大切な方が亡くなられた際、お悔やみの気持ちを伝える方法の一つに「供花代」があります。しかし、いざ供花代を包むとなると、どのような封筒を選び、どのように書けば良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。失礼なく、故人やご遺族への敬意を示すためにも、正しい供花代の封筒の書き方や渡し方を知ることは非常に重要です。
本記事では、供花代の封筒に関するあらゆる疑問を解決できるよう、選び方から表書き、中袋の書き方、さらには渡し方のマナーまで、徹底的に解説します。この記事を読めば、いざという時にも安心して供花代を準備できるでしょう。
供花代とは?香典との違いを理解しよう

供花代を正しく準備するためには、まずその意味を理解し、香典との違いを把握することが大切です。混同されがちですが、それぞれに異なる意味合いとマナーがあります。
供花代の基本的な意味
供花代とは、故人の霊前にお供えする「供花(くげ)」の代金として、ご遺族に渡すお金のことです。故人への弔意を表し、祭壇を飾る花を手向ける気持ちを込めて贈られます。葬儀や法事の際に、供花を贈る代わりに現金を包む場合に用いられるのが一般的です。
近年では、葬儀の形式が多様化し、供花を辞退されるご遺族も増えています。そのような場合でも、故人への弔意を示したいという気持ちから、供花代として現金を包むこともあります。
香典との明確な違い
供花代と香典は、どちらも弔事の際に現金を包むものですが、その目的が異なります。香典は、故人の霊前に供える金品であり、ご遺族の葬儀費用や当座の生活費の負担を軽減するという意味合いが強いものです。
一方、供花代はあくまで供花や供物の代わりとして贈るお金であり、ご遺族の経済的支援というよりも、故人への追悼の気持ちを形にする意味合いが強いです。そのため、香典とは別に供花代を用意することが一般的とされています。
供花代の封筒選び:適切な種類とマナー

供花代を包む封筒は、どのようなものでも良いわけではありません。弔事にふさわしい不祝儀袋を選び、水引の種類にも注意を払う必要があります。適切な封筒を選ぶことは、ご遺族への配慮を示す大切なマナーの一つです。
不祝儀袋の種類と選び方
供花代を包む際には、香典と同様に「不祝儀袋」を使用します。不祝儀袋には様々な種類がありますが、供花代の場合は、水引が印刷されたものか、実際に水引がかけられたものを選びましょう。
金額が少額(5,000円程度まで)であれば、水引が印刷されたシンプルな封筒でも問題ありません。しかし、10,000円以上の金額を包む場合は、実際に水引がかけられた、やや格の高い不祝儀袋を選ぶのが一般的です。また、蓮の絵柄が入った不祝儀袋は仏式専用ですので、他の宗教の場合は避けるようにしてください。
水引の種類と結び方
弔事に使用する水引は、色と結び方に決まりがあります。供花代の場合も、このマナーに従って選びましょう。
- 水引の色:黒白または双銀(銀一色)が一般的です。地域によっては黄白の水引が使われることもありますが、基本的には黒白か双銀を選べば間違いありません。
- 水引の結び方:「結び切り」を選びます。結び切りは、一度結んだらほどけないことから、「二度と繰り返さない」という意味合いが込められており、弔事や婚礼など、一度きりであってほしいことに用いられます。蝶結びは「何度でも繰り返したい」という意味合いがあるため、絶対に使用しないように注意しましょう。
水引が印刷されている封筒を選ぶ際も、これらの色と結び方のルールが守られているかを確認することが大切です。
供花代封筒の表書き:宗教・宗派別の書き方

