突然、吐瀉物が赤く染まっているのを見て、不安や焦りを感じていませんか?「これは血なのだろうか」「何か重大な病気が隠れているのではないか」と心配になるのは当然のことです。赤い吐瀉物は、時に命に関わる危険なサインである可能性もあります。しかし、必ずしも深刻な病気が原因とは限らず、食べ物の色による場合もあります。
本記事では、赤い吐瀉物が出た際に考えられる原因を詳しく解説し、緊急性の高いサインから、吐血と食べ物の見分け方、そして適切な対処法まで具体的に紹介します。ご自身の判断で様子を見ることなく、正しい知識を持って冷静に対応できるよう、ぜひ参考にしてください。
吐瀉物が赤いのはなぜ?考えられる主な原因

吐瀉物が赤くなる原因は多岐にわたり、その色合いや状態によって、出血源や緊急性が異なります。鮮やかな赤色の場合は比較的新しい出血を意味し、緊急性が高いこともあります。一方で、黒っぽくコーヒーの粉のような色をした吐瀉物は、胃酸と反応して血液が変色したもので、出血が少し時間を経ていることを示しています。ここでは、赤い吐瀉物が出る主な原因について詳しく見ていきましょう。
鮮血が混じる場合:上部消化管からの出血
吐瀉物に鮮やかな赤い血が混じっている場合、食道や胃の入り口付近など、胃酸にあまり触れられていない比較的新しい出血が考えられます。これは、出血が始まってから吐き出すまでの時間が短いことを意味します。例えば、激しい嘔吐を繰り返した際に、食道と胃のつなぎ目付近の粘膜が縦に裂けて出血する「マロリー・ワイス症候群」が挙げられます。
また、肝硬変などの肝臓の病気に伴い、食道の静脈が膨らんで破裂する「食道静脈瘤破裂」も、大量の鮮血を吐く原因となります。 これらの状態は、命に関わる緊急性の高いケースも含まれるため、速やかな医療機関の受診が重要です。
コーヒー残渣のような場合:胃や十二指腸からの出血
吐瀉物が黒に近い暗褐色で、コーヒーの出し殻に似た粒状になっている場合、胃や十二指腸からの出血が考えられます。 これは、出血した血液が胃酸と混ざり、時間が経つことで酸化して黒っぽく変色するためです。 「コーヒー残渣様嘔吐」と呼ばれるこの状態は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が主な原因となることが多いです。 これらの潰瘍は、ピロリ菌感染や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用、ストレスなどが発症のリスクを高めます。
出血が続くと貧血の症状が現れることもあります。
食道や口からの出血
吐瀉物に血が混じっていても、必ずしも胃や十二指腸からの出血とは限りません。口の中や鼻からの出血が原因である可能性もあります。例えば、歯ぐきからの出血や鼻血が喉に流れ込み、それを飲み込んだ後に吐き出すと、血が混じった嘔吐のように見えることがあります。 また、激しい咳によって気道からの出血(喀血)が起こり、それが吐瀉物と混じって出てくるケースも考えられます。
これらの場合は、消化管からの出血とは区別されますが、自己判断はせずに医療機関で確認を受けることが大切です。
食べ物や飲み物の影響
赤い吐瀉物が出た場合、まず冷静に最近食べたものや飲んだものを振り返ってみましょう。赤色系の食べ物や飲み物、例えばトマトソース、イチゴ、赤ワイン、着色料の多いお菓子などを摂取した後に吐瀉物が赤くなることがあります。 特に、体調が落ち着いており、腹痛やめまい、冷や汗などの他の症状が全くない場合は、食べ物の色が原因である可能性も考えられます。
しかし、「どうせ食べ物のせいだろう」という安易な思い込みは危険です。たまたま赤いものを食べたタイミングと、胃潰瘍などによる実際の出血が重なってしまうケースもゼロではないため、少しでも不安を感じる場合は医師に相談することが重要です。
吐瀉物が赤い時にすぐ病院に行くべきケース

赤い吐瀉物が出た場合、その状況によっては緊急性の高い医療処置が必要となることがあります。特に、以下に挙げるような症状が一つでも当てはまる場合は、ためらわずに救急車を呼ぶか、速やかに医療機関を受診することが大切です。厚生労働省も吐血は「ためらわずに救急車を呼ぶべき症状」として注意喚起しています。 自己判断で様子を見ることなく、すぐに専門家の助けを求めましょう。
意識障害やめまいがある場合
吐瀉物が赤いことに加えて、意識がぼんやりする、呼びかけへの反応が鈍い、立ち上がるとふらつく、めまいがするといった意識障害や貧血の症状がある場合は、大量出血によって体内の血液量が急激に減り、血圧が低下している可能性があります。 これは「ショック状態」と呼ばれる命に関わる危険な状態であり、一刻も早い緊急対応が必要です。
