「以前は簡単に出ていた裏声が出なくなった」「高音を歌おうとすると声がかすれる」このような経験はありませんか?裏声が出なくなることは、歌唱だけでなく、日常会話にも影響を及ぼし、不安を感じる方も少なくありません。その原因は多岐にわたり、一時的な声の不調から専門的な治療が必要な病気まで様々です。本記事では、裏声が出なくなった際に考えられる主な病気や原因、そして回復のための対処法について詳しく解説します。
裏声が出なくなったと感じたら?考えられる病気と原因

裏声が出なくなることは、歌を歌う方だけでなく、日常会話にも影響を及ぼすことがあります。その原因は多岐にわたり、一時的なものから専門的な治療が必要な病気まで様々です。本記事では、裏声が出なくなった際に考えられる主な病気や原因、そして回復のための対処法について詳しく解説します。
声帯のトラブルが裏声に影響する病気
裏声は声帯が薄く伸びて振動することで発せられるため、声帯自体に何らかのトラブルが生じると、裏声が出にくくなることがあります。声帯の異常は、声がかすれる「嗄声(させい)」という症状を伴うことが多いです。
声帯結節や声帯ポリープ
声帯結節は、声帯の両側にできる小さなたこのような硬い膨らみで、長期間にわたり声を使いすぎることが主な原因です。教師や歌手など、声を頻繁に使う職業の方に多く見られます。声帯ポリープは、声帯の一部にできる柔らかいできもので、大声を出した際の負荷や喫煙、慢性的な炎症などが原因となることがあります。これらの病気により声帯の振動が妨げられたり、声帯がうまく閉じられなくなったりすることで、裏声が出にくくなったり、声がかすれたりします。
声帯炎や喉頭炎
声帯炎や喉頭炎は、声帯や喉頭に炎症が起きる病気です。ウイルス感染(風邪やインフルエンザなど)や細菌感染、声の酷使、喫煙、過度の飲酒などが原因となります。声帯が赤く腫れたり、むくんだりすることで、声帯の振動が妨げられ、声がかすれたり、全く声が出なくなったりすることがあります。裏声が出にくいだけでなく、喉の痛み、刺激感、咳、痰、微熱などの症状を伴うこともあります。
声帯麻痺(反回神経麻痺など)
声帯麻痺は、声帯を動かす神経である反回神経に障害が起こることで、声帯の動きが悪くなる状態を指します。これにより、声帯がうまく閉じなくなり、息漏れが多いかすれた声になったり、裏声が出にくくなったりします。反回神経麻痺の原因は多岐にわたり、甲状腺、食道、肺の悪性腫瘍や心臓の手術、ウイルス感染などが挙げられます。
声の不調だけでなく、食べ物を飲み込む際にむせる「誤嚥(ごえん)」が起こりやすくなることもあります。
神経や脳の病気が裏声に影響するケース
声は、脳から声帯へ送られる神経の指令によってコントロールされています。そのため、神経や脳に異常が生じると、発声に問題が生じ、裏声が出なくなることがあります。
痙攣性発声障害
痙攣性発声障害は、声を出す際に声帯の筋肉が自分の意思とは関係なく過度に緊張したり、けいれんしたりすることで、声が途切れたり、詰まったりする病気です。特に内転型痙攣性発声障害では、声帯が過度に閉じることで、しぼり出すような声になったり、声の出しにくさが生じたりします。裏声だけでなく、全体的な発声に支障をきたし、日常生活に影響を及ぼすこともあります。
その他の神経疾患
パーキンソン病や脳卒中などの神経疾患も、発声に影響を与えることがあります。これらの病気では、声帯を動かす神経の機能が低下したり、脳からの指令がうまく伝わらなくなったりすることで、声が弱々しくなったり、裏声が出にくくなったりする場合があります。声の症状以外にも、手足の震えや歩行障害など、他の神経症状を伴うことが特徴です。
精神的な要因やストレスによる裏声の喪失
身体的な異常が見られないにもかかわらず、裏声が出なくなるケースもあります。このような場合、精神的な要因やストレスが深く関わっている可能性があります。
