「国土地理院の地図を使いたいけれど、著作権が気になる」「商用利用はできるの?」「出典の書き方が分からない」といった疑問を抱えていませんか?日本の国土の正確な情報を提供する国土地理院の地図は、私たちの生活やビジネスにおいて非常に役立つものです。しかし、その利用には著作権に関する正しい理解が不可欠です。
本記事では、国土地理院地図の著作権について、その基本から具体的な利用ルール、承認申請の要不要、そして正しい出典明記の方法までを徹底的に解説します。著作権侵害のリスクを避け、安心して地図を活用するための知識を身につけましょう。
国土地理院地図の著作権とは?基本を理解しよう
国土地理院が提供する地図は、一見すると単なる情報のように思えるかもしれませんが、実は著作権法によって保護される「著作物」です。この章では、地図が著作物と見なされる理由と、国土地理院の地図が持つ著作権の特性について詳しく見ていきましょう。
地図は著作物として保護される理由
著作権法では、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と著作物を定義しています。地図は、単に地形や地物を写し取ったものではなく、作成者の選択、表現方法、記号の配置などに創作性が認められるため、著作権法第10条1項6号の「図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物」に該当し、保護の対象となります。
そのため、GoogleマップやYahoo!地図といった一般的な地図サービスと同様に、国土地理院の地図も無断で複製したり、改変してウェブサイトに掲載したりする行為は、著作権侵害にあたる可能性があります。地図を利用する際は、その背後にある著作権の存在を常に意識することが大切です。
国土地理院の地図が持つ著作権の特性
国土地理院の地図は、国の機関が作成した「職務著作」にあたります。一般的に、国の著作物は公共の利益のために広く利用されることが期待されていますが、だからといって無条件に自由に使えるわけではありません。国土地理院の地図コンテンツは、「国土地理院コンテンツ利用規約」に基づいて利用が定められており、多くの場合、公共データ利用規約(第1.0版)(PDL1.0)が適用されます。
この規約には、利用の範囲や出典の明記方法などが具体的に示されており、利用者はこれに従う必要があります。特に、地図の「複製」や「使用」に関しては、測量法という別の法律も関連してくる場合があるため、より慎重な対応が求められることがあります。国土地理院の地図を安心して利用するためには、これらの規約や法律を理解し、適切に手続きを進めることが重要です。
国土地理院地図の利用ルール:承認申請が必要なケース

国土地理院の地図は、特定の目的や利用方法においては、事前に国土地理院長への「承認申請」が必要です。この申請を怠ると、著作権侵害となる可能性があるので注意が必要です。ここでは、どのような場合に承認申請が必要となるのかを具体的に解説します。
商用利用における承認申請の必要性
国土地理院の地図を商用目的で利用する場合、多くは承認申請が必要となります。例えば、地図を主体とした商品(地図帳、一枚ものの地図、カレンダーなど)を販売したり、営利目的のウェブサイトやアプリケーションで地図を大々的に使用したりするケースがこれに該当します。
ただし、商用利用であっても、地図がデザインの一部として小さく使われる場合や、地図が主要なコンテンツではない場合は、出典明記のみで利用できることもあります。判断に迷う場合は、国土地理院の利用規約を詳細に確認するか、直接問い合わせるのが確実な方法です。
地図帳や一枚ものの地図作成の場合
地図帳の作成や、一枚ものの地図を制作して配布・販売するような場合は、原則として国土地理院長への承認申請が必須です。これは、地図そのものが主要な成果物となり、その複製や頒布が広範囲に及ぶため、著作権者の権利を保護する観点から厳格な手続きが求められるためです。
特に、地図出版社が地図帳を作成して販売するようなケースは、典型的な承認申請が必要な例として挙げられます。これらの利用は、地図の「複製」や「調製」にあたり、測量法上の手続きも関連してくることがあります。
行政機関による特定の地図作成
行政機関が業務で管内図やハザードマップ、計画図などを作成し、これを広く一般に配布・公開する場合も、承認申請が必要となることがあります。例えば、教育委員会が当該自治体の教育機関への教材として配布する一枚ものの地図を作成するケースなどが該当します。
これは、行政機関が作成する地図が、公共性の高い情報として広く利用されるため、その正確性や著作権の管理が重要視されるためです。ただし、町内会で作成する防犯マップや学校で作る安全マップのような、特定の範囲内での利用を目的としたものは、申請が不要となる場合もあります。
国土地理院地図の利用ルール:出典明記のみで利用できるケース