供花代の封筒の表書きは、故人の宗教・宗派によって適切な書き方が異なります。ご遺族に失礼のないよう、事前に確認し、正しい表書きを心がけましょう。ここでは、主な宗教・宗派別の表書きについて解説します。
仏式の場合の表書き
仏式の場合、供花代の表書きは主に以下のいずれかを使用します。最も一般的なのは「御供花料」です。
- 御供花料(おそなえりょう、おくげりょう):供花代として最も広く使われる表書きです。
- 御供物料(おそなえものりょう):供物全般の代金として使われます。供花代としても使用可能です。
- 御供(おそなえ):より簡略な表現で、供花や供物の代金として使えます。
これらの文字は、薄墨で書くのがマナーとされています。悲しみを表す意味合いがあるため、筆ペンやサインペンで薄墨のインクを使用するか、通常の墨で薄く書くようにしましょう。
神式の場合の表書き
神式の場合、仏式とは異なる表書きを使用します。神道では「御玉串料」や「御榊料」が一般的です。
- 御玉串料(おたまぐしりょう):玉串奉奠(たまぐしほうてん)の代金として使われます。供花代としても使用可能です。
- 御榊料(おさかきりょう):榊(さかき)をお供えする代金として使われます。
- 御供(おそなえ):仏式と同様に、簡略な表現として使用できます。
神式の場合も、薄墨で書くのが丁寧な印象を与えます。故人やご遺族の信仰に合わせた表書きを選ぶことが大切です。
キリスト教式の場合の表書き
キリスト教式の場合、供花代の表書きは「御花料」が一般的です。キリスト教では「香典」という概念がないため、供花代として「御花料」を使用します。
- 御花料(おはなりょう):キリスト教式で最も広く使われる表書きです。
- 御ミサ料(おみさりょう):カトリックの場合に用いられます。
- 献花料(けんかりょう):プロテスタントの場合に用いられます。
キリスト教式では、薄墨ではなく通常の濃い墨で書いても問題ないとされています。これは、キリスト教では死を悲しむだけでなく、故人の安らかな旅立ちを祈る意味合いが強いためです。
無宗教の場合の表書き
故人やご遺族が無宗教の場合や、宗教・宗派が不明な場合は、特定の宗教に偏らない表書きを選びましょう。「御供花料」または「御供」が最も無難な選択です。
- 御供花料(おそなえりょう、おくげりょう):宗教を問わず使用できる表書きです。
- 御供(おそなえ):こちらも宗教を問わず使用できる簡略な表現です。
無宗教の場合でも、弔事であることには変わりありませんので、薄墨で書くのが丁寧な印象を与えます。迷った場合は、ご遺族に直接尋ねるか、葬儀社の担当者に確認するのも一つの方法です。
供花代封筒の中袋の書き方:金額・住所・氏名
供花代を包む不祝儀袋には、通常「中袋」が入っています。中袋には、包んだ金額、自分の住所、氏名を正確に記載することが求められます。これは、ご遺族が香典返しやお礼をする際に必要となる情報だからです。中袋の書き方にもマナーがありますので、しっかりと確認しておきましょう。
金額の正しい書き方(旧字体)
中袋の表側には、包んだ金額を記載します。金額は、改ざんを防ぐために「旧字体(大字)」で書くのが正式なマナーです。特に、壱、弐、参、伍、拾、阡、萬などの文字を使用します。
- 5,000円の場合:「金伍阡圓」または「金伍仟圓」
- 10,000円の場合:「金壱萬圓」
- 30,000円の場合:「金参萬圓」
- 50,000円の場合:「金伍萬圓」
金額の前に「金」をつけ、最後に「圓」をつけるのが一般的です。漢数字で書く場合も、縦書きで記載します。薄墨ではなく、通常の濃い墨で書いて問題ありません。
住所・氏名の書き方
中袋の裏側には、自分の住所と氏名を記載します。これは、ご遺族が供花代を受け取った方の情報を正確に把握し、後日お礼状や香典返しを送る際に必要となるためです。丁寧に、楷書で記載することを心がけましょう。
- 住所:郵便番号から都道府県、市区町村、番地、マンション名・部屋番号まで、省略せずに正確に記載します。
- 氏名:フルネームで記載します。表書きの氏名と同じになるようにしましょう。
住所と氏名は、中袋の裏側、左下に縦書きで記載するのが一般的です。こちらも薄墨ではなく、通常の濃い墨で書いて問題ありません。
供花代封筒の裏書き:氏名と金額の記載方法

供花代の封筒には、中袋の他に、不祝儀袋本体の裏側にも情報を記載する場合があります。中袋がないタイプの不祝儀袋を使用する場合や、より丁寧に情報を伝えるために行われるものです。裏書きの有無や書き方は、地域や慣習によって異なることもありますが、基本的なマナーを知っておくと安心です。
裏面への氏名記載
中袋がないタイプの不祝儀袋を使用する場合、不祝儀袋本体の裏側に氏名を記載します。通常は、裏面の左下に、自分のフルネームを縦書きで記載します。
複数人で連名にする場合は、代表者の氏名を中央に書き、その左側に他の人の氏名を並べるか、別紙に全員の氏名を記載して中に入れる方法もあります。中袋がある場合は、基本的に不祝儀袋本体の裏面に氏名を記載する必要はありませんが、念のため記載しても失礼にはあたりません。
裏面への金額記載
中袋がない不祝儀袋の場合、裏面に金額を記載することもあります。この場合も、中袋と同様に旧字体(大字)で記載するのが正式なマナーです。
裏面の左下に、氏名の下に続けて「金〇〇圓」と記載します。金額の記載は、ご遺族が後で整理する際に非常に役立つ情報です。薄墨ではなく、通常の濃い墨で記載しましょう。中袋がある場合は、中袋に金額を記載するため、不祝儀袋本体の裏面には金額を記載する必要はありません。
連名で供花代を包む場合の書き方

