ニホントカゲの飼育を始めたばかりの方や、これから飼育を考えている方にとって、彼らが何を食べるのかはとても重要な情報です。自然界での食性から、飼育下で与えるべき餌の種類、そして健康を維持するための与え方まで、知っておくべきことはたくさんあります。
本記事では、ニホントカゲの食べ物に関する疑問を解消し、彼らが長く元気に暮らせるよう、具体的な餌の種類や与え方のコツを詳しく解説します。ぜひ最後まで読んで、ニホントカゲとの生活をより豊かなものにするための参考にしてください。
ニホントカゲが自然界で食べるもの

ニホントカゲは、日本全国の平野部から山地にかけて広く生息しており、その食性は主に動物食です。彼らは日中に活発に動き回り、獲物を探して捕食します。自然界での彼らの食事は、生息環境によって多少異なりますが、基本的には動きのある小さな生き物が中心です。彼らの捕食行動は、動くものに本能的に反応する特性が強く表れています。
主食は小さな昆虫や節足動物
野生のニホントカゲの主食は、多種多様な昆虫や節足動物です。具体的には、コオロギ、バッタ、クモ、ハエなどが挙げられます。これらの獲物は、ニホントカゲが素早く動き回ることで捕らえられます。特にクモはニホントカゲの大好物として知られており、見つけると一心不乱に追いかける姿が見られます。
甲虫の幼虫なども食べますが、成虫のような固い殻を持つものはあまり好みません。柔らかい体を持つ幼虫の方が捕食しやすいからです。彼らは獲物の動きに敏感に反応し、瞬時に捕らえる高い狩りの能力を持っています。
ミミズやナメクジも食料源
昆虫やクモ以外にも、ニホントカゲはミミズやナメクジといった土壌生物も重要な食料源としています。特に雨上がりの後など、これらの生物が地表に出てくる際には、積極的に捕食する姿が観察されます。ミミズはニホントカゲが自然でも食べている餌の一つです。
これらの土壌生物は、ニホントカゲにとって手軽に得られる栄養源であり、食性の多様性を支える上で欠かせません。ただし、個体によってはミミズを好まない場合もあるため、一概に全てのニホントカゲが好んで食べるわけではありません。
まれに植物質や小型の脊椎動物も
ニホントカゲの食性は基本的に動物食ですが、昆虫などが不足する時期には、まれに果実などの植物質を食べることもあります。これは、栄養補給のための補助的な行動と考えられます。
また、ごく稀に小型の脊椎動物、例えば生まれたばかりのネズミや他の小型爬虫類の幼体などを捕食することもありますが、これは非常に限定的なケースです。彼らの主な栄養源はあくまで昆虫や節足動物であり、植物質や小型脊椎動物はあくまで補助的な役割に過ぎません。
飼育下でのニホントカゲの理想的な食べ物と与え方

飼育下でニホントカゲを健康に育てるためには、自然界での食生活にできるだけ近づけた餌を与えることが大切です。特に、彼らの捕食本能を刺激する「動きのある餌」が理想的です。適切な餌を選び、正しい方法で与えることが、長期的な健康維持につながります。
飼育の基本となる生餌の種類
ニホントカゲの飼育において、最も推奨されるのは生きた昆虫、つまり生餌です。生餌はニホントカゲの捕食本能を刺激し、活動的な生活を促します。ペットショップなどで手軽に入手できる生餌をいくつか組み合わせて与えるのが、栄養バランスを保つコツです。
- コオロギ:ニホントカゲの餌として最もポピュラーで、栄養価も高く、サイズも豊富に揃っています。フタホシコオロギやイエコオロギが一般的です。活発に動き回るため、ニホントカゲの食いつきも良いでしょう。ただし、ストックが大変で、鳴き声や臭いが気になることもあります。
- ミルワーム:入手が簡単で価格も安く、ストックしやすいのがメリットです。ニホントカゲの食いつきも良い傾向にあります。しかし、脂肪分が多く、主食にすると栄養が偏る可能性があるため、おやつ程度に与えるのがおすすめです。幼体にはサイズが大きすぎる場合があるので、注意が必要です。
- デュビア:栄養価が高く、繁殖も比較的容易なゴキブリの一種です。コオロギに比べて動きが遅いため、食いつきが弱い個体もいますが、安定した栄養源として活用できます。
- ワラジムシ・ダンゴムシ:カルシウムが豊富で、ニホントカゲにとって良い餌となります。採集も簡単で、ストックや繁殖も容易です。ただし、個体によってはあまり好まない場合もあります。ワラジムシの方がニホントカゲにとって適したサイズであることが多いです。
これらの生餌をローテーションで与えることで、栄養の偏りを防ぎ、食欲を維持しやすくなります。
栄養補助食品の重要性
飼育下で与える昆虫類だけでは、ニホントカゲに必要なカルシウムやビタミンD3が不足しがちです。これらの栄養素が不足すると、骨が軟化・変形する「クル病」などの深刻な病気を引き起こす可能性があります。 そこで、栄養補助食品の活用が不可欠です。
- カルシウム剤:骨格形成や神経の働きをサポートするために重要です。ビタミンD3が含まれていないタイプは、毎回または週4~5回程度の頻度で餌に軽くまぶして与えます。
- ビタミンD3入りカルシウム剤:日光浴やUVBライトが不足している環境で、体内でビタミンD3を合成できない場合に有効です。ただし、ビタミンD3は脂溶性で体内に蓄積されやすく、過剰摂取は中毒の原因となるため、週1回程度の使用に留めることが大切です。
- 総合ビタミン剤:ビタミンA、E、B群など、様々なビタミンを補給できます。週1回程度、少量を与えるのが目安です。
餌に粉末状のサプリメントをまぶして与えることを「ダスティング」と呼びます。小さなビニール袋やタッパーに餌となる昆虫と少量のパウダーを入れ、軽く振って全体に薄く粉をまぶしてから与えましょう。 ダスティングは与える直前に行い、粉をまぶしすぎないように注意することが大切です。
餌を与える頻度と量
ニホントカゲに餌を与える頻度と量は、成長段階によって異なります。適切な量と頻度を守ることで、肥満や消化不良を防ぎ、健康を維持できます。
- 幼体の場合:消化能力がまだ未熟なため、少量ずつこまめに与えるのが基本です。1日に1~2回、1~2匹のコオロギを目安に与えましょう。成長スピードが速い時期なので、こまめな栄養補給が重要です。
- 成体の場合:活動量や代謝が落ち着いてくるため、2~3日に1回の給餌でも問題ありません。一度に与える量は、5分以内に食べきれる程度を目安にしましょう。
餌を与えすぎると肥満や消化不良の原因になるため、注意が必要です。また、食べ残した餌はカビやダニの温床になる可能性があるため、必ず回収するようにしてください。 餌を与える時間は、夜よりも朝の方が食べることが多い傾向にあります。
ニホントカゲに与えてはいけない食べ物

