相続手続きや年金申請など、人生の節目で「出生から死亡までの戸籍謄本」が必要となり、その複雑さに頭を悩ませる方は少なくありません。本記事では、戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍といった複数の戸籍を、出生から死亡まで途切れることなく取得する進め方を、分かりやすく解説します。必要な書類や費用、広域交付制度の活用方法まで、あなたの疑問を解決し、手続きをスムーズに進めるための情報をお届けします。
出生から死亡までの戸籍謄本とは?なぜ必要なのかを理解しよう

「出生から死亡までの戸籍謄本」とは、ある人物が生まれてから亡くなるまでの全ての身分関係(出生、婚姻、離婚、養子縁組、死亡など)が記録された戸籍の写しを指します。これは一枚の書類ではなく、複数の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本を連続して集めたものです。これらの書類は、個人の人生における重要な出来事を時系列で証明するために不可欠となります。
出生から死亡までの戸籍謄本が求められる主な場面
この一連の戸籍謄本が特に必要とされるのは、主に相続手続きの場面です。亡くなった方の法定相続人を確定するためには、出生から死亡までの全ての戸籍を遡って確認し、誰がいつ、どのような身分関係にあったかを証明する必要があります。例えば、隠し子や養子縁組の有無、離婚歴による相続権の変動などを正確に把握するために、これらの戸籍は欠かせません。
その他にも、年金受給手続き、不動産登記、金融機関での預貯金解約や名義変更、生命保険金の請求、あるいはパスポート申請や一部の公的支援制度の利用など、個人の身分を詳細に証明する必要がある様々な場面で提出を求められることがあります。
戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍の違いを把握する
出生から死亡までの戸籍を揃える上で、以下の3種類の戸籍を理解することが重要です。
- 戸籍謄本(全部事項証明書):現在、その戸籍に記載されている全員の身分事項を証明するものです。生存している方が一人でもいる戸籍を指します。
- 除籍謄本:戸籍に記載されていた全員が、結婚、死亡、転籍などによってその戸籍からいなくなった状態の戸籍の写しです。誰もいなくなった戸籍は「除籍」として閉じられます。
- 改製原戸籍謄本:戸籍の様式が法改正によって変更された際に、古い様式で作成された戸籍が「改製原戸籍」として閉じられたものです。例えば、昭和23年の戸籍法改正や平成6年のコンピューター化に伴う改正などがあります。
これらの戸籍は、それぞれ異なる時点での身分関係を記録しており、出生から死亡までを辿るためには、これらの書類を切れ目なく連続して取得する必要があります。
出生から死亡までの戸籍謄本を取得できる人と場所

出生から死亡までの戸籍謄本を取得するには、誰が請求できるのか、そしてどこで請求するのかを知ることが大切です。適切な方法で請求することで、手続きをスムーズに進められます。
請求できるのは誰?本人・直系親族・代理人の範囲
戸籍謄本を請求できるのは、原則として以下の人に限られます。
- 戸籍に記載されている本人
- その配偶者
- 直系尊属(父母、祖父母など)
- 直系卑属(子、孫など)
これら以外の親族(例えば兄弟姉妹やおじ・おばなど)が請求する場合や、第三者が請求する場合は、正当な理由(例:相続手続きで相続人であることを証明するため)を具体的に示し、関係を証明する資料の提出が求められます。 代理人に依頼することも可能ですが、その場合は委任状が必要になります。
どこで取得する?本籍地と広域交付制度の活用
戸籍謄本は、原則としてその戸籍が置かれている本籍地の市区町村役場で取得します。しかし、本籍地が遠方にある場合や、複数の本籍地を辿る必要がある場合には、手間がかかることが課題でした。
令和6年3月1日からは、戸籍法改正により「戸籍証明書等の広域交付制度」が始まり、本籍地以外の市区町村役場でも戸籍謄本(全部事項証明書)、除籍謄本、改製原戸籍謄本を請求できるようになりました。 この制度の大きな利点は、複数の本籍地の戸籍を1か所の窓口でまとめて請求できる点です。
