小学5年生になると、算数の計算が急に難しくなったと感じるお子さんは少なくありません。分数や小数のかけ算・わり算、割合など、新しい単元が登場し、計算の複雑さが増すため、つまずきやすい時期です。しかし、計算は算数の基礎であり、ここを乗り越えることで、その後の学習がスムーズに進みます。本記事では、5年生の計算でつまずきやすいポイントを解説し、計算を工夫する具体的なやり方や、苦手意識を克服して得意にするためのコツを詳しくご紹介します。
お子さんが自信を持って算数に取り組めるよう、ぜひ参考にしてください。
5年生の算数で計算が難しくなる理由とは?

小学5年生になると、算数の計算が難しくなるのにはいくつかの理由があります。これまで学んだ基礎の上に、さらに発展的な内容が加わるため、多くのお子さんが「難しい」と感じやすい時期なのです。特に、新しい概念の登場や、複数の計算を組み合わせる問題が増えることが、つまずきの原因となることが多いでしょう。
分数や小数の登場で複雑さが増す
小学5年生の算数では、分数や小数のかけ算・わり算が本格的に登場します。これらの計算は、低学年で習った四則計算とは異なり、通分や約分、小数点の移動といった新しい手順を正確に理解して進める力が求められます。
特に、異分母分数のたし算やひき算では「通分」という作業が加わり、小数のかけ算やわり算では小数点の位置を正しく扱う必要があり、これが多くの子供たちにとって混乱しやすいポイントとなります。分数や小数の概念自体があいまいな場合、計算に対する苦手意識が強まる傾向があるでしょう。
複数の計算が混ざる問題が増える
5年生になると、一つの問題の中に複数の計算が混ざる「複合問題」が増えてきます。例えば、分数と小数が混じった計算や、かっこのある式など、計算の順序を正しく判断する力が求められるのです。
単に計算するだけでなく、「問題をどう考えるか」という思考の進め方が重要になります。問題文から必要な情報を読み取り、どの計算をどの順番で行うかを計画する力が不足していると、途中でつまずいてしまうことも少なくありません。
抽象的な概念の理解が求められる
小学5年生では、割合、速さ、単位量あたりの大きさなど、抽象的な概念を扱う単元も登場します。これらの単元では、具体的な数字を操作するだけでなく、概念そのものを理解し、問題文の状況を論理的に思考する力が不可欠です。
例えば、「速さ」の問題では、時速や分速といった単位変換が必要になることがあり、これが抽象的な思考を苦手とするお子さんにとっては難しいと感じる原因となります。公式を丸暗記するだけでは対応できない問題が増えるため、概念の深い理解が求められるのです。
5年生の計算を工夫する具体的なやり方

5年生の計算は複雑に感じられるかもしれませんが、いくつかの工夫を知ることで、より効率的かつ正確に解けるようになります。計算のきまりを上手に活用したり、暗算力を高める練習を取り入れたりすることで、計算への苦手意識を減らし、得意に変えることができるでしょう。
分数計算を楽にする工夫
分数計算では、通分や約分が重要な作業となります。これを効率的に行うための工夫を知っておきましょう。
- 約分を先に済ませる:かけ算の場合、計算の途中で約分できるところがあれば、先に約分してしまうと数字が小さくなり、その後の計算が楽になります。
- 通分は最小公倍数で:たし算やひき算で通分する際は、分母の最小公倍数を見つけることで、計算がシンプルになります。
- 帯分数を仮分数に直すタイミング:かけ算やわり算では、先に帯分数を仮分数に直してから計算すると間違いが減ります。
これらの工夫は、計算の手間を減らし、ミスを防ぐことにつながります。
小数計算を効率的に行う工夫
小数計算では、小数点の位置に注意が必要です。効率的な計算のやり方を取り入れましょう。
- 整数にしてから計算する:かけ算やわり算では、一時的に小数を整数に直して計算し、最後に小数点の位置を調整する方法があります。
- 計算のきまりを活用する:「交換法則」「結合法則」「分配法則」といった計算のきまりは、小数でも活用できます。例えば、1.25 × 8 × 0.4 のような問題では、先に 1.25 × 8 = 10 を計算し、その後に 10 × 0.4 = 4 とすると、暗算で簡単に答えが出せます。
- キリの良い数にまとめる:例えば、0.25 × 4 = 1 や 1.25 × 8 = 10 のように、キリの良い数になる組み合わせを見つけると、計算が格段に楽になります。
これらの工夫は、複雑な小数計算をシンプルにするための有効な方法です。
概算を活用して見通しを立てる方法
複雑な計算問題に取り組む前に、概算でだいたいの答えの見当をつけることは、計算ミスを防ぐ上で非常に有効です。例えば、2.8 × 3.1 の計算であれば、3 × 3 = 9 と概算することで、実際の答えが9に近い値になることが予測できます。
この方法は、計算結果が大きくずれていないかを確認する「検算」の役割も果たします。概算の習慣をつけることで、計算に対する感覚が養われ、より正確な計算へとつながるでしょう。
暗算力を高める練習方法
暗算力は、計算スピードと正確性を高める上で非常に重要です。日々の練習で少しずつ鍛えることができます。
- 100マス計算:短時間で集中して多くの計算をこなすことで、計算スピードと正確性が向上します。
- キリの良い数を作る練習:例えば、98 + 7 を 100 + 5 と考えるように、足し算や引き算でキリの良い数を作る練習をすると、暗算がしやすくなります。
- フラッシュ暗算アプリ:ゲーム感覚で楽しみながら暗算力を鍛えられるアプリも活用してみましょう。
毎日少しずつでも継続して取り組むことが、暗算力向上のコツです。
計算の順序を意識する
複数の計算が混ざった問題では、計算の順序を正しく理解することが重要です。かっこのある式はかっこ内を先に計算し、かけ算・わり算をたし算・ひき算より先に計算する、という基本ルールを徹底しましょう。
特に5年生では、計算のきまり(交換法則、結合法則、分配法則)を意識的に使うことで、計算を簡単にできる場面が多くあります。例えば、(100 + 9) × 11 のような式は、100 × 11 + 9 × 11 と分解して計算すると楽になるでしょう。
これらの法則を理解し、問題に応じて使い分けることが、計算を工夫する上で大切な力となります。
計算ミスを減らすための習慣とコツ