このような状態でご自身で車を運転したり、歩いて病院に向かったりするのは、途中で意識を失う危険があり大変危険です。
大量の出血がある場合
コップ1杯(約200mL)を超える多量の血を吐いた場合や、一度止まっても何度も吐血を繰り返すときは、命の危険が迫っているサインと考えられます。 大量の出血は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍からの多量出血や、食道静脈瘤破裂など、緊急性の高い病気が背景にあるかもしれません。 顔色が悪い、冷や汗が出る、脈が速いといった変化があれば、体にかなり負担がかかっているおそれがあります。
大量出血の場合は、速やかに救急車を呼ぶことが最優先です。
腹痛や胸の痛みを伴う場合
赤い吐瀉物に加えて、強い腹痛や胸の痛みを伴う場合は、胃や食道に重篤な損傷がある可能性があります。例えば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が進行して穴が開いてしまう「潰瘍穿孔」は、激しい腹痛を伴い緊急手術が必要になる場合があります。 また、激しい嘔吐後に胸の痛みが現れる場合は、食道が破裂する「ブールハーフェ症候群」のような命に関わる緊急疾患も考えられます。
これらの症状がある場合は、自己判断せずにすぐに医療機関を受診してください。
持病がある場合や高齢者の場合
肝臓の病気(特に肝硬変)を指摘されている方や、血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)を飲んでいる方、痛み止め(特にロキソニンなどのNSAIDs)をよく服用する方、ピロリ菌に感染している、または過去に胃潰瘍などを患った経験がある方は、吐血のリスクが高いため、より一層の注意が必要です。 特に高齢の方では、少ない出血でも症状が強く出ることがあり、体への影響が先に出ることもあります。
これらの持病がある方や高齢者が赤い吐瀉物を認めた場合は、症状が軽く見えても速やかに医療機関を受診しましょう。
吐瀉物が赤い時の緊急時の対処法

赤い吐瀉物が出た場合、その状況に驚き、パニックになってしまうかもしれません。しかし、冷静に適切な対処をすることが、ご自身の命や健康を守るために非常に重要です。ここでは、緊急時に取るべき具体的な対処法について解説します。落ち着いて行動し、速やかに医療機関へ相談する準備をしましょう。
落ち着いて状況を確認する
まず、ご自身や周囲の人が赤い吐瀉物を認めたら、落ち着いて状況を確認することが大切です。吐瀉物の色(鮮血か、コーヒー残渣様か)、量(少量か、大量か)、そして吐瀉物以外の症状(腹痛、胸痛、めまい、冷や汗、意識障害など)の有無を注意深く観察しましょう。 これらの情報は、医療機関を受診した際に医師に伝える重要な情報となります。
可能であれば、吐瀉物の写真をスマートフォンで撮影しておくと、医師が状態を判断する上で役立ちます。 また、口の中をゆすいで清潔にし、楽な姿勢で横になり、落ち着くまでは水分も取らないほうが良いです。
医療機関への連絡と受診
赤い吐瀉物が出た場合、自己判断で様子を見るのではなく、適切な医療機関を受診することが何よりも重要です。 症状の緊急性に応じて、「消化器内科」または「救急外来」のどちらかを選ぶことになります。 大量の出血や意識障害、強い腹痛などを伴う場合は、ためらわずに119番通報し、救急車を呼びましょう。 比較的症状が落ち着いている場合でも、吐いたものに少量の血が混じっているなど、不安を感じる場合は消化器内科を受診してください。
病院ではまず出血の有無や程度を評価し、原因を特定した上で、最適な治療法を選択していきます。
吐瀉物の状態を伝える準備
医療機関を受診する際には、医師に正確な情報を伝えることが、迅速な診断と適切な治療につながります。以下の情報を整理しておくと良いでしょう。
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吐瀉物の色と量:鮮血だったか、コーヒー残渣様だったか、どのくらいの量だったか。
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いつから症状が出たか:初めて吐瀉物が赤くなったのはいつか。