供花代を夫婦や友人、会社などで連名で包む場合、封筒の書き方には特別なマナーがあります。誰が、どのような立場で供花代を贈るのかを明確にするためにも、正しい連名の書き方を把握しておくことが大切です。
夫婦連名の場合
夫婦で供花代を包む場合、一般的には夫の氏名を中央に書き、その左隣に妻の名前のみを記載します。妻の姓は夫と同じであるため、省略するのが通例です。
例:
御供花料
〇〇 〇〇(夫のフルネーム)
〇〇(妻の名前のみ)
夫婦でそれぞれ別の供花代を包む場合は、個別の封筒を用意しても問題ありません。
複数人の連名の場合
友人や職場の同僚など、複数人で供花代を包む場合は、3名までであれば全員の氏名を記載するのが一般的です。右から目上の方の氏名を書き、左に向かって順に記載します。
例:
御供花料
〇〇 〇〇 〇〇 〇〇 〇〇 〇〇
4名以上になる場合は、代表者の氏名を中央に書き、その左隣に「他一同」と記載するのが一般的です。この場合、別紙に全員の氏名と住所、包んだ金額を記載し、中袋に入れておきましょう。ご遺族がお礼をする際に役立ちます。
例:
御供花料
〇〇 〇〇 他一同
会社名・団体名で出す場合
会社や団体として供花代を出す場合は、会社名や団体名を中央に記載し、その右下に代表者名や役職名を記載します。会社名が長い場合は、略さずに正式名称で記載しましょう。
例:
御供花料
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇
部署名で出す場合は、会社名の下に部署名を記載し、その下に代表者の氏名を記載します。連名の場合と同様に、別紙に詳細なリストを添えるとより丁寧です。
供花代を渡す際のマナーとタイミング

供花代は、ただ封筒に入れて渡せば良いというものではありません。ご遺族への配慮と敬意を示すためにも、渡し方やタイミングにもマナーがあります。適切な方法で供花代を渡すことで、故人への弔意がより深く伝わるでしょう。
供花代を渡す適切なタイミング
供花代を渡すタイミングは、一般的に葬儀の受付時です。受付で記帳を済ませる際に、お悔やみの言葉を添えて渡すのが最も丁寧な方法です。
もし受付がない場合や、葬儀に参列できない場合は、後日改めてご自宅に弔問に伺い、その際に渡すことも可能です。ただし、ご遺族が忙しい時期を避けるなど、相手の状況を考慮することが大切です。郵送で送る場合は、現金書留を利用し、お悔やみの手紙を添えるようにしましょう。
袱紗(ふくさ)の使い方
供花代を渡す際には、不祝儀袋をそのまま手渡しするのではなく、「袱紗(ふくさ)」に包んで持参するのがマナーです。袱紗は、金品を汚さないように保護する役割と、相手への敬意を表す役割があります。
- 袱紗の色:弔事では、紺色、緑色、灰色などの寒色系のものを選びます。紫色は慶弔どちらにも使えるため、一つ持っていると便利です。
- 袱紗の包み方:袱紗を広げ、不祝儀袋を中央よりやや右寄りに置きます。次に右、下、上、左の順に包み、最後に左側の布を折り返して留めます。弔事の場合は、右開きになるように包むのが正しい方法です。
- 渡し方:受付で袱紗から不祝儀袋を取り出し、相手から見て表書きが正面になるように両手で差し出します。その際、「この度はご愁傷様でございます」など、お悔やみの言葉を添えるようにしましょう。
袱紗を使うことで、より丁寧な印象を与え、ご遺族への心遣いを伝えることができます。
供花代の相場と準備のコツ

供花代の金額は、故人との関係性や地域の慣習によって異なります。適切な金額を包むことは、ご遺族への配慮を示す上で重要なポイントです。ここでは、供花代の一般的な相場と、準備する際のコツについて解説します。
供花代の一般的な相場
供花代の相場は、故人との関係性によって変動します。あくまで目安ですが、以下の金額を参考にしてください。
- 親族の場合:10,000円~30,000円程度
- 友人・知人の場合:5,000円~10,000円程度
- 職場関係の場合:5,000円~10,000円程度(連名の場合は一人あたり3,000円~5,000円)
地域によっては、供花代の代わりに供花そのものを贈る慣習がある場合もあります。また、香典とは別に供花代を包むのか、香典に含めるのかも、地域の慣習やご遺族の意向によって異なるため、事前に確認できると安心です。迷った場合は、周囲の人に相談するか、葬儀社に問い合わせてみるのも良いでしょう。
供花代を準備する際の注意点
供花代を準備する際には、いくつかの注意点があります。これらを押さえておくことで、いざという時に慌てずに対応できます。
- 新札は避ける:弔事では、あらかじめ準備していたかのような印象を与える新札は避けるのがマナーです。もし新札しかない場合は、一度折り目をつけてから包むようにしましょう。
- 偶数の金額は避ける:割り切れる偶数は「縁が切れる」ことを連想させるため、弔事では避けるのが一般的です。ただし、2万円は例外的に許容される場合があります。4万円や9万円など、「死」や「苦」を連想させる数字も避けるべきです。
- ご遺族が辞退された場合:ご遺族が供花や供花代を辞退されている場合は、その意向を尊重し、無理に渡さないようにしましょう。後日、改めて弔問に伺い、お悔やみの言葉を伝えるだけでも十分な弔意となります。
これらのコツを参考に、故人への敬意とご遺族への配慮を込めて、供花代を準備しましょう。
よくある質問

