後期高齢者医療制度の保険料について、多くの方が不安や疑問を抱えていることでしょう。75歳を迎え、新たにこの制度の対象となる方や、すでに加入している方も、ご自身の保険料がどのように決まり、どれくらいになるのかは気になるところです。本記事では、後期高齢者医療保険料の仕組みから計算方法、そして保険料を軽減するための方法まで、分かりやすく徹底的に解説します。
早見表の活用方法もご紹介しますので、ぜひご自身の保険料を理解し、今後の生活設計にお役立てください。
後期高齢者医療制度の基本を知ろう

後期高齢者医療制度は、高齢者の医療を支えるために設けられた大切な制度です。この制度の基本的な部分を理解することは、ご自身の保険料を把握する第一歩となります。まずは、どのような方が対象となり、誰が運営しているのか、そして医療費がどのように賄われているのかを見ていきましょう。
制度の対象者と運営主体
後期高齢者医療制度の対象となるのは、原則として75歳以上の方です。75歳の誕生日を迎えたその日から、自動的にこの制度の被保険者となります。特別な手続きは不要で、お住まいの市区町村から被保険者証が送付されます。また、65歳以上74歳以下の方でも、一定の障害があると認定された場合は、申請によりこの制度に加入することが可能です。
この制度の運営は、各都道府県に設置されている「後期高齢者医療広域連合」と、お住まいの市区町村が連携して行っています。広域連合が財政運営や資格認定などを担い、市区町村は申請手続きや保険料の徴収といった窓口業務を担当しています。
後期高齢者医療制度の財源構成
後期高齢者医療制度でかかる医療費は、さまざまな財源によって賄われています。具体的には、皆さんが納める保険料が約1割を占め、残りの約9割は公費(国・都道府県・市町村からの負担金)と、現役世代が加入する医療保険からの支援金で構成されています。 このように、後期高齢者医療制度は、国民全体で高齢者の医療を支え合う仕組みとして成り立っているのです。
少子高齢化が進む中で、この財源構成は持続可能な社会保障制度を維持するために重要な役割を果たしています。
後期高齢者保険料の計算方法と仕組み

後期高齢者医療保険料は、どのように計算されるのでしょうか。ご自身の保険料を正確に知るためには、その計算方法と仕組みを理解することが欠かせません。ここでは、保険料を構成する二つの要素と、それぞれの計算方法について詳しく解説します。
保険料は「均等割額」と「所得割額」の合計
後期高齢者医療保険料は、被保険者一人ひとりに課せられ、大きく分けて「均等割額」と「所得割額」の二つの要素の合計で決まります。 均等割額は、被保険者全員が等しく負担する定額部分です。一方、所得割額は、前年の所得に応じて負担する部分であり、所得が高いほど保険料も高くなる仕組みです。
この二つの要素を合算することで、年間の保険料額が算出されます。
所得割額の計算方法を理解する
所得割額は、前年の所得に基づいて計算されます。具体的には、前年の総所得金額等から地方税法で定められた基礎控除額(合計所得金額が2,400万円以下の場合は43万円)を差し引いた「賦課のもととなる所得金額」に、各広域連合が定める所得割率を掛けて算出されます。 特に、65歳以上の方の公的年金等に係る所得については、さらに15万円の特別控除が適用される場合があります。
この計算によって、個々人の所得に応じた負担が公平に行われるようになっています。
均等割額の計算方法と上限額
均等割額は、被保険者一人あたりに定額で課される部分です。この金額は、広域連合ごとに定められており、2年ごとに見直しが行われます。所得割額と均等割額を合わせた年間の保険料には上限額が設けられています。令和6年度の賦課限度額は原則80万円ですが、激変緩和措置により73万円となる場合もあります。 なお、2026年度からはこの上限額が85万円に引き上げられる方針が示されています。
この上限額は、高所得者の方の負担が過度にならないようにするためのものです。
保険料率と賦課限度額は2年ごとに見直し
後期高齢者医療制度の保険料率(均等割額と所得割率)は、各都道府県の後期高齢者医療広域連合が、今後2年間の医療費や被保険者数などを考慮して決定します。このため、保険料率は2年ごとに見直しが行われるのが特徴です。 例えば、令和6年度と令和7年度の保険料率は、令和6年1月に決定されています。
この見直しは、制度の安定的な運営と、医療費の変動に対応するために重要な進め方です。ご自身の地域の最新の保険料率は、広域連合や市区町村のウェブサイトで確認できます。
後期高齢者保険料早見表の活用方法と注意点

