マンションにお住まいの方や管理組合の皆様にとって、区分所有法の改正は非常に重要な関心事でしょう。しかし、2024年の通常国会での提出が見送られたというニュースに、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。本記事では、区分所有法改正が見送られた背景や、その後の動向、そしてマンション管理組合が今後どのような影響を受け、どのような準備をすべきかについて、分かりやすく解説します。
区分所有法改正見送りの現状と背景

当初、2024年の通常国会での成立を目指していた区分所有法の改正案は、提出が見送られました。この見送りは、多くのマンション関係者に影響を与える出来事です。しかし、その後、2025年3月4日に政府は「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。
現在開会中の国会で審議中であり、成立すれば2026年4月の施行を目指しています。
なぜ改正が見送られたのか?その理由を深掘り
2024年の通常国会での提出が見送られた背景には、法案の内容に関するさらなる検討が必要とされたことが挙げられます。区分所有法は、マンションの所有形態や管理運営に関わる非常に複雑な法律であり、多岐にわたる利害関係者が存在します。そのため、慎重な議論と調整が求められた結果、提出が一時的に見送られたと考えられます。
しかし、見送りは一時的なものであり、マンションの老朽化や所有者不明問題といった喫緊の課題に対応するため、法改正の必要性は依然として高い状況です。
見送られた改正案の主なポイント
見送られた改正案、そして現在国会で審議中の改正案は、主に以下の問題解決を目指しています。
- 所有者不明問題への対応: 高齢化や相続を背景に、所有者が不明なマンションが増加しています。これにより、大規模修繕や建て替えの決議が困難になるケースが頻発していました。改正案では、裁判所の認定により、所在不明の区分所有者を決議の母数から除外できる制度が新設されました。
- 合意形成の円滑化: 大規模修繕や建て替えなど、重要な決議には区分所有者および議決権の5分の4以上の賛成が必要とされており、これがマンション再生の大きな壁となっていました。改正案では、耐震性不足や火災安全性不足など、一定の要件を満たす場合に、建て替え決議の多数決要件が4分の3に緩和されるなど、決議要件の緩和が図られています。
- 管理不全建物への対処: 管理組合が機能せず、管理不全に陥ったマンションへの対処制度が創設されます。これにより、裁判所が選任する管理人による管理が可能になるなど、管理の適正化が期待されます。
- 再生手法の多様化: 建て替えだけでなく、一棟リノベーションや建物敷地売却、建物取り壊しといった新たな再生手法が法的に整備され、選択肢が広がります。
これらの改正は、老朽化が進むマンションの適切な管理と再生を促し、住民の安全と資産価値の維持を目指すものです。
区分所有法改正見送りがもたらす影響

区分所有法改正案の提出が見送られた後、国会に提出され審議中である現状は、マンションの管理・再生を巡る状況に様々な影響を与えています。特に、老朽化が進むマンションや、所有者不明問題に直面している管理組合にとっては、その動向が非常に重要です。
マンション管理組合への具体的な影響
区分所有法改正案が国会で審議中であることは、マンション管理組合にとって、今後の対応を検討する上で重要な意味を持ちます。まず、改正案が成立し施行されれば、これまで困難だった大規模修繕や建て替えの合意形成がしやすくなる可能性があります。特に、所在不明の区分所有者がいる場合でも、裁判所の認定によりその議決権を母数から除外できる制度は、意思決定を大きく円滑化するでしょう。
しかし、法改正が施行されるまでは、現行法の枠組みで対応せざるを得ません。そのため、管理組合は引き続き、現行法に基づいた慎重な合意形成の努力を続ける必要があります。また、改正法が施行された際には、管理規約の見直しや、新たな制度への対応が求められるため、今のうちから情報収集と準備を進めることが大切です。
区分所有者や住民への影響
区分所有者や住民にとっても、区分所有法改正の動向は資産価値や居住環境に直結する問題です。改正法が施行されれば、老朽化マンションの再生が進みやすくなり、結果としてマンション全体の資産価値の維持・向上が期待できます。また、管理不全に陥るリスクが低減され、より安全で快適な居住環境が確保される可能性が高まります。
一方で、改正法によって決議要件が緩和されることで、これまで反対していた区分所有者の意向が反映されにくくなるという側面も考えられます。そのため、区分所有者は、改正法の内容を正確に理解し、自身の意見を管理組合に積極的に伝えることが、マンションの未来を形作る上でより重要になるでしょう。
今後の区分所有法改正の動向と展望

