「随時血糖が低い」と聞くと、漠然とした不安を感じる方もいるかもしれません。食事とは関係なく測った血糖値が低い状態は、体からの大切なサインです。放置すると体に大きな影響を及ぼす可能性もあるため、その意味や対処法を知っておくことは非常に重要です。
本記事では、随時血糖が低い状態、つまり低血糖について、その症状や原因、そして緊急時の適切な対処法から日々の予防策まで、分かりやすく解説します。あなたの健康を守るための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
随時血糖が低い状態とは?低血糖の基本を理解しよう

随時血糖が低いとは、食事の時間に関わらず測定した血糖値が、正常範囲よりも低い状態を指します。これは一般的に「低血糖」と呼ばれ、私たちの体がエネルギー源であるブドウ糖を十分に利用できていないことを示しています。低血糖は、軽度であれば自覚症状も少ないことがありますが、進行すると意識障害など重篤な状態に陥ることもあるため、その基本的な知識を持つことが大切です。
低血糖の定義と基準値
低血糖は、血液中のブドウ糖濃度が一定の基準値を下回った状態を指します。一般的に、血糖値が70mg/dL未満になると低血糖と判断されます。特に、血糖値が50mg/dLを下回ると、意識障害などの重篤な症状が現れるリスクが高まります。この基準値は、糖尿病の有無にかかわらず、すべての人に共通するものです。
血糖値は食事や運動、ストレスなど様々な要因で変動するため、随時血糖値が低い場合は、その原因を詳しく探ることが重要になります。
随時血糖値が低いことの重要性
随時血糖値が低いことは、単なる一時的な体調不良として見過ごされがちですが、体にとっては重要な意味を持ちます。私たちの脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源としているため、血糖値が低下すると脳機能に直接影響が出ます。集中力の低下やめまい、さらには意識を失うといった症状に繋がることもあります。また、低血糖が頻繁に起こる場合は、何らかの病気が隠れている可能性も考えられます。
そのため、随時血糖値が低い状態が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、専門家のアドバイスを求めることが大切です。
見逃さないで!低血糖の主な症状とサイン

低血糖の症状は、血糖値の低下度合いによって様々です。初期の軽度な症状から、放置すると危険な重度な症状まで、段階的に現れることが特徴です。自分の体に起こる変化に敏感になり、早めにサインに気づくことが、適切な対処に繋がります。ここでは、低血糖の主な症状を段階別に解説します。
軽度な症状:初期のサインに気づくコツ
血糖値が70mg/dLを下回る程度の軽度な低血糖では、体は血糖値を上げようと様々なホルモンを分泌します。このときに現れるのが、以下のような初期症状です。これらは自律神経症状とも呼ばれ、比較的早く気づきやすいサインです。
- 手の震え
- 動悸
- 冷や汗
- 強い空腹感
- 不安感
- 顔面蒼白
- 脱力感
これらの症状を感じたら、低血糖の可能性を疑い、すぐに血糖値を測定する、または糖分を補給するなどの対処を始めることが、重症化を防ぐコツです。特に、糖尿病治療中の方は、常にこれらのサインに注意を払う必要があります。
中等度から重度な症状:危険な状態を把握する
軽度な低血糖のサインを見逃し、血糖値がさらに低下すると、脳へのブドウ糖供給が不足し、より深刻な症状が現れます。血糖値が50mg/dLを下回るような中等度から重度な低血糖では、以下のような症状が見られます。
- 頭痛
- めまい
- 集中力の低下
- 眠気
- 生あくび
- ろれつが回らない
- 異常な言動
- けいれん
- 意識障害(昏睡)
これらの症状は、周囲の人から見ても異変に気づきやすいものです。もし、身近な人がこのような状態になった場合は、すぐに糖分を補給させ、意識がない場合は救急車を呼ぶなど、迅速な対応が求められます。特に、意識障害は命に関わる危険な状態であるため、決して軽視してはいけません。
随時血糖が低くなる原因とは?あなたの生活習慣に潜むリスク