「後期高齢者保険料早見表」というキーワードで検索されている方は、ご自身の保険料を簡単に知りたいと考えていることでしょう。しかし、全国一律の早見表は存在しません。ここでは、早見表がどのようなものか、そしてどのように活用すれば良いのか、そのコツと注意点をお伝えします。
早見表で確認できることと探し方
後期高齢者保険料の早見表は、主に各都道府県の後期高齢者医療広域連合や、お住まいの市区町村のウェブサイトで公開されています。これらの早見表には、所得の段階に応じた均等割額や所得割率、そして具体的な年金収入額の例を挙げた保険料の試算額などが記載されていることが多いです。 早見表を探す際は、「〇〇県(または〇〇市)後期高齢者医療保険料 早見表」のように、お住まいの地域名を加えて検索すると見つけやすくなります。
また、多くの広域連合では、保険料の試算ツールを提供している場合もありますので、そちらも活用してみるのがおすすめです。
早見表を活用する際のポイント
早見表を活用する際のポイントは、ご自身の前年の所得状況を正確に把握することです。特に、公的年金収入だけでなく、給与所得やその他の所得がある場合は、それらを合算した総所得金額等を確認する必要があります。早見表に記載されている所得の区分とご自身の所得を照らし合わせることで、おおよその保険料を把握できます。
ただし、早見表はあくまで目安であり、個別の事情(軽減措置の適用など)によって実際の保険料は異なる場合があります。正確な保険料額は、毎年7月頃に送付される「後期高齢者医療保険料額決定通知書」で確認しましょう。
保険料の負担を軽くする軽減・減免制度

後期高齢者医療保険料は、所得に応じて負担が軽減される制度や、特別な事情がある場合に減免される制度が設けられています。これらの制度を知り、活用することで、保険料の負担を軽くできる可能性があります。ご自身が対象となるかどうか、確認してみましょう。
所得に応じた均等割額の軽減
所得が低い世帯に対しては、保険料の均等割額が軽減される制度があります。世帯内の被保険者全員と世帯主の総所得金額等の合計が一定の基準額以下の場合、均等割額が7割、5割、または2割軽減されます。 この軽減措置は、所得の申告がされていれば自動的に適用されることが多いですが、所得の申告をしていない場合は適用されない可能性もあるため、必ず申告を行うことが大切です。
旧被扶養者に対する軽減措置
後期高齢者医療制度に加入する日の前日まで、会社の健康保険や共済組合などの被用者保険の被扶養者であった方(国民健康保険や国民健康保険組合の被扶養者は対象外)には、特別な軽減措置が適用されます。この場合、後期高齢者医療制度の資格取得後2年間は、保険料の均等割額が5割軽減され、所得割額は課されません。 これまで保険料の負担がなかった方への、急激な負担増を和らげるための措置です。
この軽減措置も、通常は手続き不要で適用されますが、不明な点はお住まいの市区町村窓口に相談することをおすすめします。
災害や特別な事情による減免制度
災害で住宅や家財に著しい損害を受けた場合や、世帯主の死亡、事業の休廃止、失業などにより収入が著しく減少した場合など、特別な事情によって保険料の支払いが困難になった際には、申請により保険料の減免や徴収猶予が認められることがあります。 減免の基準や割合は、お住まいの市区町村によって異なりますので、まずは速やかに市町村の担当窓口に相談することが重要です。
必要な書類を揃えて申請することで、一時的または継続的な経済的負担を軽減できる可能性があります。
後期高齢者保険料の支払い方法

後期高齢者医療保険料の支払い方法は、主に二つあります。ご自身の状況によって、どちらかの方法で納めることになります。それぞれの支払い方法の特徴を理解し、ご自身にとって最適な方法を選びましょう。
原則は年金からの天引き(特別徴収)
後期高齢者医療保険料の支払い方法は、原則として年金からの天引き、いわゆる「特別徴収」となります。 これは、年間18万円以上の年金を受給している方が対象となり、介護保険料と同様に、年金の定期支払いの際に保険料があらかじめ差し引かれる仕組みです。 特別徴収は、支払い忘れの心配がなく、手間がかからないという利点があります。
ただし、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、年金受給額の2分の1を超える場合は、特別徴収の対象とならず、後述の普通徴収に切り替わります。
口座振替や納付書払い(普通徴収)
特別徴収の対象とならない方や、年金からの天引きではなく口座振替を希望する方は、「普通徴収」で保険料を納めます。 普通徴収には、主に口座振替と納付書払いの二つの方法があります。口座振替は、指定した金融機関の口座から自動的に保険料が引き落とされるため、納め忘れを防ぐことができ、非常に便利です。 口座振替への変更を希望する場合は、お住まいの市区町村窓口で手続きが必要です。
納付書払いは、送付された納付書を使って金融機関やコンビニエンスストアなどで支払う方法です。 最近では、スマートフォン決済アプリやクレジットカード払いなど、多様な支払い方法に対応している自治体も増えていますので、お住まいの地域の支払い方法を確認してみるのも良いでしょう。
よくある質問

