大切な方が亡くなられた際、お悔やみの気持ちを込めて「供花料」や「お花代」を贈る機会があるかもしれません。しかし、いざ準備しようとすると、封筒の選び方や書き方、金額の相場、さらには渡す際のマナーなど、多くの疑問が浮かぶものです。本記事では、供花料やお花代に関するあらゆる疑問を解決し、失礼なく気持ちを伝えるための方法を徹底的に解説します。
この記事を読めば、もう迷うことはありません。
供花料とお花代とは？それぞれの意味と使い分け
葬儀や法事の際に耳にする「供花料」と「お花代」ですが、これらは故人への弔意を示す金銭であり、それぞれ異なる意味合いを持つ場合があります。適切に使い分けることで、遺族への配慮を示すことにつながります。まずは、それぞれの言葉が持つ意味と、どのような場面で使うのが適切なのかを理解しましょう。
供花料の意味と渡す場面
供花料（きょうかりょう、くげりょう）とは、故人の祭壇に供える花である「供花（くげ・きょうか）」の代金として遺族に渡すお金を指します。供花は、故人の霊を慰め、遺族に弔意を示す目的で贈られるものです。一般的には、故人の身内や親交の深かった人が贈ることが多く、葬儀社を通じて手配されることが一般的です。供花料は、供花を直接手配する代わりに、その費用を遺族に充ててもらうという意味合いで渡されます。
特に、葬儀社が供花の手配を一括して行う場合や、遠方で供花の手配が難しい場合に、供花料として金銭を包むことがあります。また、供花料は「ご遺族へのお見舞い」という意味も持ち合わせています。
お花代の意味と渡す場面
お花代は、供花料と同様に故人への弔意を示す金銭ですが、その意味合いは少し広くなります。一つは、供花料と同じく「供花の代金」として渡す場合です。もう一つは、香典を辞退された場合や、葬儀に参列できなかった際に、香典の代わりに弔意を示す目的で渡す「香典代わり」としての意味合いです。 特に、故人の訃報を葬儀後に知った場合や、家族葬などで香典を辞退された場合に、お悔やみの気持ちを伝える方法として「お花代」を贈ることがあります。
宗派が不明な場合にも、表書きを「お花代」とすることで無難に対応できるでしょう。 キリスト教の葬儀では、香典の代わりに「御花料」または「お花代」を渡すのが一般的です。
供花料お花代の相場はいくら？関係性別の目安を解説
供花料やお花代を包む際に、最も悩むのが金額の相場ではないでしょうか。故人との関係性や、供花として贈るのか、香典の代わりとして贈るのかによって、適切な金額は異なります。ここでは、一般的な相場と、故人との関係性別の目安を詳しく解説します。
一般的な相場
供花料やお花代の一般的な相場は、供花を贈る場合の代金として5千円から3万円程度が目安とされています。 供花の種類（花籠、生け花、花輪など）によって費用が異なるため、金額に幅があります。例えば、花籠であれば5千円から1万5千円、生け花であれば1万5千円から3万円、花輪は1基1万5千円程度が相場です。 供花を葬儀社に依頼する場合、1基あたり1万5千円から3万円程度が相場となることが多いでしょう。
遺族に負担をかけないためにも、高額すぎる金額を包むのは避けるべきです。
故人との関係性別の相場
香典の代わりとしてお花代を渡す場合は、通常の香典の金額相場が目安となります。故人との関係性によって、以下のような相場が一般的です。
- 故人が両親の場合： 3万円～10万円以上（自身の年齢によって変動）
- 故人が祖父母の場合： 1万円～5万円以上
- 故人が兄弟・姉妹の場合： 3万円～5万円
- 故人がおじ・おばの場合： 5千円～3万円
- 故人が友人・知人、職場関係者の場合： 5千円～1万円
これらの金額はあくまで目安であり、地域の慣習や故人との生前の関係性の深さによって調整することが大切です。迷った場合は、他の親族や関係者に相談してみるのも良い方法です。
供花料お花代の封筒の選び方と水引の種類
供花料やお花代を包む封筒は、弔事用の「不祝儀袋」を使用するのが一般的です。しかし、不祝儀袋には様々な種類があり、状況に応じて適切なものを選ぶ必要があります。ここでは、封筒の選び方と水引の種類について解説します。
不祝儀袋の種類と選び方
供花料やお花代を包む際には、水引が結び切りの不祝儀袋を選びましょう。結び切りは「一度きり」という意味合いが込められており、弔事に適しています。水引の色は、黒白が一般的ですが、地域によっては黄白や青白を使用することもあります。全国共通で使えるのは黒白の水引です。 また、包む金額によって不祝儀袋の種類を使い分けるのがマナーです。
