耳の前にしこりを見つけて、不安な気持ちを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。触ると動くもの、痛みがあるもの、いつの間にか大きくなっているものなど、その特徴はさまざまです。本記事では、耳介前リンパ節にしこりができる原因から、考えられる病気、そして医療機関を受診する適切なタイミングまで、詳しく解説します。
あなたの不安を少しでも和らげ、適切な行動へとつながる情報をお届けします。
耳介前リンパ節しこりとは?気になるその正体と役割

耳の前にできるしこりには、さまざまな種類がありますが、その一つに「耳介前リンパ節の腫れ」があります。このリンパ節は、私たちの体を守る免疫機能において重要な役割を担っています。しこりの正体を知ることは、不安を解消するための第一歩となるでしょう。
耳介前リンパ節の場所と働き
耳介前リンパ節は、耳の穴のすぐ前、顔の側面にある小さなリンパ節です。全身に存在するリンパ節の一つであり、主に耳や顔、頭皮などから集まるリンパ液をろ過し、細菌やウイルス、異物などを除去する働きをしています。いわば、体の免疫システムの監視役として、病原体が体内に広がるのを防ぐ重要な役割を担っているのです。
しこりができるとはどういうことか
リンパ節にしこりができるのは、通常、体内で何らかの異変が起きているサインです。多くの場合、細菌やウイルスなどの感染症に対する免疫反応としてリンパ節が活発に働き、腫れることでしこりとして触れるようになります。 しかし、感染症以外にも、良性の腫瘍や嚢胞、まれに悪性腫瘍が原因となることもあります。しこりの特徴によって原因は異なるため、注意深く観察することが大切です。
耳介前リンパ節にしこりができる主な原因

耳介前リンパ節にしこりができる原因は多岐にわたります。多くは一時的な炎症によるものですが、中には専門的な治療が必要な病気が隠れているケースもあります。ここでは、しこりの主な原因について詳しく見ていきましょう。
感染症による炎症
最も一般的な原因は、細菌やウイルスによる感染症です。風邪やインフルエンザ、扁桃炎、咽頭炎、中耳炎、外耳炎、虫歯、頭皮の湿疹やできものなど、耳や顔、頭部に近い場所で感染が起こると、耳介前リンパ節が反応して腫れることがあります。 この場合、しこりは痛みや圧痛を伴い、赤みや熱感、発熱などの全身症状を伴うこともあります。
感染症が治まれば、通常はしこりも徐々に小さくなります。
良性の腫瘍や嚢胞
感染症以外にも、良性の腫瘍や嚢胞がしこりの原因となることがあります。代表的なものとしては、皮膚の下に角質や皮脂がたまってできる「粉瘤(アテローム)」や、唾液腺にできる「耳下腺腫瘍」などが挙げられます。 粉瘤は、中央に黒い点が見られることがあり、押すと嫌な臭いのする内容物が出てくることもあります。 耳下腺腫瘍の多くは良性で、ゆっくりと大きくなる傾向があり、初期には痛みを伴わないことが多いです。
これらの良性のしこりは、命に関わることは少ないものの、大きくなったり炎症を起こしたりする可能性があるため、適切な診断と治療が望ましいでしょう。
稀なケースとしての悪性腫瘍
頻度は低いものの、耳介前リンパ節のしこりが悪性腫瘍のサインである可能性も否定できません。悪性リンパ腫や、他の部位から転移してきたがんがリンパ節に広がることでしこりとなることがあります。 悪性腫瘍によるしこりは、一般的に硬く、あまり動かず、痛みを伴わないことが多いですが、急速に大きくなることもあります。
また、発熱や体重減少、寝汗などの全身症状を伴う場合もあります。 不安な症状がある場合は、早期に医療機関を受診し、精密検査を受けることが重要です。
耳介前リンパ節しこりの症状と見分け方