随時血糖が低くなる原因は多岐にわたります。日々の食事や運動といった生活習慣が影響することもあれば、服用している薬や、場合によっては病気が隠れていることもあります。自分の低血糖の原因を知ることは、適切な対策を講じる上で非常に重要です。ここでは、低血糖を引き起こす主な原因について詳しく見ていきましょう。
食事のタイミングや内容が影響する場合
食事は血糖値に直接影響を与えるため、そのタイミングや内容が低血糖の原因となることがあります。例えば、食事を抜いたり、極端に食事量が少なかったりすると、体に必要なブドウ糖が供給されず、血糖値が低下することがあります。また、炭水化物の摂取量が不足している場合や、消化吸収の早い糖質ばかりを摂取し、その後のインスリン分泌が過剰になる「反応性低血糖」も、食後に血糖値が急激に下がる原因となります。
バランスの取れた食事を規則正しく摂ることが、低血糖予防の基本です。
運動と低血糖の関係
運動は血糖値を下げる効果があるため、特に糖尿病治療中の方や、運動前に十分な糖質を摂取していない場合に低血糖を引き起こすことがあります。激しい運動や長時間の運動は、体内のブドウ糖を大量に消費するため、運動中や運動後に血糖値が低下しやすくなります。運動を行う際は、事前に血糖値を測定し、必要に応じて補食を摂るなど、低血糖対策を行うことが大切です。
また、運動後も血糖値が下がりやすいことがあるため、注意が必要です。
薬剤による低血糖
糖尿病の治療薬、特にインスリン注射やSU薬(スルホニル尿素薬)は、血糖値を下げる作用があるため、用量やタイミングを誤ると低血糖を引き起こす可能性があります。薬の量が多すぎたり、食事を摂らないまま薬を服用したりすると、血糖値が過度に低下してしまうのです。薬剤による低血糖は、糖尿病患者さんにとって最も一般的な低血糖の原因の一つです。
医師や薬剤師の指示に従い、正しく薬を使用することが、低血糖を防ぐ上で非常に重要です。
病気が原因となる低血糖
稀ではありますが、特定の病気が原因で低血糖が起こることもあります。例えば、膵臓にインスリンを過剰に分泌する腫瘍(インスリノーマ)がある場合や、肝臓病、腎臓病、副腎皮質機能低下症、甲状腺機能低下症などが低血糖を引き起こすことがあります。これらの病気は、血糖値の調節機能に異常をきたすため、低血糖が繰り返し起こる原因となります。
原因不明の低血糖が続く場合は、必ず医療機関を受診し、精密検査を受けることが必要です。
アルコール摂取と低血糖
アルコールは、肝臓での糖新生(ブドウ糖を新たに作り出す働き)を抑制する作用があるため、特に空腹時や食事量が少ない状態で摂取すると低血糖を引き起こしやすくなります。肝臓は、血糖値が下がったときにブドウ糖を供給する重要な役割を担っていますが、アルコールを摂取するとその機能が妨げられてしまうのです。また、アルコールは血糖値を下げる糖尿病治療薬の効果を増強させることもあります。
飲酒は控えめにし、空腹時の飲酒は避けるなど、注意が必要です。
低血糖が起きたらどうする?緊急時の適切な対処法

もし低血糖の症状が現れた場合、迅速かつ適切な対処が非常に重要です。特に、意識がはっきりしているうちに早めに対応することで、重症化を防ぎ、安全を確保できます。ここでは、低血糖が起きた際の緊急時の対処法について解説します。
すぐに糖分を補給するコツ
低血糖の症状を感じたら、まずすぐに糖分を補給することが最も大切です。吸収の早い糖質を摂ることで、速やかに血糖値を上昇させることができます。具体的には、以下のようなものがおすすめです。
- ブドウ糖タブレット:10g程度
- 砂糖:20g程度(スティックシュガー2本、角砂糖4~5個)
- 清涼飲料水:150~200ml(糖質10~20g程度を含むもの、ジュースなど)
これらの糖分を摂取したら、15分程度安静にして様子を見ましょう。症状が改善しない場合や、血糖値がまだ低い場合は、再度同じ量の糖分を摂取してください。ただし、チョコレートやケーキなどの脂質が多い食品は、糖の吸収が遅れるため、緊急時の対処には適していません。
安静にして様子を見る
糖分を補給した後は、無理に動かず、安静にして様子を見ることが重要です。体を動かすと、さらにブドウ糖が消費されてしまい、血糖値の回復を妨げる可能性があります。座るか横になるなどして、落ち着いて体の変化を感じ取りましょう。症状が改善し、血糖値が安定してきたら、通常の活動に戻って問題ありません。
しかし、症状が改善しない場合は、迷わず医療機関に連絡してください。
医療機関への連絡と受診の目安
