場が10万円から150万円程度であることを考えると、大谷祖廟の費用は比較的抑えられていると言えるでしょう。
容器の大きさや改葬に伴う追加費用について
大谷祖廟では、納骨するご遺骨の容器(骨壺)の大きさによって、追加の志納金が発生する場合があります。具体的には、高さ15cm、直径9cmを超える容器で納骨を申し込む場合、上記の1種から4種までの志納金に、別途2万円が加算されます。 これは、大谷祖廟が歴史的に分骨をお納めしてきた背景があり、近年増加している大きな容器での納骨に対応するための変更です。
また、墓じまいなどで改葬されたご遺骨を納骨する際、故人の法名や俗名などの情報が不明な場合には、「改葬納骨志」として20万円以上の志納金が必要となることがあります。 これらの追加費用については、事前にしっかりと確認し、準備を進めることが大切です。
他の永代供養施設との費用比較と大谷祖廟の費用感
一般的な永代供養墓には、合祀型、集合型、個別型、樹木葬、納骨堂など様々な種類があり、それぞれ費用相場が大きく異なります。例えば、合祀型は5万円〜30万円程度と安価ですが、集合型は20万円〜60万円、個別型は50万円〜150万円程度が目安です。
大谷祖廟の納骨・永代経の志納金は、2万円から15万円以上と幅がありますが、これは主に永代経の回数によるものです。多くの場合、一般的な合祀型の永代供養に近い費用感で、歴史ある場所での供養が実現できると言えるでしょう。また、大谷祖廟の納骨・永代経は、契約時に一括で志納金を納める形式であり、基本的に年間管理費はかからないとされています。
この点は、長期的な費用負担を考える上で大きなメリットとなります。
大谷祖廟での永代供養(納骨・永代経)手続きの流れと準備

大谷祖廟での納骨・永代経をスムーズに進めるためには、事前の準備と手続きの流れを理解しておくことが重要です。ここでは、申し込みから納骨までの具体的なステップと、必要な持ち物や注意点について解説します。
申し込みから納骨までのステップ
大谷祖廟での納骨・永代経の申し込みから納骨までの基本的な進め方は以下の通りです。
- 大谷祖廟事務所への連絡・相談: まずは電話で大谷祖廟事務所に連絡し、納骨・永代経について相談します。不明な点や不安なことを確認する良い機会です。
- 事前予約(推奨): 2022年7月1日より、納骨・永代経の事前予約が可能になりました。希望する案内時間に添えるよう、事前に予約することをおすすめします。もちろん、従来通り当日申し込みも受け付けています。
- 必要書類とご遺骨の準備: 納骨に必要な書類(納骨申込書など)と、ご遺骨を準備します。
- 大谷祖廟への来所・受付: 予約した日時、または当日受付時間内に大谷祖廟へ来所し、受付を済ませます。
- 納骨・永代経: 職員の案内に従って、ご遺骨を納め、永代経の法要に参列します。
この進め方を参考に、計画的に準備を進めてください。
必要な書類と準備のコツ
大谷祖廟での納骨・永代経に必要な主な持ち物は以下の通りです。
- 納めるご遺骨: 骨壺に入った状態のご遺骨を持参します。前述の通り、容器の大きさによっては追加費用が発生する可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
- 納骨申込書: 大谷祖廟のウェブサイトからダウンロードできる場合や、事務所で受け取れる場合があります。事前に記入しておくとスムーズです。
- 納骨の費用(志納金): 選択した種別に応じた志納金を用意します。現金で納めるのが一般的です。
もし、墓じまいをして改葬(お墓の引っ越し)をする場合は、現在の墓地のある自治体から「改葬許可証」を発行してもらう必要があります。 また、現在の墓地の管理者から「埋葬証明書」、新しい納骨先(大谷祖廟)から「受入証明書」が必要になることもあります。 これらの書類は準備に時間がかかる場合があるため、早めに確認し、手配を始めるのがコツです。
生前申し込みの可能性と注意点
大谷祖廟では、ご自身の納骨を生前に申し込むことも可能です。 生前申し込みのメリットは、ご自身が入る場所を事前に確認でき、ご遺族がお墓について悩むことがなくなる点です。 また、納骨の予約を縁として、念仏の教えに耳を傾ける生活を始めるきっかけにもなるでしょう。
生前申し込みをする際の注意点としては、契約内容をしっかりと確認し、ご家族や親族にその旨を伝えておくことです。万が一、ご本人が亡くなった際に、ご遺族が契約書や領収書を紛失していたり、保管場所が分からなかったりすると、トラブルの原因となる可能性があります。 契約書などの大切な書類は、ご家族がすぐに分かる場所に保管し、手続きの流れを共有しておくことが大切です。
大谷祖廟永代供養に関するよくある質問

大谷祖廟での納骨・永代経を検討するにあたり、多くの方が抱く疑問や不安を解消するため、よくある質問とその回答をまとめました。
- 永代供養を申し込む際の注意点はありますか?
- 宗派が異なっても納骨は可能ですか?
- 納骨後の供養はどのように行われますか?
- 費用を抑える方法はありますか?
- 複数人の遺骨を納骨できますか?
- 納骨された遺骨を取り出すことはできますか?
- 大谷祖廟に年間管理費はかかりますか?
- 真宗本廟と大谷祖廟の両方に納骨できますか?
永代供養を申し込む際の注意点はありますか?