耳介前リンパ節にしこりを見つけたとき、それがどのような性質のものなのか、ご自身で判断するのは難しいものです。しかし、しこりの特徴や伴う症状を観察することで、ある程度の目安を立てることができます。ここでは、しこりの見分け方について解説します。
しこりの特徴(大きさ、硬さ、痛み、可動性)
しこりの特徴は、その原因を探る上で重要な手がかりとなります。例えば、感染症によるリンパ節の腫れは、触ると弾力があり、軽く動くことが多く、痛みや圧痛を伴う傾向があります。 一方、粉瘤のような良性腫瘍は、皮膚の下でクリクリと動き、痛みがないことが多いですが、炎症を起こすと赤く腫れて強い痛みを伴うこともあります。
悪性腫瘍の場合は、硬く、周囲の組織に固定されて動きにくく、痛みを伴わないことが多いとされていますが、急速に大きくなることもあります。 しこりの大きさや硬さ、痛み、そして皮膚との間の動きやすさ(可動性)を注意深く観察してみましょう。
しこり以外の随伴症状
しこりそのものの特徴だけでなく、他にどのような症状が伴っているかも重要な情報です。感染症によるリンパ節の腫れであれば、発熱、倦怠感、のどの痛み、鼻水などの風邪のような症状や、耳の痛み、頭皮の湿疹など、原因となる感染部位の症状が見られることがあります。 また、自己免疫疾患が原因の場合は、関節痛や発疹を伴うこともあります。
悪性腫瘍の場合には、発熱、寝汗、体重減少といった全身症状が見られることもあります。 これらの随伴症状は、しこりの原因を特定するための大切な手がかりとなるため、見逃さないようにしましょう。
こんな症状が出たら要注意!医療機関を受診する目安

耳の前のしこりは、多くの場合、心配のない良性のものですが、中には専門的な検査や治療が必要なケースも存在します。どのような場合に医療機関を受診すべきか、その目安を知っておくことは、早期発見と適切な対処につながります。
すぐに受診すべき危険なサイン
以下のような症状が見られる場合は、できるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。しこりが急速に大きくなる、硬くて動かない、痛みがなく徐々に大きくなる、発熱や体重減少、寝汗などの全身症状を伴う、顔面神経麻痺(顔の動きが悪くなる)がある、といった症状は、悪性腫瘍や重篤な感染症の可能性を示唆していることがあります。
特に、しこりが2週間以上続く場合や、悪性の可能性が少しでもある場合は、自己判断せずに医師の診察を受けることが大切です。
様子を見ても良いケースと注意点
風邪や軽い炎症に伴って一時的にリンパ節が腫れている場合など、しこりが小さく、柔らかく、痛みや発熱を伴い、数日で自然に小さくなる傾向がある場合は、しばらく様子を見ても良いことがあります。 しかし、たとえ良性のしこりであっても、放置することで炎症が悪化したり、化膿したりするリスクがあります。 また、粉瘤のように自然に治らないものもあります。
痛みがなくても、しこりが気になる、不安が続く、あるいは徐々に大きくなるといった変化が見られる場合は、念のため医療機関を受診し、医師に相談することが安心につながります。
耳介前リンパ節しこりの診断と治療の進め方

耳介前リンパ節にしこりが見つかった場合、その原因を正確に診断し、適切な治療へとつなげることが大切です。医療機関では、さまざまな検査を通じてしこりの正体を探り、一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立てていきます。
医療機関での検査内容
医療機関を受診すると、まず医師による問診と視診、触診が行われます。しこりの大きさ、硬さ、痛み、可動性、周囲の皮膚の状態などを詳しく確認します。 その後、必要に応じて以下のような検査が行われることがあります。
- 血液検査:炎症の有無や感染症の種類、全身の状態などを調べます。
- 超音波(エコー)検査:しこりの内部構造、大きさ、深さ、血流などをリアルタイムで確認できる、体に負担の少ない検査です。良性か悪性かの鑑別にも役立ちます。
- CT検査・MRI検査:しこりの詳細な位置や周囲の組織との関係、広がりなどをより詳しく調べるために行われます。
- 穿刺吸引細胞診:しこりに細い針を刺し、細胞を採取して顕微鏡で調べる検査です。良性か悪性かを判断する上で重要な情報が得られます。
- 生検(組織検査):しこりの一部または全体を切除し、病理組織学的に詳しく調べる検査です。最終的な確定診断に用いられます。
これらの検査を組み合わせることで、しこりの原因を特定し、最適な治療方法を決定します。
しこりの原因に応じた治療法
しこりの原因によって、治療法は大きく異なります。
- 感染症の場合:細菌感染であれば抗生物質、ウイルス感染であれば対症療法が中心となります。炎症を抑える薬が処方されることもあります。
- 粉瘤の場合:炎症を起こしていなければ、手術で袋ごと摘出することが根本的な治療となります。炎症が強い場合は、まず膿を出す処置を行い、炎症が治まってから手術を検討します。
- 良性腫瘍(耳下腺腫瘍など)の場合:多くは経過観察が可能ですが、大きくなったり、症状が出たりする場合は、外科手術による摘出が検討されます。
- 悪性腫瘍の場合:手術、放射線治療、化学療法などを組み合わせて治療が行われます。がんの種類や進行度によって治療計画は大きく異なります。
治療の進め方については、医師から詳しい説明を受け、納得した上で選択することが大切です。
よくある質問