糖分を補給しても症状が改善しない場合や、意識が朦朧としている、けいれんを起こしているなど、重度な低血糖の症状が見られる場合は、すぐに医療機関に連絡するか、救急車を呼ぶ必要があります。特に、意識がない場合は、周囲の人が迅速に対応することが命を救うことに繋がります。また、低血糖が頻繁に起こる場合や、原因が特定できない場合は、一度医療機関を受診し、医師に相談することをおすすめします。
適切な診断と治療を受けることで、低血糖のリスクを管理し、安心して日常生活を送れるようになります。
低血糖を未然に防ぐ!日々の生活でできる予防策

低血糖は、一度経験すると不安になるものです。しかし、日々の生活習慣を見直すことで、その発生リスクを大幅に減らすことができます。特に、食事内容や生活リズム、運動の仕方など、ちょっとした工夫が低血糖予防に繋がります。ここでは、低血糖を未然に防ぐための具体的な予防策をご紹介します。
食事内容と摂取方法の見直し
低血糖を防ぐためには、食事内容と摂取方法を見直すことが非常に重要です。まず、食事は規則正しい時間に摂り、食事を抜かないように心がけましょう。特に朝食は、寝ている間に消費されたブドウ糖を補給するために欠かせません。また、炭水化物、タンパク質、脂質をバランス良く摂取し、特に炭水化物は、消化吸収がゆっくりな複合糖質(全粒穀物、野菜、豆類など)を選ぶと、血糖値の急激な上昇と下降を防ぐことができます。
食物繊維が豊富な食品も、糖の吸収を穏やかにする効果が期待できます。間食をする場合は、血糖値が急激に上がりにくいナッツ類や乳製品などを選ぶのがおすすめです。
規則正しい生活習慣の確立
規則正しい生活習慣は、血糖値の安定に大きく貢献します。十分な睡眠時間を確保し、ストレスを溜めないようにすることも大切です。睡眠不足やストレスは、血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促し、その後の血糖値の乱れに繋がることがあります。また、飲酒は控えめにし、空腹時の飲酒は避けるようにしましょう。
アルコールは肝臓での糖新生を妨げ、低血糖を引き起こすリスクを高めます。日々の生活リズムを整えることで、体のホルモンバランスも安定し、血糖値のコントロールがしやすくなります。
適度な運動とタイミング
適度な運動は健康維持に欠かせませんが、低血糖予防の観点からは、そのタイミングと内容に注意が必要です。運動は血糖値を下げる効果があるため、特に糖尿病治療中の方は、運動前に血糖値を測定し、必要に応じて補食を摂るなどの対策を講じましょう。食後1~2時間後の運動は、血糖値の急激な上昇を抑え、その後の低血糖リスクも低減するため、おすすめです。
また、激しい運動よりも、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を継続的に行う方が、血糖値の安定には効果的です。運動中に低血糖の症状を感じたら、すぐに運動を中断し、糖分を補給してください。
よくある質問

ここでは、随時血糖が低いことに関してよく寄せられる質問にお答えします。
- 血糖値が低いとどうなりますか?
- 血糖値が低いと何を食べればいいですか?
- 血糖値が低いのはなぜですか?
- 血糖値が低いとどんな症状が出ますか?
- 低血糖は治りますか?
- 低血糖は放置するとどうなりますか?
- 低血糖になりやすい人の特徴は?
- 低血糖でやってはいけないことは?
血糖値が低いとどうなりますか?
血糖値が低いと、体はエネルギー源であるブドウ糖が不足している状態になります。これにより、脳の機能が低下し、集中力の低下、めまい、頭痛、眠気などの症状が現れます。さらに血糖値が下がると、手の震え、動悸、冷や汗、強い空腹感といった自律神経症状が出現します。重度になると、意識障害やけいれんを起こし、命に関わる危険な状態になることもあります。
血糖値が低いと何を食べればいいですか?
血糖値が低いと感じたら、すぐに吸収の早い糖分を摂取することが大切です。具体的には、ブドウ糖タブレット(10g程度)、砂糖(20g程度)、または糖質を10~20g程度含む清涼飲料水(ジュースなど150~200ml)がおすすめです。チョコレートやケーキなど脂質の多い食品は、糖の吸収が遅れるため、緊急時の対処には適していません。
糖分摂取後15分程度で症状が改善しない場合は、再度同じ量を摂取してください。
血糖値が低いのはなぜですか?