- ～1万円程度： 水引が印刷されている不祝儀袋
- 1万円～3万円程度： 黒白の水引が付いた不祝儀袋
- 3万円以上： 双銀の水引が付いた不祝儀袋
蓮の花が描かれた不祝儀袋は仏教専用のため、神式やキリスト教の葬儀では使用しないように注意が必要です。
白無地の封筒を使うケース
不祝儀袋の準備が難しい場合や、宗教・宗派が不明な場合は、白無地の封筒を使用しても問題ありません。 特に、キリスト教式の葬儀では、無地の封筒を使用することがあります。 ただし、郵便番号欄のないシンプルな封筒を選び、中身が透けないように二重封筒を選ぶとより丁寧な印象を与えられます。白無地の封筒を使用する際も、表書きや裏書きはママナー通りに記載しましょう。
水引の種類と選び方
水引は、不祝儀袋にかけられている飾り紐のことです。弔事では「結び切り」の水引を選びます。これは「二度と繰り返さない」という意味が込められているためです。水引の色は、一般的に黒白が用いられます。高額な金額を包む場合は、双銀の水引を選ぶこともあります。 水引の本数は、5本または7本が一般的です。地域や金額によって異なる場合があるため、迷った場合は葬儀社や周囲の方に確認すると安心です。
供花料お花代の封筒の書き方【表書き・裏書きの具体例】
供花料やお花代を包む封筒の書き方には、いくつかの決まりごとがあります。特に、表書きと裏書きは、故人や遺族への敬意を示す大切な部分です。ここでは、具体的な書き方を詳しく解説します。
表書きの書き方
表書きは、不祝儀袋の顔となる部分です。薄墨の筆や筆ペンを使い、丁寧に記載しましょう。
上段の書き方（表書き）
不祝儀袋の上段中央には、表書きとして「御花代」または「お花代」と書くのが一般的です。 「御供花料」や「供花料」と書くこともありますが、宗派を問わず使える「御花代」が無難とされています。 キリスト教式の葬儀では「御花料」と書くこともあります。 文字は水引の結び目の真上に、縦書きでバランスよく書きましょう。
下段の書き方（氏名）
不祝儀袋の下段中央には、贈り主の氏名をフルネームで記載します。 個人で贈る場合は、水引の下に氏名を縦書きで書きましょう。連名で贈る場合は、地位の高い方を右側に、以降の方を左側に連ねて書くのが一般的です。 夫婦で贈る場合は、夫の氏名を中央に書き、その左隣に妻の名前のみを記載します。 会社一同として贈る場合は「会社名＋一同」と書くか、代表者名と「他一同」と記載し、別紙に全員の氏名を記載して同封すると良いでしょう。
4名以上の連名は煩雑になるため、代表者名と「他一同」とするのがおすすめです。
裏書きの書き方
裏書きには、包んだ金額と贈り主の住所・氏名を記載します。これにより、遺族が香典返しやお礼をする際に役立ちます。
金額の書き方（旧字体）
中袋がある場合は、中袋の表面に金額を記載します。金額は、改ざん防止のため漢数字の旧字体（大字）で書くのがマナーです。 例えば、「金壱萬圓也（きんいちまんえんなり）」のように記載します。 中袋がない場合は、不祝儀袋の裏面左下に金額を記載しましょう。
- 1,000円：金壱阡圓也
- 5,000円：金伍阡圓也
- 10,000円：金壱萬圓也
- 30,000円：金参萬圓也
- 50,000円：金伍萬圓也
「也」は付けても付けなくてもどちらでも構いませんが、付けることでより丁寧な印象になります。
住所・氏名の書き方
中袋がある場合は、中袋の裏面に贈り主の郵便番号、住所、氏名を記載します。 住所は漢数字で書くのが一般的です。 中袋がない場合は、不祝儀袋の裏面左下に住所と氏名を記載します。 遺族が誰からのものか分かりやすいように、丁寧に記載することを心がけましょう。
供花料お花代を渡す際のマナーと注意点
供花料やお花代は、ただ渡せば良いというものではありません。故人や遺族への弔意を伝えるために、渡すタイミングや渡し方にも配慮が必要です。ここでは、供花料やお花代を渡す際のマナーと注意点について解説します。
渡すタイミングと渡し方
供花料やお花代は、通夜や葬儀・告別式に参列する際に持参し、受付で渡すのが一般的です。 受付がない場合や、遺族に直接手渡す場合は、遺族が忙しくないタイミングを見計らって渡しましょう。 渡す際には、袱紗（ふくさ）に包んで持参し、受付で「この度はご愁傷様でございます」などとお悔やみの言葉を添えて渡します。 袱紗から取り出し、相手から見て正面になるように向きを変えて差し出すのが丁寧な渡し方です。
親族の場合は、遺族との関係性の深さによって、直接手渡ししても問題ないケースもあります。