ただし、広域交付制度を利用できるのは、本人、配偶者、直系尊属、直系卑属が直接窓口に出向いて請求する場合に限られます。郵送や代理人による請求はできませんので注意が必要です。
本籍地が不明な場合の調べ方
本籍地が分からない場合でも、いくつかの方法で調べることが可能です。最も確実な方法は、本籍地記載の住民票の写しを現在の住所地の市区町村役場で取得することです。 住民票の交付申請書には「本籍地記載」の項目があるので、忘れずにチェックしましょう。
その他、親や親族に尋ねる、古い運転免許証やパスポートなどの書類を確認する、ICチップ付き運転免許証をスマートフォンアプリで読み取る、といった方法もあります。
出生から死亡までの戸籍謄本をスムーズに取得する進め方

出生から死亡までの戸籍謄本を揃えるには、計画的な進め方が重要です。窓口での請求と郵送での請求、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
窓口で請求する場合の準備と流れ
窓口で戸籍謄本を請求する際は、事前に必要なものを準備し、手続きの流れを把握しておくことで、スムーズに取得できます。
まず、請求先の市区町村役場の開庁時間を確認し、時間に余裕を持って訪問しましょう。特に、出生から死亡までの戸籍を請求する場合、複数の戸籍を辿る必要があり、発行に時間がかかることがあります。 窓口では、担当者に「相続手続きに必要なため、出生から死亡までの連続した戸籍(除籍)謄本を発行してほしい」と具体的に伝えることが大切です。
必要な書類一覧
窓口で請求する際に一般的に必要となる書類は以下の通りです。
- 戸籍証明等請求書:窓口に備え付けのもの、または各市区町村のウェブサイトからダウンロードして事前に記入することも可能です。
- 本人確認書類:運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きの公的証明書が1点必要です。
- 手数料:戸籍謄本1通450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本1通750円が一般的です。
- (代理人の場合)委任状:本人が作成し、署名・押印したものが必要です。
- (直系親族であることを証明できない場合)請求者と戸籍に記載されている人との関係がわかる戸籍謄本など。
広域交付制度を利用する場合は、厳格な本人確認が求められるため、顔写真付きの公的証明書が必須となります。
申請書の書き方
戸籍証明等請求書には、以下の項目を正確に記入します。
- 請求者の氏名、住所、生年月日
- 本籍地、筆頭者の氏名:請求する戸籍の本籍地と筆頭者を記入します。不明な場合は、前述の方法で事前に調べておきましょう。
- 必要な戸籍の種類と通数:「出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)」と具体的に記載し、必要な通数を記入します。
- 使用目的:相続手続き、年金申請など、具体的な目的を記載します。
特に、相続手続きで出生から死亡までの戸籍を請求する際は、「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍」と明確に記載することで、役所の担当者もスムーズに対応してくれます。
郵送で請求する場合の準備と流れ
本籍地が遠方で窓口に行くのが難しい場合は、郵送での請求が便利です。ただし、広域交付制度は郵送請求に対応していないため、本籍地の市区町村役場に直接郵送で請求することになります。
郵送請求の場合、書類の不備があるとやり取りに時間がかかり、発行が遅れる原因となります。事前に各市区町村のウェブサイトで郵送請求の進め方を確認し、必要な書類を漏れなく準備しましょう。
郵送請求に必要な書類と送付先
郵送で請求する際に必要な書類は以下の通りです。
- 戸籍証明等請求書(郵送用):各市区町村のウェブサイトからダウンロードして印刷し、必要事項を記入します。
- 本人確認書類のコピー:運転免許証、マイナンバーカードなどのコピーを同封します。
- 手数料:郵便局で購入できる定額小為替で支払います。おつりが出ないように、必要な金額分を同封しましょう。