血糖値が低くなる原因はいくつか考えられます。最も一般的なのは、糖尿病治療薬(インスリン注射やSU薬など)の量が多い、またはタイミングが合わない場合です。その他、食事を抜いたり、食事量が少なかったりする、過度な運動、アルコールの過剰摂取などが原因となることがあります。稀に、膵臓の腫瘍(インスリノーマ)や肝臓病、腎臓病などの病気が原因で低血糖が起こることもあります。
血糖値が低いとどんな症状が出ますか?
血糖値が低いと、初期には手の震え、動悸、冷や汗、強い空腹感、不安感、顔面蒼白などの症状が現れます。さらに血糖値が低下すると、頭痛、めまい、集中力の低下、眠気、生あくび、ろれつが回らない、異常な言動、けいれん、意識障害(昏睡)といった重い症状が出ることがあります。これらの症状は個人差があり、同じ人でもその時々で異なる場合があります。
低血糖は治りますか?
低血糖の原因によって、「治る」かどうかの見解は異なります。糖尿病治療薬による低血糖の場合は、薬の量やタイミングを調整することで予防・管理が可能です。食事や生活習慣が原因の場合は、それらを見直すことで改善が見込めます。しかし、インスリノーマなどの病気が原因の場合は、その病気の治療が必要となります。原因を特定し、適切な対処を行うことで、低血糖の発生を抑えることは十分に可能です。
低血糖は放置するとどうなりますか?
低血糖を放置すると、血糖値がさらに低下し、脳へのブドウ糖供給が不足して重篤な状態に陥る可能性があります。特に危険なのは、意識障害やけいれんです。意識を失うと、転倒による怪我や、適切な対処が遅れることで命に関わる事態に発展することもあります。繰り返し低血糖を経験すると、低血糖への体の反応が鈍くなり、症状に気づきにくくなる「無自覚性低血糖」になるリスクも高まります。
低血糖になりやすい人の特徴は?
低血糖になりやすい人にはいくつかの特徴があります。糖尿病治療中でインスリン注射やSU薬を使用している人、食事を不規則に摂る人、極端なダイエットをしている人、過度な運動をする人、アルコールを多量に摂取する人などが挙げられます。また、肝臓や腎臓に疾患がある人、特定のホルモン異常がある人も低血糖のリスクが高まります。
高齢者や、低血糖の症状を自覚しにくい人も注意が必要です。
低血糖でやってはいけないことは?
低血糖の際にやってはいけないこととして、まず「放置すること」が挙げられます。症状を感じたらすぐに糖分を補給しましょう。また、チョコレートやケーキなど、脂質が多くて糖の吸収が遅い食品を緊急時の糖分補給に使うのは避けるべきです。症状が改善しないのに無理に活動を続けることも危険です。意識がない人に無理やり食べ物や飲み物を口に入れるのも、誤嚥のリスクがあるため絶対に行ってはいけません。
その場合は、すぐに救急車を呼ぶことが最優先です。
まとめ
- 随時血糖が低い状態は「低血糖」と呼ばれ、血糖値が70mg/dL未満で判断される。
- 低血糖は放置すると意識障害など重篤な状態に繋がる危険性がある。
- 軽度な症状は手の震え、動悸、冷や汗、強い空腹感など。
- 重度な症状は頭痛、めまい、意識障害、けいれんなど。
- 低血糖の原因は食事、運動、薬剤、病気、アルコールなど多岐にわたる。
- 緊急時はブドウ糖10g、砂糖20g、または清涼飲料水150~200mlを摂取する。
- 糖分摂取後は安静にして、症状が改善しない場合は医療機関へ連絡する。
- 低血糖予防には規則正しい食事と生活習慣が重要である。
- バランスの取れた食事と、消化吸収が穏やかな複合糖質を意識する。
- 適度な運動は食後1~2時間後に行うのがおすすめ。
- 糖尿病治療中の場合は、医師の指示に従い薬剤を正しく使用する。
- 原因不明の低血糖が続く場合は、必ず医療機関を受診する。
- アルコールは肝臓の糖新生を妨げ、低血糖を誘発しやすい。
- 低血糖の症状を自覚したら、決して放置しないことが大切。
- 無自覚性低血糖のリスクもあるため、日頃から注意が必要。
