公用文は、国や自治体、公共団体が発行する大切な文書です。そのため、読み手に正確な情報を伝え、誤解を招かないよう、句読点の使い方には細心の注意を払う必要があります。しかし、普段の文章とは異なる公用文特有のルールに戸惑う方も少なくないでしょう。
本記事では、公用文における句読点の基本的なルールから、間違いやすいポイント、そして読みやすい文書を作成するための具体的な方法まで、分かりやすく解説します。公用文作成に自信を持ち、より質の高い文書を作成するための助けとなるでしょう。
公用文における句読点の基本原則

公用文における句読点の使用は、読み手への配慮が第一です。正確な情報伝達と誤解の防止を目的とし、統一されたルールに基づいて記述することが求められます。特に、文化庁が示す「公用文作成の考え方」が基本となる指針です。
この指針では、句点には「。」(マル)、読点には「、」(テン)を用いることを原則としています。 横書きの場合、読点に「,」(コンマ)を用いることも可能ですが、一つの文書内でどちらかに統一することが大切です。
句点「。」の正しい使い方
句点「。」は、文の終わりを示す記号です。公用文では、原則として文の終わりに句点を打ちます。
- 文の終止:文が完全に終わる箇所に句点を打ちます。
- 括弧内の文:括弧の中で文が終わる場合には、句点を打つのが原則です。 ただし、引用部分や名詞、単語としての使用、強調表現、日付など、文以外に用いる場合や、文が名詞で終わる場合には句点を打ちません。
- 箇条書き:箇条書きの項目が文章で構成されている場合は、各項目の最後に句点を付けます。 単語や短い語句の箇条書きには句点を付けないのが一般的です。
文末が感嘆符「!」や疑問符「?」で終わる場合は、それ自体が文の終わりを示すため、その後に句点を打つ必要はありません。
読点「、」の適切な使い方
読点「、」は、文を読みやすくし、誤読を防ぐために文の途中に用いる記号です。 句点とは異なり、読点には厳密なルールが少ないため、書き手の判断に委ねられる部分も大きいですが、公用文においては読み手の理解を助けるための明確な基準が存在します。
- 主語が長い場合:主語が長く、どこまでが主語か分かりにくい場合に、主語の後に読点を打ちます。
- 並列する語句:複数の語句を並列して記述する際に、それぞれの区切りに読点を使います。
- 接続詞・副詞の後:文頭の接続詞(しかし、また、あるいは、そして、なおなど)や副詞の後に読点を打つと、文脈の流れが分かりやすくなります。
- 係り受けの関係を明確にする:文中の語句の係り受けが曖昧になるのを防ぐために読点を使います。
- 重文・複文の区切り:複数の文や節が組み合わさった重文や複文において、それぞれの区切りに読点を打ち、構造を明確にします。
読点は、多く打ちすぎても読みにくくなるため、必要な箇所に適切に用いることが重要です。
括弧やその他の記号のルール
公用文では、句読点以外にも様々な記号が使われます。それぞれの記号には、明確な役割と使用方法があります。
- 丸括弧():語句や文の後に注記する際に使用します。 文末で補足や注釈として丸括弧を使う場合は、括弧の後に句点を打ちます。 ただし、二つ以上の文、または文章全体の注釈であれば、最後の文と括弧の間に句点を打ちます。
- かぎ括弧「」:会話や語句の引用、強調したい語句に用います。 かぎ括弧の前後には、基本的に読点を付けません。 かぎ括弧の中で文が終わる場合、句点を打たないのが一般的ですが、公用文では打つ場合もあります。
- 二重かぎ括弧『』:従来はかぎ括弧の中でさらに明示する必要のある事物の名称や語句を示すために使われましたが、公用文では原則として用いません。 ただし、解説・広報等においては、かぎ括弧の中で会話の引用が二重になっているときに用いることができるとされています。
- 中点「・」:並列する語、外来語や人名の区切り、箇条書きの冒頭などに用います。
- 隅付き括弧【】:項目を示したり、強調すべき点を目立たせたりする際に用いることができます。
これらの記号は、むやみに使用せず、必要な場合に用法を統一して使うことが求められます。
公用文でよくある句読点の間違いと解決策

公用文の作成において、句読点の使い方は読みやすさや正確性に直結します。しかし、慣れないうちは間違いやすい点も少なくありません。ここでは、特によく見られる間違いとその解決策を具体的に見ていきましょう。