心因性発声障害
心因性発声障害は、精神的なストレスや心的外傷が原因で声が出なくなる症状です。声帯自体には異常がないにもかかわらず、声がかすれたり、全く声が出なくなったりすることがあります。比較的若い女性に多く見られる疾患で、自然に治癒することもありますが、発声訓練や心理療法が必要となる場合もあります。
過度なストレスの影響
過度なストレスは、自律神経のバランスを崩し、喉の筋肉を緊張させることがあります。これにより、声帯の動きがスムーズでなくなり、裏声が出にくくなったり、声がかすれたりすることがあります。ストレスが原因の場合、声の不調だけでなく、不眠や頭痛、倦怠感など、他の身体的な症状を伴うことも少なくありません。
その他の裏声が出なくなる原因
上記以外にも、裏声が出なくなる原因はいくつか考えられます。日々の生活習慣や加齢も、声に影響を与えることがあります。
加齢による声の変化(声帯萎縮)
加齢に伴い、声帯の筋肉が痩せてくる「声帯萎縮」が起こることがあります。声帯の容積が減少すると、声帯がうまく閉じられなくなり、声が弱々しくなったり、かすれたり、裏声が出にくくなったりします。特に男性に多く見られる傾向があり、定年退職などで急に声を出す機会が減ることも、声帯の衰えを早める一因となることがあります。
生活習慣や環境の影響
喫煙や過度の飲酒、乾燥した環境、声の酷使なども、声帯に負担をかけ、裏声が出にくくなる原因となります。特に喫煙は、声帯全体がむくんでしまう「ポリープ様声帯」を引き起こすことがあり、声が低く太くなることがあります。また、脱水状態も声帯の潤いを奪い、スムーズな振動を妨げるため、十分な水分補給が大切です。
裏声が出ない症状、いつ病院に行くべき?受診の目安と診療科

裏声が出なくなった場合、自己判断せずに専門医の診察を受けることが大切です。しかし、「いつ病院に行けばいいのか」「何科を受診すればいいのか」と迷う方もいるでしょう。ここでは、病院を受診する目安と、適切な診療科について解説します。
こんな症状は要注意!すぐに受診を検討すべきサイン
裏声が出ないだけでなく、以下のような症状が伴う場合は、早めに医療機関を受診することを検討しましょう。
- 声のかすれが2週間以上続く場合
- 喉の痛みや違和感が強い、または悪化している場合
- 食べ物や飲み物が飲み込みにくい(嚥下困難)場合
- 呼吸が苦しい、息苦しさを感じる場合
- 咳や痰が止まらない、または血が混じる場合
- 発熱や倦怠感など、風邪のような症状が長引く場合
- 首にしこりがあるなど、明らかな異常を感じる場合
これらの症状は、声帯の炎症だけでなく、声帯ポリープ、声帯結節、反回神経麻痺、さらには喉頭がんなどの重篤な病気が隠れている可能性を示唆しています。早期発見・早期治療が重要となるため、放置せずに専門医の診察を受けましょう。
裏声の不調で受診するなら「耳鼻咽喉科」へ
裏声が出ない、声がかすれるといった声の不調を感じた場合、まずは耳鼻咽喉科を受診するのが適切です。耳鼻咽喉科では、喉頭ファイバースコープなどを用いて声帯の状態を直接観察し、炎症やポリープ、結節、麻痺などの有無を確認することができます。必要に応じて、CTや超音波検査、血液検査などを行い、原因となっている病気を特定します。
精神的な要因が疑われる場合は、心療内科や精神科との連携をすすめられることもあります。
裏声を取り戻すための対処法と回復へのコツ

裏声が出なくなった原因が特定されたら、それに応じた治療や対処法を進めることになります。ここでは、医療機関での治療に加え、日常生活で実践できる声のケアや、回復を早めるためのコツを紹介します。
医療機関での治療方法
裏声が出なくなった原因によって、治療方法は異なります。
- 炎症性疾患(声帯炎、喉頭炎など)の場合:声の安静を保ち、抗生剤や抗炎症薬、ステロイド剤などの薬物治療が行われます。うがい薬やトローチが処方されることもあります。