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他の症状の有無:腹痛、胸痛、めまい、冷や汗、発熱、下痢、黒い便など、他に気になる症状はあったか。
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最近の食事内容:赤い色の食べ物や飲み物を摂取したか。
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既往歴や服用中の薬:持病やアレルギー、現在服用している薬(特に血液をサラサラにする薬や痛み止め)があるか。
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飲酒量や喫煙歴:アルコールの過剰摂取や喫煙習慣があるか。
これらの情報を正確に伝えることで、医師はより的確な診断を下し、適切な処置を行うことができます。
吐瀉物の色でわかる体のサイン

吐瀉物の色は、赤いものだけでなく、様々な色合いを示すことがあります。それぞれの色が体のどのような状態を示しているのかを知ることは、病気の早期発見や適切な対処に役立ちます。ここでは、赤い吐瀉物以外の代表的な色と、それが示す体のサインについて解説します。
茶色や黒っぽい吐瀉物
吐瀉物が茶色や黒っぽい場合、主に二つの可能性が考えられます。一つは、胃や十二指腸からの出血で、血液が胃酸と混ざり酸化することで黒っぽく変色し、「コーヒー残渣様嘔吐」となるケースです。 これは胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどが原因となることがあります。 もう一つは、消化管の下部からの出血や、腸閉塞などで便が逆流して吐き出される「糞便様嘔吐」です。
糞便様嘔吐は、強い糞便臭を伴うことが特徴です。 茶色や黒っぽい吐瀉物が出た場合は、消化管からの出血や重篤な消化器疾患の可能性も考えられるため、速やかに医療機関を受診しましょう。
緑色や黄色の吐瀉物
吐瀉物が緑色や黄色の場合、胆汁が混じっている可能性が高いです。 胆汁は肝臓で生成され、脂肪の消化を助けるために十二指腸に分泌される液体で、通常は嘔吐物に混じることはありません。 しかし、胃が空っぽの状態で激しく嘔吐を繰り返したり、腸閉塞などで胆汁が上部消化管に逆流したりすると、緑色や黄色の吐瀉物が出ることがあります。
ノロウイルス感染症やカンピロバクター腸炎などの感染性胃腸炎でも、何度も嘔吐することで胆汁が混じるケースがあります。 胆汁が混じった吐瀉物には苦味があることも特徴です。 嘔吐を繰り返す、強い腹痛や頭痛がある、体に麻痺やしびれがあるといった症状を伴う場合は、消化器や脳の病気が疑われるため、早急に医療機関を受診しましょう。
透明な吐瀉物
吐瀉物が透明な場合、主に胃液や唾液が吐き出されている状態です。これは、胃の中に食べ物がない状態で嘔吐を繰り返したり、吐き気が強くても胃の内容物が出し尽くされた後に続くことがあります。 ストレスや自律神経の乱れによって吐き気を感じ、胃液のみを吐くこともあります。 透明な吐瀉物であっても、嘔吐を繰り返すことで脱水状態になる恐れがあるため、注意が必要です。
症状が軽度の場合は、食事を控えて数時間安静を保ち、のどが渇いた場合は少量の水を少しずつ飲むようにしましょう。 しかし、吐き気が続く、水分摂取ができない、他の症状を伴う場合は、医療機関を受診して原因を特定することが大切です。
よくある質問

ここでは、赤い吐瀉物に関するよくある質問にお答えします。
- 子供の吐瀉物が赤い場合、どうすればいいですか?
- 吐瀉物が赤い場合、何科を受診すればいいですか?
- 吐瀉物が赤い場合、自宅でできる応急処置はありますか?
- 吐瀉物が赤い場合、どのくらいで治りますか?
- 吐瀉物が赤い場合、ストレスが原因になることはありますか?
子供の吐瀉物が赤い場合、どうすればいいですか?
子供の吐瀉物が赤い場合、大人と同様に緊急性の高いケースとそうでないケースがあります。まず、何を食べたか、鼻血を飲み込んでいないかなどを確認しましょう。 鮮血やコーヒー残渣のような吐瀉物、意識がぼんやりしている、ぐったりしている、激しい腹痛を訴える、何度も繰り返し吐く、唇が乾いているといった症状がある場合は、すぐに医療機関を受診するか、救急車を呼んでください。
元気があり、機嫌も悪くなく、おしっこもいつも通り出ている場合は、しばらく様子を見ても良いですが、症状が変わるようであれば受診しましょう。 小児科医に相談し、適切な指示を仰ぐことが大切です。
吐瀉物が赤い場合、何科を受診すればいいですか?