葬儀に参列できない場合は、後日現金書留で郵送することも可能です。 その際は、不祝儀袋に入れたお花代を現金書留専用封筒に包み、葬儀後1週間から1ヶ月程度で到着するように手配しましょう。 お悔やみの言葉や故人との思い出、遺族を気遣う一言メッセージを添えると、より丁寧な印象になります。
香典との違いと同時にお渡しする際の注意点
香典は、故人の霊前にお供えする香や供物の代わりとしての金銭であり、遺族の急な出費を支援する意味合いも持ちます。 一方、供花料やお花代は、主に供花の代金としての意味合いが強いです。 意味合いが異なるため、香典と供花料（お花代）を両方渡す場合は、それぞれ別の不祝儀袋に包むのがマナーです。 一緒に包むことは避け、表書きも「御香典」「御花代」と明確に分けて記載することで、遺族が整理しやすくなります。
地域によっては、香典と供花料を両方渡す習慣がある場合もありますので、事前に確認しておくと安心です。
よくある質問
供花料やお花代に関する疑問は尽きないものです。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
- 供花料とお花代はどちらを渡せば良いですか？
- 供花を辞退された場合はどうすれば良いですか？
- 夫婦連名で供花料を包む場合の書き方は？
- 供花料を現金書留で送ることはできますか？
- 供花料を渡す際に一言添えるべきですか？
供花料とお花代はどちらを渡せば良いですか？
供花料とお花代は、どちらを渡しても問題ありません。供花を直接手配する代わりに費用を渡したい場合は「供花料」または「お花代」として、香典を辞退された場合や葬儀に参列できない場合に弔意を伝えたい場合は「お花代」として渡すのが一般的です。 故人の宗教・宗派が不明な場合は「お花代」とすると無難でしょう。 迷った場合は、遺族や葬儀社に確認することをおすすめします。
供花を辞退された場合はどうすれば良いですか？
遺族が供花を辞退されている場合は、無理に供花を贈ることは避けるべきです。 遺族の意向を尊重し、供花料やお花代を渡すことも控えるのがマナーです。どうしても弔意を伝えたい場合は、後日改めて弔問に伺い、お線香をあげさせていただくか、お供え物（お菓子など）を持参するのが良いでしょう。
夫婦連名で供花料を包む場合の書き方は？
夫婦連名で供花料を包む場合は、不祝儀袋の下段中央に夫の氏名を書き、その左隣に妻の名前のみを記載します。苗字は夫のものに合わせるため、妻の苗字は省略するのが一般的です。 夫婦で一つの不祝儀袋にまとめることで、遺族が誰からのものか分かりやすくなります。
供花料を現金書留で送ることはできますか？
はい、供花料やお花代を現金書留で郵送することは可能です。 葬儀に参列できない場合や、遠方に住んでいる場合に利用されます。不祝儀袋に入れた供花料を現金書留専用封筒に包み、お悔やみの言葉を添えた手紙を同封するとより丁寧です。 葬儀後1週間から1ヶ月を目安に到着するように手配しましょう。
供花料を渡す際に一言添えるべきですか？
供花料やお花代を渡す際には、「この度はご愁傷様でございます」といったお悔やみの言葉を添えるのがマナーです。 現金書留で郵送する場合は、手紙にお悔やみの言葉や故人との思い出、遺族を気遣う言葉などを記すと、より気持ちが伝わるでしょう。 長文である必要はなく、簡潔に心を込めたメッセージを添えることが大切です。
まとめ
- 供花料は供花の代金、お花代は供花の代金または香典代わりの金銭を指す。
- 供花料やお花代の相場は故人との関係性や渡す目的で異なる。
- 供花代としての相場は5千円～3万円程度が目安。
- 香典代わりとしての相場は香典の金額に準じる。
- 封筒は黒白の結び切りの不祝儀袋を使用する。
- 金額に応じて水引の種類（印刷、黒白、双銀）を使い分ける。
- 宗教・宗派不明やキリスト教式では白無地の封筒も選択肢となる。
- 表書きは薄墨の筆や筆ペンで「御花代」または「お花代」と記載する。
- 氏名は水引の下にフルネームで、連名の場合は地位の高い順に書く。
- 裏書きには漢数字の旧字体で金額を、住所・氏名を記載する。
- お札は新札を避け、肖像画が裏側・下向きになるように入れる。
- 渡すタイミングは通夜や葬儀の受付時が一般的である。
- 参列できない場合は現金書留で郵送し、手紙を添える。
- 香典と供花料（お花代）を両方渡す場合は、それぞれ別の封筒に包む。
- 供花を辞退された場合は、無理に金銭を渡すことは避ける。
- 夫婦連名の場合は夫の氏名と妻の名前のみを記載する。