区分所有法改正案は現在国会で審議中であり、成立すれば2026年4月1日から施行される予定です。 この改正は、日本のマンションが抱える「二つの老い」(建物の老朽化と区分所有者の高齢化)という深刻な課題に対応するための重要な一歩となります。
今後の議論の焦点と課題
今後の議論の焦点は、改正案の具体的な内容が、いかに現場のマンション管理の実情に即して機能するかという点に移っていくでしょう。特に、所有者不明問題への対応や、決議要件の緩和が、実際にマンションの再生を円滑に進めることができるのかが注目されます。
また、改正法が施行されたとしても、全てのマンションの課題が解決されるわけではありません。例えば、修繕積立金の不足や、管理組合の担い手不足といった問題は、法改正だけでは解決が難しい側面もあります。これらの課題に対しては、引き続き、国や地方自治体、そしてマンション管理組合自身が連携し、多角的な対策を講じていく必要があります。
管理組合が今からできる準備
区分所有法改正の施行に向けて、マンション管理組合は今から具体的な準備を進めることが重要です。まず、改正法の内容を正確に把握するために、法務省や国土交通省が提供する情報、専門家による解説などを積極的に収集しましょう。
次に、管理規約の見直しを検討することも大切です。改正法の内容に合わせて、現在の管理規約に不足している点や、変更が必要な箇所がないかを確認し、総会での承認を得るための準備を進める必要があります。特に、所在不明の区分所有者への対応や、新たな再生手法の導入に関する規定は、早めに検討するべきでしょう。
さらに、区分所有者や住民への情報提供と意識啓発も欠かせません。改正法の重要性や、それがマンションの未来に与える影響について、説明会や広報誌などを通じて周知し、全員でマンションの管理・再生について考える機会を設けることが、円滑な合意形成につながります。
区分所有法に関するよくある質問

区分所有法とはどのような法律ですか?
区分所有法とは、正式名称を「建物の区分所有等に関する法律」といい、主に分譲マンションのように一棟の建物が複数の部屋に区切られ、それぞれが独立した所有権の対象となっている建物(区分所有建物)の権利関係や維持管理について定めた法律です。 区分所有者や居住者の権利や財産を守り、マンションを円滑に運営・管理するために重要な役割を担っています。
改正案はいつから施行される予定でしたか?
当初、2024年中の施行を目指していましたが、2024年の通常国会での提出は見送られました。 しかし、その後、2025年3月4日に政府は改正案を閣議決定し国会に提出しており、成立すれば2026年4月1日から施行される予定です。
見送りは一時的なものですか?
はい、2024年の通常国会での提出は見送りとなりましたが、その後、2025年3月4日に政府は改正案を閣議決定し国会に提出しています。これは、マンションの老朽化や所有者不明問題といった社会的な課題が深刻化しているため、法改正の必要性が高いと判断されたためです。
管理規約の見直しは必要ですか?
改正法が施行された際には、管理規約の見直しが必要となる可能性があります。特に、所在不明の区分所有者への対応や、新たな再生手法の導入に関する規定は、改正法の内容に合わせて変更を検討すべきでしょう。 管理組合は、改正法の詳細を把握し、専門家と相談しながら適切な時期に規約の見直しを進めることが大切です。
高齢化や災害対策に関する改正はどうなりますか?
今回の区分所有法改正案は、高齢化による所有者不明問題や、災害で被災したマンションの再建を円滑化するための規定も含まれています。 例えば、所在不明の区分所有者を決議の母数から除外できる制度や、被災マンションの建て替え決議要件の緩和などが盛り込まれています。 これらの改正は、高齢化社会におけるマンション管理の課題解決や、大規模災害への備えを強化する上で重要な役割を果たすと期待されています。
まとめ
- 区分所有法改正案は2024年の通常国会での提出が見送られた。
- その後、2025年3月4日に政府が改正案を閣議決定し国会に提出した。
- 成立すれば2026年4月1日から施行される予定である。
- 改正の背景には、マンションの老朽化と区分所有者の高齢化という「二つの老い」がある。
- 主な改正内容は、所有者不明問題への対応と合意形成の円滑化である。
- 管理不全建物への対処制度の創設も含まれている。
- 建て替えだけでなく、一棟リノベーションなどの再生手法が多様化する。
- 改正見送りは一時的なものであり、法改正の必要性は高い。
- 管理組合は改正法の動向を注視し、情報収集を進めるべきである。
- 管理規約の見直しを検討し、必要な変更に備えることが大切である。
- 区分所有者や住民への情報提供と意識啓発も重要である。
- 改正法は、マンションの資産価値維持と居住環境向上に寄与する。
- 修繕積立金不足や担い手不足など、法改正だけでは解決できない課題も残る。
- 今後も国や地方自治体、管理組合が連携し、多角的な対策が必要である。
- 区分所有者は、改正法を理解し、マンションの未来に積極的に関与することが求められる。