- 返信用封筒:切手を貼り、請求者の住所・氏名を記載します。速達を希望する場合は、速達料金分の切手を追加で貼ります。
- (直系親族であることを証明できない場合)請求者と戸籍に記載されている人との関係がわかる戸籍謄本などのコピー。
送付先は、請求する戸籍の本籍地がある市区町村役場の戸籍担当部署です。ウェブサイトで正確な部署名と住所を確認してから郵送しましょう。
代理人に依頼する場合の注意点
自分で手続きを行う時間がない、あるいは複雑な戸籍の追跡が難しいといった場合には、司法書士や行政書士などの専門家に代理を依頼することも可能です。 専門家に依頼することで、正確かつ迅速に戸籍謄本を収集してもらえるメリットがあります。
代理人に依頼する際は、委任状の作成が必要です。委任状には、誰に何を委任するのかを具体的に記載し、本人の署名・押印が求められます。 また、専門家に依頼する場合は、別途費用が発生しますので、事前に見積もりを確認しましょう。
戸籍を辿る際の具体的なコツと注意すべき点

出生から死亡までの戸籍謄本を揃える作業は、戸籍の移動や改製が繰り返されている場合、非常に複雑になることがあります。ここでは、戸籍を効率的に辿るためのコツと、注意すべき点について解説します。
戸籍の移動と改製を理解する
戸籍は、結婚、離婚、転籍(本籍地の変更)、法改正による改製など、様々な理由で新しい戸籍に作り替えられたり、閉じられたりします。そのため、一人の人物の出生から死亡までの記録が、複数の戸籍に分散していることがほとんどです。
戸籍を辿る際は、まず最新の戸籍(亡くなった時点の戸籍)を取得することから始めます。その戸籍に記載されている「従前戸籍」の欄を確認し、そこに記載されている本籍地と筆頭者の役所に次の戸籍を請求するという流れを繰り返します。 この作業を出生時の戸籍にたどり着くまで続けることで、連続した戸籍を収集できます。
特に、戸籍の改製が行われた時期(例:昭和23年、平成6年など)は、戸籍の様式が大きく変わるため、古い戸籍(改製原戸籍)の読み解きに慣れが必要です。
古い戸籍(改製原戸籍・除籍謄本)の読み解き方
古い戸籍は、現在の戸籍とは異なり、縦書きで手書きのものが多く、記載内容も独特の表現が使われていることがあります。特に、改製原戸籍は、法改正前の情報がそのまま引き継がれているため、現在の戸籍には記載されていない情報が含まれていることもあります。
除籍謄本は、その戸籍に記載されていた全員がいなくなったことを証明するもので、過去の身分事項が記載されています。 これらの古い戸籍を読み解く際は、記載されている日付や身分事項(出生、婚姻、死亡など)を注意深く確認し、時系列で情報を整理していくことが大切です。不明な点があれば、役所の戸籍担当窓口に問い合わせるか、専門家に相談することを検討しましょう。
取得にかかる費用と期間の目安
出生から死亡までの戸籍謄本を取得する費用は、取得する戸籍の通数によって異なります。一般的に、戸籍謄本(全部事項証明書)は1通450円、除籍謄本や改製原戸籍謄本は1通750円です。 転籍や改製が多い場合は、数十通に及ぶこともあり、その分費用もかさみます。
期間については、窓口で請求する場合は、その場で発行されることが多いですが、出生から死亡までを辿る場合は、複数の役所への請求が必要となり、数日〜数週間かかることもあります。 郵送で請求する場合は、郵送にかかる日数も考慮する必要があるため、さらに時間がかかります。特に、本籍地が複数にわたる場合は、各役所からの返送を待つ必要があるため、1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
相続手続きには期限が設けられているものもあるため、早めに着手することが重要です。
よくある質問

- 出生から死亡までの戸籍謄本はどこで取れますか?
- 出生から死亡までの戸籍謄本は郵送で取れますか?
- 出生から死亡までの戸籍謄本は誰でも取れますか?
- 出生から死亡までの戸籍謄本は何通必要ですか?
- 出生から死亡までの戸籍謄本はコンビニで取れますか?
- 出生から死亡までの戸籍謄本はいくらかかりますか?
- 出生から死亡までの戸籍謄本は本籍地以外でも取れますか?
- 出生から死亡までの戸籍謄本は相続以外で何に使いますか?