読点の打ちすぎ・不足による誤解
読点は、文の区切りや係り受けを明確にするために不可欠ですが、打ちすぎるとかえって読みにくくなり、不足すると意味が曖昧になることがあります。例えば、「彼は泣きながら逃げる彼女を追いかけた」という文では、誰が泣いているのかが不明確です。このような場合、「彼は、泣きながら逃げる彼女を追いかけた」と読点を打つことで、「泣いているのは彼女である」と明確に伝わります。
読点の打ち方に迷った際は、一度声に出して読んでみることが有効です。自然な息継ぎの場所や、意味の区切りを感じる箇所に読点を置くように意識すると良いでしょう。また、一つの文が長くなりすぎないよう、適度な長さで区切ることも大切です。
括弧と句点の位置関係の誤り
括弧と句点の位置関係は、特に間違いやすい点の一つです。公用文では、括弧内で文が終わる場合に句点を打つのが原則ですが、引用部分や名詞、単語の場合は句点を打ちません。
例えば、「(詳細は別途資料で解説しています。)」のように、括弧内が完全な文である場合は句点を打ちます。一方、「(以下「基本計画」という。)」のように、括弧内が名詞句や単語である場合は句点を打ちません。 文末に括弧がある場合、それが部分的な注釈であれば閉じ括弧の後に句点を打ち、二つ以上の文、または文章全体の注釈であれば、最後の文と括弧の間に句点を打ちます。
このルールを理解し、適切に使い分けることが、正確な公用文作成には欠かせません。
箇条書きにおける句点の有無
箇条書きの項目に句点を付けるべきか否かも、よくある疑問です。公用文では、箇条書きの項目が完全な文章である場合は句点を付け、単語や短い語句の場合は句点を付けないのが一般的です。
例えば、「・事業計画を策定する。」のように、項目が文章で構成されている場合は句点を付けます。しかし、「・事業計画」「・予算案」のように、単語や短い語句が並んでいる場合は句点を付けません。この使い分けを統一することで、読み手は箇条書きの内容をスムーズに理解できます。
読みやすい公用文を作成するためのコツ

公用文は、正確さだけでなく、読みやすさも重要です。読み手が内容をスムーズに理解できるよう、句読点の使い方を工夫することで、より質の高い文書を作成できます。ここでは、読みやすい公用文を作成するための具体的なコツをご紹介します。
一文を短く簡潔にする
長い文章は、途中で意味が分からなくなったり、読点が適切に打たれていないと誤解を招いたりする原因となります。公用文では、できるだけ一文を短く簡潔にまとめることを心がけましょう。
例えば、「この事業は、地域経済の活性化を目的とし、住民の生活の質の向上に貢献するため、多岐にわたる施策を複合的に実施するものである。」という長い文は、「この事業は、地域経済の活性化を目的とします。住民の生活の質の向上に貢献するため、多岐にわたる施策を複合的に実施します。」のように、複数の短い文に分けることで、格段に読みやすくなります。
一文が長くなりがちな場合は、途中で句点「。」を打って区切ることを意識してみてください。
係り受けを明確にする読点の活用
読点「、」は、文中の語句の係り受けを明確にし、誤読を防ぐために非常に重要な役割を果たします。特に、主語と述語が離れている場合や、修飾語がどの語句にかかるのか曖昧になる場合に、読点を効果的に活用しましょう。
例えば、「私は急いでいる娘を学校へ見送った。」という文では、「急いでいる」のが「私」なのか「娘」なのかが曖昧です。これを「私は、急いでいる娘を学校へ見送った。」とすることで、「急いでいるのは娘である」と明確に伝わります。 読点を打つことで、文の構造が明確になり、読み手は迷うことなく内容を理解できるでしょう。
横書きと縦書きでの句読点の統一
公用文では、横書きと縦書きの両方が存在し、それぞれで句読点の使い方が異なる場合があります。特に横書きの場合、読点に「、」(テン)ではなく「,」(コンマ)を用いるルールがかつて存在しましたが、現在は「、」(テン)が原則とされています。
重要なのは、一つの文書内で句読点の種類を統一することです。 例えば、横書きの文書であれば、読点は全て「、」で統一し、「,」と混在させないように注意しましょう。文書全体で表記を統一することで、読み手は混乱することなく、スムーズに文書を読み進めることができます。
よくある質問

- 公用文の句読点はどこで区切るのが適切ですか?