- 声帯ポリープ・声帯結節の場合:小さいものであれば声の安静や発声方法の見直しで自然に改善することもありますが、大きい場合や症状が改善しない場合は、手術で切除することもあります。手術後は、正しい発声方法を身につけるための音声治療が重要です。
- 反回神経麻痺の場合:原因となっている病気(がんなど)の治療を優先します。声がれやむせ込みは1ヶ月ほどで徐々に改善することもありますが、症状が数ヶ月以上続く場合は、音声外科手術が検討されることもあります。
- 痙攣性発声障害の場合:声帯の神経を麻痺させるボトックス注射や、手術で声帯の過緊張を和らげる方法が選択されることがあります。音声治療も併用されることが多いです。
- 心因性発声障害の場合:発声訓練や心理療法が行われます。
いずれの治療においても、医師の指示に従い、焦らず治療を進めることが大切です。
自宅でできる声のケアと生活習慣の見直し
医療機関での治療と並行して、日常生活での声のケアも裏声の回復には欠かせません。
- 声の安静を保つ:無理に声を出そうとせず、できるだけ声帯を休ませることが大切です。特に、大声を出したり、長時間話し続けたりすることは避けましょう。
- 十分な水分補給:喉の乾燥は声帯に負担をかけます。こまめに水分を摂り、喉を潤しましょう。
- 喉の保湿:加湿器を使用したり、マスクを着用したりして、喉の乾燥を防ぎましょう。
- 禁煙・節酒:喫煙や過度の飲酒は声帯に炎症を起こしやすくします。回復のためには、禁煙・節酒を心がけましょう。
- 十分な睡眠と休息:疲労やストレスは声の不調につながります。心身ともにリラックスし、十分な休息を取ることが重要です。
- 逆流性食道炎の対策:胃酸の逆流が喉に炎症を起こすことがあります。食生活を見直したり、寝る前の食事を控えたりするなどの対策も有効です。
これらの生活習慣の見直しは、声帯への負担を減らし、裏声の回復を早めることにつながります。
ボイストレーニングで裏声の感覚を取り戻す練習
声帯の炎症が治まったり、病気が改善したりした後は、ボイストレーニングを通じて裏声の感覚を取り戻す練習が有効です。ただし、無理な練習はかえって喉を痛める原因となるため、専門家の指導のもと、慎重に進めることが大切です。
- 喉と身体をリラックスさせる:裏声を出す際に喉や身体に余計な力が入っていると、声が出にくくなります。深呼吸やストレッチでリラックスした状態を作りましょう。
- ハミングで練習する:口を閉じたまま「んー」と発声するハミングは、喉の負担を軽減しながら裏声の響きをつかむのに適しています。鼻腔共鳴の感覚を養い、高音を発声しやすくする効果が期待できます。
- リップロール:唇をぶるぶると震わせながら声を出す練習で、喉に余計な力を入れずに息を流す感覚をつかむのに役立ちます。
- 地声と裏声を交互に出す:声帯の開き方の違いを感覚で分かりやすくし、スムーズな切り替えができるようになる練習です。低い音からゆっくりと高音へ移行し、裏声の境目を探る練習も有効です。
- 息の量を意識する:裏声は声帯の閉鎖が弱く、息漏れが多い特徴があります。息を多めに使う感覚や、逆に息を出しすぎないようにコントロールする意識も大切です。
これらの練習は、裏声に必要な声帯の柔軟性や呼吸のコントロールを高めるのに役立ちます。焦らず、継続的に取り組むことが回復への近道です。
よくある質問

- 裏声が出ないのは病気ですか?
- 裏声が出ない時の治し方は?
- 裏声が出ない原因はストレスですか?
- 裏声が出ないのは何科に行けばいいですか?
- 裏声が出ない時のボイストレーニングは?
- 声帯ポリープで裏声は出なくなりますか?
- 反回神経麻痺で裏声は出なくなりますか?
- 裏声が出にくいのは加齢のせい?
裏声が出ないのは病気ですか?