供花代は薄墨で書くべきですか?
はい、供花代の表書きは、悲しみを表すために薄墨で書くのがマナーとされています。薄墨は「涙で墨が薄くなった」という意味合いが込められています。筆ペンやサインペンで薄墨のインクを使用するか、通常の墨で薄く書くようにしましょう。ただし、中袋の金額や住所・氏名は、後でご遺族が確認しやすいため、通常の濃い墨で書いて問題ありません。
供花代を辞退された場合はどうすればいいですか?
ご遺族が供花や供花代を辞退されている場合は、その意向を尊重し、無理に渡さないようにしましょう。ご遺族の負担を軽減したいという気持ちからの辞退であることが多いため、無理に渡すことはかえってご迷惑になる可能性があります。後日、改めて弔問に伺い、お悔やみの言葉を伝えるだけでも十分な弔意となります。
どうしても何かしたい場合は、後日、お供え物を持参することも検討できますが、事前にご遺族に確認することをおすすめします。
供花代と御花料は同じ意味ですか?
供花代と御花料は、どちらも故人への供花や供物の代金として贈るお金を指しますが、使用される宗教が異なります。供花代は仏式や神式で広く使われる表現です。一方、御花料は主にキリスト教式で使われることが多いです。ただし、近年では宗教を問わず「御花料」が使われることも増えていますが、故人の宗教が分かっている場合は、それに合わせた表書きを選ぶのがより丁寧です。
供花代はいつまでに渡せば良いですか?
供花代は、一般的に葬儀の受付時に渡すのが最も適切なタイミングです。通夜に参列する場合は通夜の受付で、葬儀・告別式に参列する場合はその受付で渡しましょう。もし葬儀に参列できない場合は、後日改めてご自宅に弔問に伺い、その際に渡すことも可能です。ただし、ご遺族が忙しい時期を避け、落ち着いた頃を見計らって伺うようにしましょう。
供花代の金額はどのように決めれば良いですか?
供花代の金額は、故人との関係性や地域の慣習、自身の年齢や立場によって異なります。一般的には、故人との関係が深いほど高額になる傾向があります。親族であれば10,000円~30,000円、友人・知人であれば5,000円~10,000円が目安とされています。また、偶数の金額や「死」「苦」を連想させる数字は避けるのがマナーです。
迷った場合は、周囲の人に相談するか、葬儀社に問い合わせてみるのが良いでしょう。
まとめ
- 供花代は故人への供花の代金であり、香典とは目的が異なります。
- 供花代の封筒は、黒白または双銀の結び切りの水引が付いた不祝儀袋を選びます。
- 表書きは故人の宗教・宗派に合わせて「御供花料」「御玉串料」「御花料」などを使い分けます。
- 表書きは薄墨で、中袋の金額や住所・氏名は濃い墨で書くのがマナーです。
- 金額は改ざん防止のため「金壱萬圓」のように旧字体(大字)で記載します。
- 連名で包む場合は、夫婦、複数人、会社名それぞれに正しい書き方があります。
- 供花代は袱紗に包み、葬儀の受付で「ご愁傷様でございます」と添えて渡します。
- 供花代の相場は故人との関係性で異なり、5,000円~30,000円程度が目安です。
- 新札や偶数の金額は避け、ご遺族が辞退された場合は無理に渡さない配慮が必要です。
- 中袋には、包んだ金額、自分の住所、氏名を正確に記載することが求められます。
- 不祝儀袋本体の裏面にも、中袋がない場合は氏名や金額を記載することがあります。
- 袱紗は金品を保護し、相手への敬意を表す大切な道具です。
- 弔事では、右開きになるように袱紗に包むのが正しい方法です。
- 供花代の金額に迷ったら、周囲の人や葬儀社に相談するのが良いでしょう。
- 正しいマナーを理解し、故人への弔意とご遺族への心遣いを伝えることが大切です。