耳の前のしこり、何科に行けばいい?
耳の前のしこりを見つけた場合、まずは耳鼻咽喉科を受診するのが良いでしょう。耳鼻咽喉科は、耳や鼻、喉、首の疾患を専門としており、リンパ節の腫れや耳下腺腫瘍、粉瘤など、耳の周りのしこりの診断と治療に対応できます。 皮膚科や形成外科でも対応可能な場合もありますが、迷った際は耳鼻咽喉科を選ぶと安心です。
耳の前のしこり、痛くないけど大丈夫?
痛みのないしこりでも、必ずしも心配がないとは限りません。良性の粉瘤や脂肪腫は痛みを伴わないことが多いですが、悪性腫瘍も初期には痛みがなく進行することがあります。 痛みがなくても、しこりが徐々に大きくなる、硬い、動かない、といった特徴がある場合は、念のため医療機関を受診し、医師の診察を受けることをおすすめします。
耳の前のしこり、自然に治る?
しこりの原因によって異なります。風邪や軽い感染症によるリンパ節の腫れであれば、感染が治まるとともに自然に小さくなることが多いです。 しかし、粉瘤や良性腫瘍は自然に治ることはなく、時間とともに大きくなる傾向があります。 また、悪性腫瘍は放置すると進行してしまうため、自然治癒を期待せず、早めに医療機関を受診することが大切です。
耳の前のしこり、子供にもできる?
はい、子供にも耳の前のしこりができることがあります。子供の場合、風邪や中耳炎、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)などの感染症によるリンパ節の腫れや耳下腺の炎症が主な原因となることが多いです。 また、先天性の耳瘻孔(じろうこう)が炎症を起こしてしこりのように見えることもあります。 子供のしこりも、大人と同様に、気になる場合は小児科や耳鼻咽喉科を受診して相談しましょう。
耳の前のしこり、癌の可能性は?
耳の前のしこりが癌である可能性は、頻度としては高くありませんが、ゼロではありません。特に、耳下腺がんや悪性リンパ腫、他の部位からの転移がんなどが考えられます。 しこりが硬い、動かない、急速に大きくなる、痛みがなく進行する、発熱や体重減少などの全身症状を伴う場合は、癌の可能性も考慮し、速やかに専門医の診察を受けるべきです。
まとめ
- 耳介前リンパ節は、耳の前に位置し、免疫機能の重要な役割を担っています。
- しこりの多くは、感染症によるリンパ節の炎症が原因です。
- 粉瘤や耳下腺腫瘍などの良性腫瘍も、しこりの一般的な原因です。
- 稀に、悪性腫瘍(癌)がしこりの原因となることがあります。
- しこりの大きさ、硬さ、痛み、可動性を観察することが大切です。
- 発熱や倦怠感など、しこり以外の随伴症状にも注意しましょう。
- しこりが急速に大きくなる、硬く動かない、痛みがなく進行する際は要注意です。
- 発熱、体重減少、寝汗などの全身症状を伴う場合は、速やかに受診を検討してください。
- 耳の前のしこりには、耳鼻咽喉科の受診がおすすめです。
- 超音波検査や血液検査、細胞診などが診断に用いられます。
- 治療法は、しこりの原因によって大きく異なります。
- 感染症には抗生物質、粉瘤には手術が主な治療法です。
- 良性腫瘍は経過観察や手術、悪性腫瘍は複合的な治療が行われます。
- 痛みがなくても、気になるしこりは放置せず、医師に相談しましょう。
- 子供のしこりも、感染症や先天性のものが考えられます。
- 不安な気持ちを抱え込まず、専門医の意見を聞くことが安心につながります。