裏声が出ない原因は、一時的な声の酷使や疲労、ストレスなどによるものから、声帯結節、声帯ポリープ、声帯炎、反回神経麻痺、痙攣性発声障害、喉頭がんなどの病気まで多岐にわたります。声の不調が2週間以上続く場合や、喉の痛み、呼吸困難などの症状を伴う場合は、病気の可能性も考えられるため、耳鼻咽喉科を受診することがおすすめです。
裏声が出ない時の治し方は?
裏声が出ない原因によって治し方は異なります。声帯の炎症やポリープなど、病気が原因の場合は、声の安静、薬物治療、場合によっては手術が行われます。ストレスが原因の場合は、心療内科での治療や心理療法が有効なこともあります。また、ボイストレーニングで正しい発声方法を身につけたり、喉のケアや生活習慣を見直したりすることも回復への大切な要素です。
裏声が出ない原因はストレスですか?
ストレスは裏声が出なくなる原因の一つです。精神的なストレスが原因で声が出なくなる「心因性発声障害」や、過度なストレスによる喉の筋肉の緊張が裏声の喪失につながることがあります。身体的な異常が見られないにもかかわらず裏声が出ない場合は、ストレスが関与している可能性も考慮し、心身のリラックスを心がけることが重要です。
裏声が出ないのは何科に行けばいいですか?
裏声が出ない、声がかすれるといった症状がある場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。耳鼻咽喉科では、声帯の状態を詳しく検査し、適切な診断と治療を受けることができます。必要に応じて、他の専門科(心療内科など)との連携も行われます。
裏声が出ない時のボイストレーニングは?
裏声が出ない時のボイストレーニングは、喉や身体をリラックスさせ、正しい発声方法を身につけることが重要です。ハミングやリップロール、地声と裏声を交互に出す練習などが効果的です。ただし、無理な練習は喉を痛める原因となるため、専門のボイストレーナーや医師の指導のもと、慎重に進めるようにしましょう。
声帯ポリープで裏声は出なくなりますか?
はい、声帯ポリープができると裏声が出にくくなることがあります。ポリープが声帯の振動を妨げたり、声帯がうまく閉じられなくなったりすることで、声がかすれたり、裏声が出なくなったりする症状が現れます。治療には声の安静や薬物治療、場合によっては手術が必要です。
反回神経麻痺で裏声は出なくなりますか?
はい、反回神経麻痺によって裏声が出なくなることがあります。反回神経は声帯の動きをコントロールしているため、麻痺が起こると声帯がうまく動かなくなり、声がかすれたり、息漏れが多い声になったり、裏声が出にくくなったりします。原因となる病気の治療が優先され、音声外科手術が検討される場合もあります。
裏声が出にくいのは加齢のせい?
加齢も裏声が出にくくなる原因の一つです。加齢により声帯の筋肉が痩せる「声帯萎縮」が起こると、声帯がうまく閉じられなくなり、声が弱々しくなったり、かすれたり、裏声が出にくくなったりすることがあります。これは自然な変化ですが、声のトレーニングやケアで改善を目指すことも可能です。
まとめ
- 裏声が出なくなる原因は多岐にわたる。
- 声帯結節や声帯ポリープは声帯の酷使や炎症が原因。
- 声帯炎や喉頭炎はウイルス感染や声の酷使で起こる。
- 反回神経麻痺は声帯を動かす神経の障害。
- 痙攣性発声障害は声帯の異常なけいれんが特徴。
- 心因性発声障害は精神的ストレスが原因となる。
- 過度なストレスも喉の緊張を招き裏声に影響。
- 加齢による声帯萎縮も裏声が出にくくなる一因。
- 喫煙や過度の飲酒、乾燥も声帯に負担をかける。
- 声の不調が2週間以上続く場合は耳鼻咽喉科を受診。
- 喉の痛みや呼吸困難を伴う場合は早急な受診が必要。
- 耳鼻咽喉科で声帯の状態を検査し診断を行う。
- 治療は原因に応じた薬物療法や手術、音声治療。
- 声の安静、水分補給、喉の保湿が自宅でのケアの基本。
- ボイストレーニングは専門家の指導のもと慎重に進める。