国土地理院の地図は、特定の条件下であれば、承認申請なしで利用できます。ただし、その場合でも「出典の明記」は必須です。ここでは、どのような場合に出典明記のみで利用できるのか、そして加工・編集時の注意点と出典明記の方法について詳しく解説します。
個人利用や非営利目的での利用
個人的な利用や、営利を目的としない非営利団体での利用は、多くの場合、出典を明記するだけで承認申請は不要です。例えば、私的な研究資料、社内での情報共有、サークル活動での利用、学校の授業での教材としての利用などがこれに該当します。
また、特定の個人に提出する申請書や報告書の添付資料、一般的な資料として利用し、利用後は保管せずに廃棄するようなケースも、出典明記のみで問題ありません。これらの利用は、著作権法上の「私的利用」や「教育目的での利用」などに準ずるものと解釈されます。
学術論文や教育目的での利用
学術論文に地図を挿入する場合や、試験問題として利用する場合、教育機関での教材として使用する場合も、出典を明記すれば承認申請は不要です。これは、学術研究や教育が公共の利益に資する活動であると認識されているためです。
ただし、学術論文や図書等に引用する際は、学会誌等が定めたルールに適した方法で引用することが求められます。また、図書館において学術調査・研究目的で地図を複製する場合も、一人につき一部、地図一図葉の複製が可能です。
ウェブサイトや印刷物への少量挿入
ウェブサイトに地図を貼り付けたり、書籍やパンフレットに少量の地図を挿入したりするような場合も、原則として出典明記のみで利用できます。ただし、地図帳や折り込み地図、付録の地図など、地図が主要なコンテンツとなる場合は除きます。
また、テレビ番組での短時間の利用や、博物館等における展示物としての利用も、出典明記のみで可能です。ウェブサイトで地理院タイルをリアルタイムで読み込み表示するケースも、申請不要な利用例として挙げられます。
加工・編集時の注意点と出典明記の方法
国土地理院の地図を加工・編集して利用する場合も、出典明記は必須です。加えて、加工・編集を行ったことを明記し、あたかも国土地理院が作成したかのような態様で公表・利用してはいけません。
出典の記載例としては、「出典:国土地理院発行2.5万分1地形図」や、「電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成」といった形式が推奨されています。 ウェブサイトで利用する場合は、地図が表示されている間は常に出典が見えるように表示画面に明示することが原則です。
地理院タイルと基本測量成果の著作権

国土地理院が提供する地図データには、「地理院タイル」と呼ばれるものがあり、その中には「基本測量成果」に該当するものとしないものがあります。それぞれの著作権の取り扱いには違いがあるため、利用する際は注意が必要です。
地理院タイルとは何か
地理院タイルとは、国土地理院がウェブ上で提供している地図や空中写真などの画像データを、ウェブ地図サービスで利用しやすいように細かく分割したものです。地理院地図ウェブサイト(maps.gsi.go.jp)で提供されているサービスで、様々な種類の地図や写真を見ることができます。
この地理院タイルを利用することで、ウェブサイトやアプリケーションに手軽に国土地理院の地図を組み込むことが可能になります。しかし、その利用には「国土地理院コンテンツ利用規約」が適用され、個別のタイルによっては追加の利用条件がある場合もあります。
「基本測量成果」の利用における測量法上の手続き
地理院タイルの中には、「標準地図」や「淡色地図」のように、測量法で定められた「基本測量成果」を元に作成されているものがあります。これらの基本測量成果を利用して複製や地図の調製行為を行う場合は、測量法に基づく承認申請が必要となることがあります。
測量法は、国土の測量に関する基本的なルールを定めた法律であり、基本測量成果の適切な利用を確保するために、複製や使用に際しての承認制度を設けています。どの地理院タイルが基本測量成果に該当するかは、地理院タイルの一覧ページで確認できます。
基本測量成果以外の地理院タイルの利用
基本測量成果以外の地理院タイル、例えば白地図や空中写真などは、原則として「国土地理院コンテンツ利用規約」に従って利用できます。これらのタイルは、測量法上の承認申請が不要な場合が多いですが、「国土地理院」または「地理院タイル」といった出所明示に加え、個別の明示が必要な場合があるため、各タイルの備考欄を確認することが大切です。
地理院地図のツールには、画像を保存する際に自動で出典が記載される機能もあります。この機能を活用することで、出典明記の手間を省き、正確な表示を確保できます。
著作権侵害のリスクと罰則

国土地理院の地図を無断で利用したり、利用規約に違反したりすると、著作権侵害となり、様々なリスクを負うことになります。ここでは、著作権侵害がもたらす法的リスクと、個人・法人への罰則、そして社会的な信用の失墜について解説します。
著作権侵害がもたらす法的リスク
地図の著作権を侵害した場合、著作権者である国土地理院から、侵害行為の停止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。著作権法では、著作権者に無断で著作物を複製したり、公衆送信したりする行為を禁じており、これらの権利を侵害すると法的な制裁を受けることになります。
特に、無断で地図をコピー・転載する、トレース・加工して再配布する、印刷物やウェブサイトに無許可で使用するといった行為は、著作権侵害にあたる具体的なケースとして挙げられます。 著作権侵害は、単なるマナー違反ではなく、法的な責任を伴う重大な問題であることを認識しておく必要があります。
個人・法人への罰則
著作権侵害が認められた場合、個人には10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、法人が著作権を侵害した場合は、3億円以下の罰金が科されることもあります。
これらの罰則は、著作権法によって定められており、違反内容に応じて適用されます。場合によっては逮捕されることもあり、裁判で有罪が確定すれば、懲役や罰金といった刑事罰を受け、前科がつくことになります。安易な気持ちでの利用が、取り返しのつかない事態を招く可能性もあるため、細心の注意が必要です。
社会的な信用の失墜
著作権侵害は、法的な罰則だけでなく、社会的な信用を大きく失うリスクも伴います。企業であれば、ブランドイメージの低下や顧客離れにつながり、個人であれば、信頼を失い、今後の活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
実際に、自治体の公式ホームページで、国土地理院やGoogleマップの地図を許可なく使用し、出典表示の不備があった事例も報告されています。 このような事例は、組織のコンプライアンス意識の欠如として批判され、社会的な信頼を損なう結果となります。地図を利用する際は、常に著作権を尊重し、適切な手続きを踏むことが、自身の信用を守る上でも非常に大切です。
よくある質問