- 公用文の句読点は「、」と「。」どちらを使うべきですか?
- 公用文の読点の打ち方にはどのようなルールがありますか?
- 公用文の箇条書きに句読点は必要ですか?
- 公用文の句読点、横書きと縦書きで違いはありますか?
公用文の句読点はどこで区切るのが適切ですか?
公用文の句読点は、文の終わりに句点「。」を打ち、文の途中で意味の区切りや係り受けを明確にするために読点「、」を打ちます。特に、主語が長い場合や並列する語句の間、接続詞や副詞の後などに読点を用いると良いでしょう。
公用文の句読点は「、」と「。」どちらを使うべきですか?
公用文では、句点に「。」(マル)、読点に「、」(テン)を用いることが原則です。横書きの場合、読点に「,」(コンマ)を用いることも可能ですが、一つの文書内でどちらかに統一する必要があります。
公用文の読点の打ち方にはどのようなルールがありますか?
読点「、」の打ち方には厳密なルールは少ないですが、読みやすさを高めるためにいくつかの指針があります。具体的には、主語が長い場合、並列する語句の間、接続詞や副詞の後、係り受けを明確にする必要がある場合などに打ちます。
公用文の箇条書きに句読点は必要ですか?
箇条書きの項目が完全な文章で構成されている場合は、各項目の最後に句点「。」を付けます。しかし、単語や短い語句の箇条書きには、句点を付けないのが一般的です。
公用文の句読点、横書きと縦書きで違いはありますか?
横書きと縦書きで句読点の基本的な使い方は同じですが、横書きの場合、読点に「,」(コンマ)を用いることが許容されていました。しかし、現在は「、」(テン)を用いることが原則とされています。いずれの場合も、一つの文書内で表記を統一することが重要です。
まとめ
- 公用文の句読点は、正確な情報伝達と誤解防止が目的。
- 句点「。」は文の終わりに、読点「、」は文の区切りに使うのが原則。
- 横書きの読点は「、」が原則だが、「,」も統一すれば使用可能。
- 括弧内の文には句点を打つが、名詞や単語には打たない。
- 文末の括弧は、注釈の種類で句点の位置が変わる。
- 箇条書きは、文章なら句点あり、単語なら句点なし。
- 中点「・」は並列語句や外来語の区切りに用いる。
- 隅付き括弧【】は項目や強調に使える。
- 一文を短く簡潔にまとめることで読みやすさが高まる。
- 読点を活用し、係り受けを明確にすることが大切。
- 文書全体で句読点の表記を統一する。
- 読点の打ちすぎや不足は誤解の原因となる。
- 声に出して読むことで、自然な読点の位置を見つけられる。
- 公用文作成の際は「公用文作成の考え方」を参照する。
- 読み手への配慮を忘れず、分かりやすい文書作成を心がける。