ニホントカゲの健康を守るためには、与えてはいけない食べ物をしっかりと把握しておくことが重要です。誤った餌を与えてしまうと、消化不良や中毒、栄養失調など、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
人間が食べる加工食品や甘いもの
人間が食べる加工食品、特に塩分や添加物が多く含まれるもの、そして甘いお菓子などは、ニホントカゲには絶対に与えてはいけません。例えば、カニカマ、うどん、煮干し、ひまわりの種、シーチキンなどは、塩分過多や消化不良の原因となり、長期的な健康を損なうリスクがあります。 これらの食品は、ニホントカゲの消化器官に適しておらず、重篤な健康被害につながる可能性が高いです。
また、パンやご飯などの炭水化物も、ニホントカゲの消化システムには負担が大きすぎます。彼らは基本的に肉食であり、植物質の消化能力は低いため、人間用の食品を与えることは避けるべきです。たとえ空腹時に食べたとしても、健康維持には適していません。
毒性のある植物や農薬が付着した昆虫
自然採集した餌を与える際には、特に注意が必要です。毒性のある植物の近くで捕獲された昆虫や、農薬が散布された場所にいた昆虫は、ニホントカゲに有害な影響を与える可能性があります。例えば、殺虫剤が付着した昆虫を食べてしまうと、中毒症状を起こし、命に関わることもあります。
そのため、自然採集を行う場合は、農薬が使われていない安全な場所を選び、どのような植物が生えているかを確認することが大切です。また、野生のミミズなどには寄生虫がいる可能性もゼロではありません。 安全性を考慮すると、ペットショップなどで販売されている管理された生餌や、人工飼料を中心に与えるのが最も安心できる方法です。
ニホントカゲが餌を食べない時の原因と対処法

