アトピー性皮膚炎のつらいかゆみや炎症に悩まされている方は少なくありません。特に、ステロイド外用薬の長期使用に不安を感じる方や、顔などのデリケートな部位に使える薬を探している方もいらっしゃるでしょう。そんな中で注目されているのが、新しいタイプのアトピー性皮膚炎治療薬「コレクチム軟膏」です。本記事では、コレクチム軟膏の実際の評判や効果、気になる副作用、そして他の治療薬との違いについて詳しく解説します。
コレクチム軟膏があなたのアトピー性皮膚炎治療の選択肢となるか、一緒に見ていきましょう。
コレクチム軟膏とは?アトピー性皮膚炎治療の新しい選択肢

コレクチム軟膏は、アトピー性皮膚炎の治療に用いられる塗り薬で、2020年に成人用(0.5%)が、2021年には小児用(0.25%)が発売されました。この薬は、従来のステロイド外用薬や免疫抑制外用薬とは異なる作用機序を持つ、新しいカテゴリーの治療薬として注目を集めています。アトピー性皮膚炎の治療において、患者さんの選択肢を広げる重要な存在と言えるでしょう。
特に、ステロイド外用薬の長期使用に伴う懸念を抱える方にとって、新たな希望となる可能性があります。
世界初の外用JAK阻害薬としての特徴
コレクチム軟膏は、世界で初めて開発された塗り薬タイプの「JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬」です。アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の低下と、免疫細胞の過剰な反応によって引き起こされる炎症が複雑に絡み合って悪化します。この薬は、その免疫反応の異常に直接作用することで、炎症やかゆみを根本から抑えることを目指しています。
ステロイドとは異なるアプローチで炎症を鎮めるため、長期的な使用にも適していると期待されています。
コレクチム軟膏の作用機序
アトピー性皮膚炎では、IL-4やIL-13、IL-31といった「サイトカイン」と呼ばれる炎症性物質が過剰に作られ、これが細胞に情報を伝えることで炎症やかゆみが引き起こされます。この情報伝達には「JAK(ヤヌスキナーゼ)」という酵素が重要な役割を担っています。コレクチム軟膏の有効成分であるデルゴシチニブは、このJAKの働きを選択的に阻害します。
JAKの働きをブロックすることで、炎症性サイトカインが細胞に情報を伝える経路が遮断され、結果として炎症物質の産生が抑えられ、皮膚の炎症やかゆみが軽減されるのです。
コレクチム軟膏の良い評判と期待される効果
コレクチム軟膏は、その新しい作用機序から、多くのアトピー性皮膚炎患者さんにとって良い評判を得ています。特に、従来の治療薬では難しかった症状の改善や、使用上の利便性に関する声が多く聞かれます。患者さんの生活の質を高める可能性を秘めた治療薬として、期待が寄せられています。
炎症とかゆみへの優れた効果
コレクチム軟膏は、アトピー性皮膚炎による皮膚の炎症(赤み、腫れ、じゅくじゅくなど)を改善し、しつこいかゆみを軽減する効果が報告されています。臨床試験では、成人および小児のアトピー性皮膚炎患者さんにおいて、重症度やかゆみが有意に改善されたことが示されています。 特に、かゆみに対して比較的早く効果を感じられるという声も聞かれ、つらい症状からの解放に役立っています。
ステロイドからの切り替えや長期使用への適応
ステロイド外用薬は強力な抗炎症作用を持つ一方で、長期使用による皮膚萎縮や毛細血管拡張といった副作用が懸念されることがあります。コレクチム軟膏はステロイドとは異なる作用機序を持つため、これらの副作用の心配がありません。 そのため、ステロイドで症状が落ち着いた後の維持療法として、コレクチム軟膏に切り替える方法が取られることも多く、長期的に安心して使用できる点が良い評判につながっています。
顔や首などデリケートな部位への使用感
顔や首は皮膚が薄く、デリケートな部位であるため、使用する薬には特に注意が必要です。コレクチム軟膏は、顔や首の湿疹にも高い効果が報告されており、比較的安心して使用できるという意見が多く聞かれます。 プロトピック軟膏でしばしば見られるような強い刺激感が少ないため、これらの敏感な部位にも使いやすいと感じる患者さんが多いようです。
小児アトピー性皮膚炎への有効性
コレクチム軟膏は、生後6ヶ月以上の小児のアトピー性皮膚炎にも使用が承認されています。 小児を対象とした臨床試験でも、アトピー性皮膚炎の重症度が大きく改善されることが示されており、保護者の方々からも評価されています。 小児のアトピー性皮膚炎は、成長期におけるQOL(生活の質)に大きく影響するため、安全かつ効果的な治療選択肢が増えることは非常に重要です。
コレクチム軟膏の気になる悪い評判と注意点