計算ミスは、どんなに算数が得意な子でもしてしまうものです。しかし、ちょっとした習慣やコツを身につけることで、ミスを大幅に減らすことができます。正確な計算は、算数の学習において自信を育む大切な要素です。
途中式を丁寧に書くことの重要性
「暗算でできるから」と途中式を省略してしまうお子さんは少なくありません。しかし、途中式を丁寧に書くことは、計算ミスを減らす上で非常に重要です。
途中式を書くことで、計算の進め方が可視化され、どこで間違えたのかを後から確認しやすくなります。特に、分数や小数、かっこのある複雑な計算では、一つ一つの手順を書き出すことで、計算の流れが整理され、ミスを防ぎやすくなるでしょう。
計算スペースを十分に確保し、数字を丁寧に書くことも大切です。ぐちゃぐちゃな筆算は、それだけでミスを誘発する原因となります。
見直しを徹底する習慣をつける
計算が終わったら、必ず見直しをする習慣をつけましょう。見直しは、ただ答えが合っているかを見るだけでなく、もう一度計算をやり直してみる「検算」が効果的です。
特に、問題文の数字をノートに転記する際のミスや、解答欄への書き写しミスも意外と多いものです。問題文と自分の書いた数字を指差し確認するなど、具体的な方法で見直しを行うと良いでしょう。
また、全ての計算を終えてからまとめて見直すのではなく、1問解き終わるごとに見直す「1問ごとの見直し」も、記憶が新しいうちにミスを発見できるためおすすめです。
集中力を高める環境づくり
計算ミスは、集中力の欠如から起こることもあります。お子さんが集中して計算に取り組める環境を整えることも大切です。
- 静かな場所で学習する:テレビやゲームなど、気が散るものがない静かな環境で学習させましょう。
- 時間を決めて取り組む:「この10分間は計算に集中する」と時間を区切ることで、集中力を高めやすくなります。
- 休憩を挟む:長時間集中し続けるのは難しいものです。適度な休憩を挟むことで、集中力を維持できます。
お子さんが「今から計算に取り組むぞ」という気持ちになれるような環境を意識して作ってあげましょう。
楽しく計算力を高めるための方法