- 後期高齢者医療制度の保険料はなぜ上がるのですか?
- 後期高齢者医療制度の保険料は国民健康保険より安いですか?
- 75歳になると自動的に後期高齢者医療制度に加入するのですか?
- 後期高齢者医療制度の保険料はどこで確認できますか?
- 保険料を滞納するとどうなりますか?
後期高齢者医療制度の保険料はなぜ上がるのですか?
後期高齢者医療制度の保険料が上昇傾向にある背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、少子高齢化の進展により、後期高齢者の医療費が増加していることが挙げられます。 医療技術の進歩や高齢者の人口増加に伴い、医療費全体が増えるため、その財源を賄う保険料も引き上げられる傾向にあります。また、現役世代の負担を抑えつつ、全世代で社会保障を支えるという国の制度改正も影響しています。
例えば、2026年度からは保険料の年間上限額が引き上げられる方針が示されています。 これらの要因が複合的に作用し、保険料の上昇につながっています。
後期高齢者医療制度の保険料は国民健康保険より安いですか?
一般的に、後期高齢者医療制度の保険料は、国民健康保険の保険料よりも安くなる傾向があります。 国民健康保険の保険料は、医療分、後期高齢者支援金分、介護分(40歳以上64歳以下の方)で構成され、所得割、均等割、平等割、自治体によっては資産割といった要素で計算されます。 一方、後期高齢者医療制度の保険料は、均等割額と所得割額のみで構成され、国民健康保険にある平等割や資産割がないため、その分保険料が安くなることが多いです。
ただし、保険料率は各自治体や広域連合によって異なるため、一概に比較することはできません。ご自身の正確な保険料については、それぞれの制度の計算方法を確認し、比較検討することをおすすめします。
75歳になると自動的に後期高齢者医療制度に加入するのですか?
はい、原則として75歳の誕生日を迎えると、特別な手続きなしで自動的に後期高齢者医療制度に加入します。 75歳の誕生日当日から後期高齢者医療制度の被保険者となり、お住まいの市区町村から新しい被保険者証が送付されます。それまで加入していた健康保険(国民健康保険や会社の健康保険など)は、75歳の誕生日をもって資格を喪失します。
ただし、65歳以上74歳以下の方で、一定の障害があると認定された場合は、申請によって75歳未満でも加入できるケースがあります。
後期高齢者医療制度の保険料はどこで確認できますか?
後期高齢者医療制度の正確な保険料額は、毎年7月頃に、お住まいの市区町村から送付される「後期高齢者医療保険料額決定通知書」で確認できます。 この通知書には、年間の保険料額や支払い方法、納期ごとの保険料額などが記載されています。また、お住まいの都道府県後期高齢者医療広域連合や市区町村のウェブサイトでも、保険料の計算方法や試算ツール、早見表などが公開されている場合がありますので、そちらも参考にすると良いでしょう。
不明な点があれば、お住まいの市区町村の担当窓口に直接問い合わせるのが最も確実です。
保険料を滞納するとどうなりますか?
後期高齢者医療保険料を滞納すると、いくつかの不利益が生じる可能性があります。まず、納期限を過ぎると督促状が送付され、延滞金が発生することがあります。 滞納が続くと、年金や預貯金などの財産が差し押さえられる場合もあります。 さらに、滞納が1年6ヶ月以上になると、医療の給付(高額療養費など)が一時的に差し止められ、その給付額が滞納保険料に充当されることもあります。
災害や病気など、特別な事情で保険料の支払いが困難な場合は、滞納する前に速やかにお住まいの市区町村の担当窓口に相談し、減免や徴収猶予の制度を活用することを検討しましょう。
まとめ
- 後期高齢者医療制度は75歳以上の方が対象となる医療保険制度です。
- 保険料は均等割額と所得割額の合計で計算されます。
- 均等割額は定額、所得割額は前年の所得に応じて決まります。
- 保険料率と賦課限度額は2年ごとに見直されます。
- 保険料の年間上限額は原則80万円(2026年度から85万円)です。
- 所得が低い世帯には均等割額の軽減措置があります。
- 旧被扶養者には2年間、均等割額5割軽減と所得割額なしの措置があります。
- 災害や特別な事情により保険料が減免される場合があります。
- 保険料の支払い方法は年金天引き(特別徴収)が原則です。
- 特別徴収の対象外の方は口座振替や納付書払い(普通徴収)で納めます。
- 後期高齢者医療保険料は国民健康保険より安くなる傾向があります。
- 75歳になると自動的に後期高齢者医療制度に加入します。
- 正確な保険料額は毎年7月頃の決定通知書で確認できます。
- 保険料を滞納すると延滞金や財産差し押さえなどの不利益があります。
- 不明な点があればお住まいの市区町村窓口に相談しましょう。