吐瀉物が赤い場合、受診すべき診療科は症状の緊急性に応じて異なります。 大量の出血や意識障害、強い腹痛など、緊急性の高い症状がある場合は、ためらわずに救急外来を受診するか、救急車を呼びましょう。 比較的症状が落ち着いているものの、吐瀉物に血が混じっている場合は、消化器内科を受診するのが適切です。 消化器内科では、胃カメラ検査などで出血源を特定し、適切な治療を受けることができます。
吐瀉物が赤い場合、自宅でできる応急処置はありますか?
吐瀉物が赤い場合の応急処置として、まず窒息や誤嚥を防ぐために、横になる場合は仰向けを避け、横向きになって口の中のものを外に流すようにしましょう。 落ち着くまでは水分摂取も控え、口をゆすぐ程度にしてください。 出血物の色や量をスマートフォンで撮影しておくと、医療機関で役立ちます。 市販の痛み止め(NSAIDs)や止瀉薬を服用している場合は、一時的に中止することも検討してください。
ただし、これらはあくまで一時的な対処であり、根本的な治療には医療機関での診察が必要です。
吐瀉物が赤い場合、どのくらいで治りますか?
吐瀉物が赤い原因によって、治るまでの期間は大きく異なります。例えば、激しい嘔吐による食道の粘膜の裂傷(マロリー・ワイス症候群)であれば、多くの場合、出血は自然に止まり、数日で回復することもあります。 しかし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、食道静脈瘤破裂など、重篤な病気が原因の場合は、内視鏡による止血処置や薬物療法、場合によっては手術が必要となり、治療期間も長くなることがあります。
自己判断で治るのを待つのではなく、必ず医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
吐瀉物が赤い場合、ストレスが原因になることはありますか?
直接的にストレスが原因で吐瀉物が赤くなることは稀ですが、ストレスが間接的に吐血を引き起こす可能性はあります。強いストレスは自律神経のバランスを崩し、胃の運動機能に影響を与えたり、胃酸の分泌を過剰にしたりすることがあります。 これにより、急性胃炎や胃潰瘍が悪化し、出血につながるケースも考えられます。 また、ストレスによる過度の飲酒や暴飲暴食が、マロリー・ワイス症候群などの原因となることもあります。
ストレスが原因で吐き気や嘔吐が続く場合は、心療内科や消化器内科に相談することも検討しましょう。
まとめ
- 吐瀉物が赤い場合、消化管からの出血や食べ物の影響など、様々な原因が考えられます。
- 鮮血の吐瀉物は食道や胃の入り口付近からの新しい出血を示唆し、マロリー・ワイス症候群や食道静脈瘤破裂の可能性があります。
- コーヒー残渣のような吐瀉物は、胃や十二指腸からの出血で、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が主な原因です。
- 口や鼻からの出血が吐瀉物に混じることもあります。
- 赤い色の食べ物や飲み物の摂取が原因である可能性もありますが、自己判断は危険です。
- 意識障害、めまい、大量の出血、強い腹痛や胸の痛みを伴う場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
- 持病がある方や高齢者は、症状が軽く見えても速やかに医療機関を受診してください。
- 緊急時は落ち着いて吐瀉物の色、量、他の症状を確認し、可能であれば写真を撮りましょう。
- 医療機関を受診する際は、症状の詳細、食事内容、既往歴、服用中の薬などを正確に伝えてください。
- 吐瀉物が茶色や黒っぽい場合は消化管出血、緑色や黄色の場合は胆汁が混じっている可能性があります。
- 透明な吐瀉物は胃液や唾液で、脱水に注意が必要です。
- 子供の吐瀉物が赤い場合も、大人の場合と同様に緊急性の判断が重要です。
- 受診すべき診療科は、緊急性に応じて消化器内科または救急外来です。
- ストレスは直接的な原因ではないものの、胃炎や潰瘍を悪化させ、間接的に吐血につながることがあります。
- 自己判断せず、少しでも不安を感じたら速やかに医療機関を受診することが大切です。