計算力を高めることは、地道な努力が必要ですが、楽しく取り組める工夫をすることで、お子さんのモチベーションを維持しやすくなります。ゲームやアプリの活用、日常生活での実践、そして親御さんの適切なサポートが、お子さんの算数への興味を引き出し、計算力を伸ばすことにつながるでしょう。
計算ゲームやアプリを活用する
最近では、計算力を楽しく鍛えられるゲームやアプリが豊富にあります。これらを活用することで、お子さんは遊び感覚で計算に親しむことができます。
- 計算ドリルアプリ:時間制限を設けたり、レベルアップ要素があったりするアプリは、飽きずに続けやすいです。
- 算数パズルゲーム:論理的思考力も同時に養えるパズルゲームは、計算だけでなく、問題解決能力も高めます。
- ボードゲーム:家族で楽しめる算数系のボードゲームも、コミュニケーションを取りながら計算力を高める良い機会になります。
ただし、ゲームやアプリに頼りすぎず、バランス良く学習に取り入れることが大切です。
日常生活で計算に触れる機会を作る
算数は、日常生活のあらゆる場面で活用されています。意識的に計算に触れる機会を作ることで、お子さんは算数が「役に立つもの」だと実感し、興味を持つようになるでしょう。
- 買い物での計算:スーパーで「あといくら買えるかな?」「割引されたら合計はいくら?」など、簡単な計算をさせてみましょう。
- 料理での分量計算:レシピの分量を2倍にしたり半分にしたりする計算は、分数や小数に触れる良い機会です。
- 時間や距離の計算:旅行の計画を立てる際に「目的地まであと何時間かかるかな?」など、具体的な場面で計算させてみましょう。
このように、生活の中で自然と算数に触れることで、学習意欲が高まります。
親ができる効果的なサポート
親御さんのサポートは、お子さんの計算力向上に大きな影響を与えます。ただ「勉強しなさい」と言うだけでなく、具体的な関わり方を工夫しましょう。
- 「できた」を褒める:小さな成功体験でも積極的に褒めることで、お子さんの自信とやる気を引き出します。
- つまずきポイントを見つける:お子さんがどこで、なぜつまずいているのかを一緒に確認し、その原因に合った対策を考えましょう。
- 焦らず見守る:算数は積み重ねの教科です。すぐに結果が出なくても焦らず、地道な努力を応援する姿勢が大切です。
- 声かけを工夫する:「どうやって解いたの?」「他にやり方はないかな?」など、お子さんの思考を促すような声かけを心がけましょう。
お子さんの学習状況に合わせて、適切なサポートを継続することが、計算力アップへの道となります。
よくある質問

- 5年生でつまずきやすい計算はどんなものですか?
- 計算が苦手な子にどう声をかけたら良いですか?
- 計算ドリルは毎日やった方が良いですか?
- 計算力を高めるのに役立つ教材はありますか?
- 算数の文章問題が苦手な場合、計算力と関係ありますか?
5年生でつまずきやすい計算はどんなものですか?
小学5年生でつまずきやすい計算としては、分数や小数のかけ算・わり算、そして割合や速さ、単位量あたりの大きさといった概念を伴う計算が挙げられます。特に、通分や約分、小数点の移動、複数の計算が混ざる問題で苦戦するお子さんが多い傾向にあります。
計算が苦手な子にどう声をかけたら良いですか?
計算が苦手な子には、「どうやって解いたの?」「他にやり方はないかな?」など、お子さんの思考を促すような声かけが有効です。また、小さな「できた」を積極的に褒め、自信を持たせることも大切です。焦らせるのではなく、じっくりと考える時間を与え、寄り添う姿勢でサポートしましょう。
計算ドリルは毎日やった方が良いですか?
計算ドリルは、毎日コツコツと続けることが非常に効果的です。1日に多くの問題を解くよりも、毎日10分程度でも良いので、継続して取り組むことで計算スピードと正確性が向上します。最初は正確さを意識し、慣れてきたら時間制限を設けるなど、工夫して取り組むのがおすすめです。
計算力を高めるのに役立つ教材はありますか?
計算力を高めるのに役立つ教材は多数あります。公文の計算ドリルは基礎計算の反復練習に特化しており、スピードと正確性を高めるのに適しています。また、四谷大塚の「予習シリーズ 計算」も、毎日15分の学習で計算の土台を築く必修教材として推奨されています。
算数の文章問題が苦手な場合、計算力と関係ありますか?
算数の文章問題が苦手な場合、計算力と関係があることもあります。計算が正確にできないと、文章問題の途中でミスをしてしまい、正解にたどり着けなくなるためです。しかし、文章問題の苦手は、読解力や問題文から数量関係を読み取る力、論理的に思考する力の不足が主な原因となることが多いでしょう。
まとめ
- 小学5年生の計算は、分数や小数の登場、複合問題の増加で難易度が上がります。
- 計算のきまり(交換法則、結合法則、分配法則)を活用すると、計算が楽になります。
- 分数計算では、先に約分したり、最小公倍数で通分したりする工夫が有効です。
- 小数計算では、整数に直したり、キリの良い数にまとめたりすると効率的です。
- 概算で答えの見当をつける習慣は、計算ミスを防ぎ、感覚を養うのに役立ちます。
- 100マス計算やフラッシュ暗算で、暗算力を日頃から鍛えることが大切です。
- 途中式を丁寧に書き、計算スペースを確保することで、ミスを減らせます。
- 1問ごとの見直しや検算を徹底する習慣をつけることが、正確性につながります。
- 静かな環境で時間を決めて学習するなど、集中力を高める工夫をしましょう。
- 計算ゲームやアプリは、楽しく計算力を高めるための良い方法です。
- 買い物や料理など、日常生活で計算に触れる機会を積極的に作りましょう。
- お子さんの「できた」を褒め、自信を育む親のサポートが重要です。
- つまずきポイントを一緒に確認し、焦らず地道な努力を応援する姿勢が大切です。
- 「どうやって解いたの?」など、思考を促す声かけを心がけましょう。
- 計算ドリルは毎日継続することで、スピードと正確性が向上します。