大谷祖廟での納骨・永代経を申し込む際は、まず浄土真宗の教えと、一般的な永代供養との違いを理解することが大切です。大谷祖廟では追善供養としての永代供養は行わず、納骨と永代経という形で仏法が受け継がれることを願います。 また、ご遺骨の容器の大きさや、墓じまいによる改葬の場合には追加費用が発生する可能性があるため、事前に確認が必要です。
ご家族や親族と十分に話し合い、全員が納得した上で進めることが、後々のトラブルを避けるための最も重要な注意点です。
宗派が異なっても納骨は可能ですか?
大谷祖廟への納骨は、基本的に宗派を問わず受け付けています。 しかし、真宗大谷派の御廟所であるため、納骨を機に真宗大谷派の教えに触れ、所属寺を持つことを勧められる場合があります。 宗派が異なる場合でも、親鸞聖人を慕う気持ちがあれば納骨は可能ですが、その後の関わり方について、事前に大谷祖廟事務所に相談してみるのが良いでしょう。
納骨後の供養はどのように行われますか?
大谷祖廟に納骨されたご遺骨は、親鸞聖人の御廟所において、日々のお勤めの中で供養されます。永代経法要は毎日14時30分から15時まで、大谷祖廟の本堂で行われています。 ご遺族が個別に法要を依頼することも可能ですが、基本的に寺院側が永代にわたって管理・供養を行ってくれるため、ご遺族が定期的に供養を行う必要はありません。
費用を抑える方法はありますか?
大谷祖廟の納骨・永代経の費用(志納金)は、永代経の回数に応じた種別によって異なります。最も費用を抑えたい場合は、4種(2万円以上)を選択することになりますが、これは真宗大谷派に属する方のみが対象です。 容器の大きさによる追加費用や、改葬に伴う追加費用を避けるためにも、事前に詳細を確認し、準備を整えることが費用を抑えるコツと言えるでしょう。
また、一般的な永代供養墓と比較すると、大谷祖廟の費用は比較的安価な部類に入ります。
複数人の遺骨を納骨できますか?
大谷祖廟では、複数人のご遺骨を納骨することも可能です。ただし、ご遺骨一体一体の法名や俗名を記入して受付を行う必要があります。 複数のご遺骨を一つの骨壺にまとめて納めることも可能ですが、その旨を受付で伝えるようにしてください。 家族代々で大谷祖廟への納骨を希望する場合も、個々の手続きが必要となる点を理解しておきましょう。
納骨された遺骨を取り出すことはできますか?
大谷祖廟に一度納骨されたご遺骨は、原則としてお返しすることはできません。 これは、ご遺骨が親鸞聖人の御廟所に納められ、他の多くのご遺骨と共に供養されるためです。合祀型の永代供養墓と同様に、一度合祀されると特定の遺骨を取り出すことは不可能になります。 この点は、後悔しないためにもご家族や親族と十分に話し合い、理解を得ておくことが極めて重要です。
大谷祖廟に年間管理費はかかりますか?
大谷祖廟の納骨・永代経は、契約時に一括で志納金を納める形式であり、基本的に年間管理費はかかりません。 これは、一般的なお墓や一部の永代供養墓で発生する年間管理費の負担がないため、長期的な費用負担を心配する必要がないという大きなメリットです。ただし、特定のプランや施設利用によっては別途費用が発生する可能性もゼロではないため、最終的な契約前に必ず確認するようにしましょう。
真宗本廟と大谷祖廟の両方に納骨できますか?
真宗大谷派には、本山である真宗本廟(東本願寺)への「真宗本廟収骨」と、親鸞聖人の御廟所である大谷祖廟への「大谷祖廟納骨」の二つの方法があります。これら両方に納骨することも可能です。例えば、真宗本廟に7cm四方の桐箱にご遺骨の一部を収め、残りのご遺骨を大谷祖廟へ納めるという選択もできます。 ご自身の希望やご家族の意向に合わせて、適切な方法を選ぶと良いでしょう。
まとめ
- 大谷祖廟は浄土真宗の宗祖、親鸞聖人の御廟所である。
- 大谷祖廟では一般的な「永代供養」ではなく「納骨」と「永代経」が行われる。
- 浄土真宗の教えでは、故人はすぐに仏となるため追善供養は不要とされる。
- 納骨は親鸞聖人を慕う気持ちからご遺骨を御廟所へお納めすること。
- 永代経は仏法の永続と繁栄を願う法要である。
- 納骨・永代経の費用は「志納金」と呼ばれ、2万円から15万円以上の種別がある。
- 志納金の額は永代経の回数によって異なり、4種は真宗大谷派門徒限定。
- ご遺骨の容器が一定サイズを超えると追加で2万円の志納金が必要。
- 墓じまいによる改葬で情報不明の場合、改葬納骨志として20万円以上が必要な場合がある。
- 大谷祖廟の納骨・永代経は基本的に年間管理費がかからない。
- 申し込みから納骨までは、事務所への連絡、事前予約、書類準備、来所の流れで進む。
- 納骨にはご遺骨、納骨申込書、志納金が必要となる。
- 墓じまいを伴う場合は改葬許可証などの準備も必要。
- 生前申し込みも可能だが、家族への情報共有と書類保管が重要。
- 納骨されたご遺骨は原則として取り出すことができないため、家族との話し合いが不可欠。
- 宗派が異なっても納骨は可能だが、所属寺を持つことを勧められる場合がある。
- 真宗本廟と大谷祖廟の両方に納骨することもできる。