- 国土地理院の地図を加工してSNSに投稿しても良いですか?
- Googleマップやゼンリン地図と国土地理院地図の著作権は違いますか?
- 国土地理院の地図記号だけをデザインに使っても良いですか?
- 古い国土地理院の地図にも著作権はありますか?
- 国土地理院の地図をトレースして使っても良いですか?
国土地理院の地図を加工してSNSに投稿しても良いですか?
国土地理院の地図を加工してSNSに投稿することは可能ですが、いくつかの注意点があります。まず、加工した地図であっても、必ず「出典:国土地理院」と明記してください。さらに、加工したことを明示し、「国土地理院が作成したかのような態様」で公表しないようにしましょう。例えば、「国土地理院の地図を元に作成」といった表現が適切です。
また、SNSの利用規約も確認し、問題がない範囲で利用することが大切です。
Googleマップやゼンリン地図と国土地理院地図の著作権は違いますか?
はい、Googleマップやゼンリン地図と国土地理院地図では、著作権の取り扱いが異なります。Googleマップやゼンリン地図は、それぞれ独自の利用規約を設けており、商用利用や特定の印刷物への使用には、個別の許可やライセンス契約が必要となる場合が多いです。一方、国土地理院の地図は、公共データとしての側面が強く、特定の条件下では出典明記のみで利用できる範囲が広いです。
ただし、基本測量成果の利用には測量法上の手続きが必要となる場合があるため、各サービスの利用規約を個別に確認することが重要です。
国土地理院の地図記号だけをデザインに使っても良いですか?
国土地理院刊行の地図に使われている地図記号については、承認を必要とせず自由に利用することができます。地図記号は、地図の表現方法の一部であり、それ自体に独立した著作物性が認められないためです。ただし、地図記号をデザインに利用する際も、誤解を招くような使い方や、国土地理院の公式なものと誤認させるような表現は避けるべきです。
古い国土地理院の地図にも著作権はありますか?
はい、古い国土地理院の地図にも著作権は存在します。著作権は、著作物の創作時から著作者の死後70年(法人の場合は公表後70年)まで保護されます。国土地理院の地図は国の機関が作成した職務著作であるため、公表後70年間は著作権が保護されます。そのため、古い地図であっても、著作権の保護期間内であれば、利用規約に従い、適切な手続きや出典明記が必要です。
国土地理院の地図をトレースして使っても良いですか?
国土地理院の地図をトレース(写し取る)する行為も、著作権法上の「複製」にあたるため、原則として無断で行うことはできません。トレースした地図をウェブサイトに掲載したり、印刷物として配布したりする場合は、著作権侵害となる可能性があります。利用したい場合は、利用規約を確認し、必要な場合は承認申請を行うか、出典を明記して利用できる範囲内での使用に留めるようにしましょう。
まとめ
- 国土地理院の地図は著作権法で保護される著作物です。
- 利用には「国土地理院コンテンツ利用規約」が適用されます。
- 商用利用や地図帳作成など、特定のケースでは承認申請が必要です。
- 個人利用、学術論文、ウェブサイトへの少量挿入などは出典明記のみで利用可能です。
- 加工・編集した場合は、その旨を明記し、国土地理院が作成したかのように見せない配慮が必要です。
- 出典は「出典:国土地理院」など、具体的に記載しましょう。
- 地理院タイルには「基本測量成果」とそれ以外があり、取り扱いが異なります。
- 基本測量成果の利用には測量法上の手続きが必要な場合があります。
- 著作権侵害は、懲役や罰金、社会的な信用の失墜につながります。
- Googleマップやゼンリン地図とは利用規約が異なります。
- 地図記号は自由に利用できます。
- 古い地図やトレースした地図にも著作権は適用されます。
- 迷った場合は、国土地理院の公式情報を確認するか、直接問い合わせましょう。
- 地理院地図の「画像として保存」機能は自動で出典を記載してくれます。
- 利用目的と範囲を明確にし、適切な手続きを踏むことが重要です。