ニホントカゲが餌を食べなくなることは、飼育しているとよくある悩みの一つです。しかし、餌を食べない原因は様々であり、その原因を特定し、適切な対処をすることが大切です。焦らず、まずはニホントカゲの様子や飼育環境をじっくり観察してみましょう。
環境ストレスや温度の問題
ニホントカゲが餌を食べない最も一般的な原因の一つは、環境の変化によるストレスです。捕まえたばかりの個体は、新しい環境に慣れていないため、警戒心が強く、餌を食べないことがあります。 また、飼育ケージの設置場所が落ち着かない、過度な取り扱い、人の視線が気になるなどもストレスの原因となります。
対処法としては、まずニホントカゲが落ち着ける環境を整えることが重要です。隠れ家を十分に用意し、ケージを静かで人の出入りが少ない場所に置くなど、ストレスを軽減する工夫をしましょう。 また、ニホントカゲは変温動物なので、適切な温度管理が不可欠です。気温が低いと食欲が低下するため、ケージ内の温度が20℃以下になっていないか確認し、バスキングライトなどでホットスポットを設置してあげると、食欲が上がることが多いです。
新しい環境に慣れるまで、2~3日程度はそっとしておくことが大切です。餌を目の前に与えるのではなく、ケージ内に置いておけば、落ち着いた時に自分で食べることもあります。
冬眠準備や病気の可能性
季節の変化も、ニホントカゲの食欲に影響を与えます。特に冬が近づくと、加温設備を整えていても餌を食べなくなることがあります。これは、自然界での冬眠準備による生理的な変化である可能性が高いです。 飼育下で冬眠をさせるかどうかは選択できますが、初心者の場合は無理に冬眠させず、加温して冬を越させる方が安全とされています。
しかし、環境を整えても食欲が戻らない場合や、異常な行動、体調の変化(元気がない、痩せてきた、皮膚に異常があるなど)が見られる場合は、病気の可能性も考えられます。 このような場合は、自己判断せずに、速やかに爬虫類を診察できる動物病院や専門家へ相談することが重要です。 寄生虫やクル病などの病気が原因で拒食になることもあります。
餌の種類や質が合わないことも拒食の原因となることがあります。今まで食べていた餌を突然食べなくなることもあるため、いくつかの種類の餌を試してみるのも良い方法です。 人工餌にコオロギの汁をしみ込ませるなど、工夫をすることで食べてくれることもあります。
よくある質問

ニホントカゲは何を食べるの?
ニホントカゲは主に昆虫や節足動物を食べる動物食性のトカゲです。自然界ではコオロギ、バッタ、クモ、ミミズ、ハエなどを捕食します。飼育下では、コオロギやミルワームなどの生餌が主食となり、栄養補助のためにカルシウム剤やビタミン剤を添加することが推奨されます。
ニホントカゲは毎日餌をあげるの?
ニホントカゲに餌を与える頻度は、成長段階によって異なります。幼体の場合は、成長に必要な栄養を確保するため、1日に1~2回、少量ずつこまめに与えるのが理想です。成体になると、2~3日に1回の給餌でも問題ありません。与えすぎは肥満や消化不良の原因となるため注意が必要です。
ニホントカゲはどんな虫を食べる?
ニホントカゲは、コオロギ、バッタ、クモ、ミミズ、ハエ、コガネムシの幼虫、ワラジムシ、ダンゴムシなどを食べます。 飼育下では、ペットショップで入手しやすいコオロギやミルワーム、デュビアなどが一般的です。動くものに強く反応するため、生きた虫を好みます。
ニホントカゲは野菜を食べる?
ニホントカゲは基本的に肉食であり、野菜を主食とすることはありません。まれに果実などの植物質を食べることもありますが、これは昆虫が不足する際の補助的な食料であり、積極的に与える必要はありません。人間が食べる野菜や果物を与えることは、消化不良や栄養の偏りを引き起こす可能性があるため、避けるべきです。
ニホントカゲの赤ちゃんは何を食べる?
ニホントカゲの赤ちゃん(幼体)は、その小さな口に合ったサイズの生き餌を与えます。体長2~3ミリ程度のコオロギの幼虫や小型のクモ、小型のゴキブリ(デュビアの幼体など)がおすすめです。幼体は成長が早いため、ほぼ毎日餌を与える必要があります。また、健康な骨格形成のためにカルシウム補給も重要です。
ニホントカゲの飼育で注意すべき点は?
ニホントカゲの飼育では、まず適切な飼育環境を整えることが重要です。十分な広さのケージ、潜れる厚さの床材、隠れ家、そして紫外線ライト(UVBライト)とバスキングライトによる温度管理が不可欠です。 また、餌は生餌を中心に与え、カルシウム剤やビタミン剤で栄養を補給しましょう。 ストレスを与えないよう、過度な接触は避け、静かな環境を保つことも大切です。
まとめ
- ニホントカゲは主に昆虫や節足動物を食べる動物食性のトカゲです。
- 自然界ではコオロギ、バッタ、クモ、ミミズなどを捕食します。
- 飼育下ではコオロギ、ミルワーム、デュビアなどの生餌が基本です。
- 生餌はニホントカゲの捕食本能を刺激し、活動を促します。
- ミルワームは脂肪分が多いため、与えすぎに注意が必要です。
- カルシウム剤やビタミン剤によるダスティングは必須の栄養補給方法です。
- ビタミンD3入りカルシウム剤は過剰摂取に注意し、頻度を守りましょう。
- 幼体は毎日、成体は2~3日に1回を目安に餌を与えます。
- 人間用の加工食品や甘いものは絶対に与えてはいけません。
- 農薬が付着した昆虫や毒性のある植物は避けるべきです。
- 餌を食べない原因はストレスや温度、病気などが考えられます。
- 環境ストレスを軽減するため、隠れ家や静かな環境を整えましょう。
- 適切な温度管理(ホットスポットとクールスポット)が重要です。
- 冬眠準備で食欲が落ちることもありますが、初心者は加温飼育が安全です。
- 長期的な拒食や体調不良の場合は、専門家への相談が大切です。