出生から死亡までの戸籍謄本はどこで取れますか?
出生から死亡までの戸籍謄本は、原則としてそれぞれの戸籍が置かれている本籍地の市区町村役場で取得できます。令和6年3月1日からは、広域交付制度により、本人、配偶者、直系親族であれば、本籍地以外の全国どこの市区町村役場でもまとめて請求できるようになりました。ただし、広域交付は窓口での請求に限られ、郵送や代理人による請求はできません。
出生から死亡までの戸籍謄本は郵送で取れますか?
はい、郵送で取得できます。ただし、広域交付制度は郵送請求に対応していないため、それぞれの本籍地の市区町村役場に個別に郵送で請求する必要があります。請求書、本人確認書類のコピー、定額小為替、返信用封筒などを同封して送付します。
出生から死亡までの戸籍謄本は誰でも取れますか?
請求できるのは、戸籍に記載されている本人、その配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)に限られます。これら以外の親族や第三者が請求する場合は、正当な理由と関係を証明する資料の提出が必要です。
出生から死亡までの戸籍謄本は何通必要ですか?
出生から死亡までの戸籍は、転籍や法改正による改製などにより、複数に分かれていることがほとんどです。そのため、何通必要かは個人の履歴によって異なります。例えば、転籍が全くない場合でも、法改正による改製で数通必要になることがあります。相続手続きでは、全ての連続した戸籍が必要となるため、出生まで遡って途切れることなく収集します。
出生から死亡までの戸籍謄本はコンビニで取れますか?
現在の戸籍謄本(全部事項証明書)や戸籍抄本(個人事項証明書)は、マイナンバーカードがあればコンビニのマルチコピー機で取得できる場合があります。しかし、除籍謄本や改製原戸籍謄本など、出生から死亡までを辿るために必要な古い戸籍は、コンビニでは取得できません。
出生から死亡までの戸籍謄本はいくらかかりますか?
戸籍謄本(全部事項証明書)は1通450円、除籍謄本や改製原戸籍謄本は1通750円が一般的です。出生から死亡までを辿るために必要な戸籍の通数によって費用は変動します。転籍や改製が多い場合は、数千円から1万円以上かかることもあります。
出生から死亡までの戸籍謄本は本籍地以外でも取れますか?
令和6年3月1日からの広域交付制度により、本人、配偶者、直系親族であれば、本籍地以外の全国どこの市区町村役場でも窓口で請求できるようになりました。ただし、郵送請求や代理人請求は本籍地の役場のみとなります。
出生から死亡までの戸籍謄本は相続以外で何に使いますか?
相続手続き以外では、年金受給手続き、不動産登記、金融機関での預貯金解約や名義変更、生命保険金の請求、あるいはパスポート申請や一部の公的支援制度の利用など、個人の身分を詳細に証明する必要がある様々な場面で提出を求められることがあります。
まとめ
- 出生から死亡までの戸籍謄本は、相続手続きなどで必要不可欠な書類です。
- 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍の3種類を連続して集める必要があります。
- 請求できるのは本人、配偶者、直系親族が原則です。
- 令和6年3月1日からは広域交付制度で本籍地以外でも窓口請求が可能です。
- 広域交付制度は郵送や代理人請求には対応していません。
- 本籍地が不明な場合は、本籍地記載の住民票で確認できます。
- 窓口請求では本人確認書類と手数料、申請書が必要です。
- 郵送請求では定額小為替と返信用封筒を同封します。
- 戸籍を辿る際は、最新の戸籍から従前戸籍を遡る進め方です。
- 古い戸籍は手書きが多く、読み解きに慣れが必要です。
- 費用は戸籍の種類と通数により異なり、1通450円または750円が目安です。
- 取得には数日〜1ヶ月以上かかる場合があるため、早めの着手をおすすめします。
- 専門家への依頼も、複雑なケースでは有効な選択肢です。
- 相続以外にも年金申請や不動産登記などで必要となることがあります。
- コンビニでは現在の戸籍謄本のみ取得可能で、古い戸籍は不可です。