コレクチム軟膏は多くのメリットを持つ一方で、使用する上で注意すべき点や、一部の患者さんから聞かれる悪い評判も存在します。これらの情報を事前に知っておくことで、より安心して治療に取り組むことができるでしょう。どのような点に気を付けるべきか、具体的に見ていきましょう。
塗布時の刺激感や熱感について
コレクチム軟膏を塗布した際に、一時的にヒリヒリ感、かゆみ、ほてりなどの刺激を感じることがあります。 プロトピック軟膏と比較すると刺激感は少ないとされていますが、全くないわけではありません。 特に、皮膚炎が強い部分や、皮膚のバリア機能が低下している部分では刺激を感じやすい傾向があります。
刺激が強い場合は、医師に相談し、ステロイド外用薬で炎症を抑えてから使用したり、保湿剤を塗ってから重ねて塗るなどの対策が考えられます。
効果を感じるまでの期間と個人差
コレクチム軟膏は、効果が感じられるまでに個人差があります。通常、数日から2週間程度でかゆみや炎症の改善を実感できることが多いとされていますが、すぐに効果が現れない場合もあります。 治療開始から4週間以内に症状の改善が認められない場合は、使用を中止して医師に相談することが推奨されています。 効果を実感するためには、毎日継続して指示された通りに塗ることが非常に重要です。
副作用の種類と発生頻度
コレクチム軟膏の比較的報告の多い副作用としては、塗布した場所にニキビのような赤いブツブツができる「毛包炎」が挙げられます。臨床試験では約3~4%の患者さんに見られました。 その他、まれにヘルペスやカポジ水痘様発疹症などの皮膚感染症が報告されています。 これらの副作用は、薬によって免疫反応が穏やかになることで、皮膚に常在する微生物のバランスが変化することが原因と考えられています。
気になる症状が現れた場合は、速やかに医師や薬剤師に相談することが大切です。
コレクチム軟膏と他のアトピー治療薬との比較

アトピー性皮膚炎の治療薬には、コレクチム軟膏以外にも様々な種類があります。それぞれの薬には特徴があり、患者さんの症状やライフスタイルに合わせて使い分けられます。ここでは、コレクチム軟膏が他の主要な治療薬とどのように異なるのかを比較し、その位置づけを明確にしていきます。
ステロイド外用薬との違い
ステロイド外用薬は、体内で作られる副腎皮質ホルモンを人工的に合成した薬で、広範な免疫抑制作用により炎症を強力かつ迅速に抑える効果があります。 一方、コレクチム軟膏はJAK阻害薬という新しい作用機序で、炎症を引き起こす特定の経路をピンポイントで狙い撃ちします。 ステロイドの長期使用で懸念される皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)や多毛などの副作用がない点が、コレクチム軟膏の大きな利点です。
炎症を抑える効果の強さは、コレクチム軟膏がミディアム(マイルド)クラス~ストロングクラスのステロイド外用薬と同程度とされています。 炎症が強い場合にはまずステロイドで症状を落ち着かせ、その後コレクチム軟膏に切り替えて維持療法を行うのが一般的な進め方です。
プロトピック軟膏との違い
プロトピック軟膏(タクロリムス軟膏)も非ステロイド性の免疫抑制外用薬ですが、コレクチム軟膏とは作用機序が異なります。プロトピック軟膏は、塗布初期にヒリヒリ感や灼熱感といった強い刺激を感じやすいという特徴があります。 これに対し、コレクチム軟膏はプロトピック軟膏でしばしば見られるような強い刺激感が少ないと報告されており、特に顔などのデリケートな部位や刺激に敏感な患者さんにとって使いやすい選択肢となります。
また、プロトピック軟膏は分子量が大きく、正常な皮膚には吸収されにくいという特性がありますが、コレクチム軟膏はJAK阻害薬として炎症の原因に直接作用します。
モイゼルト軟膏との違い
モイゼルト軟膏(ジファミラスト軟膏)もコレクチム軟膏と同様に、比較的新しい非ステロイド性の外用薬です。モイゼルト軟膏はPDE4阻害薬という作用機序を持ち、炎症性サイトカインの産生を抑えることでアトピー性皮膚炎の症状を改善します。コレクチム軟膏がJAK経路を阻害するのに対し、モイゼルト軟膏はPDE4という酵素を阻害することで炎症を抑えるため、作用する経路が異なります。
どちらの薬もステロイドの副作用を避けたい場合や、長期的な維持療法に適していますが、患者さんの症状や体質によって、どちらの薬がより効果的かは医師の判断が必要となります。
コレクチム軟膏の正しい使い方と使用上の注意

コレクチム軟膏の効果を最大限に引き出し、安全に治療を進めるためには、正しい使い方と使用上の注意を理解することが不可欠です。医師や薬剤師の指示に従い、適切に使用することで、アトピー性皮膚炎の症状改善につながります。ここでは、具体的な使い方と注意点について解説します。
適切な塗布量と塗るタイミング
コレクチム軟膏は、通常1日2回、患部に適量を塗布します。 塗布量の目安は、「フィンガーチップユニット(FTU)」という単位で示されます。これは、大人の人差し指の先端から第一関節まで軟膏を絞り出した量で、約0.5gに相当します。この量で、大人の手のひら2枚分の広さに塗るのが適切とされています。 薄く、均一に塗ることで薬剤が皮膚にしっかり届き、効果が期待できます。
1回あたりの塗布量は5gまでとされており、小児(6ヶ月以上2歳未満)の場合は1回2.5gまでが使用経験の範囲です。 医師の指示された回数と量を守り、毎日継続して塗ることが重要です。
使用を避けるべき部位と状況
コレクチム軟膏は、以下の部位や状況では使用を避ける必要があります。
- 粘膜(目や口、鼻の中など)
- 皮膚の傷やただれがある部分
- アトピー性皮膚炎以外の炎症や感染症(とびひ、ヘルペスなど)を起こしている部分
万一、眼に入った場合は、すぐに水で洗い流してください。 また、治療開始から4週間以内に症状の改善が認められない場合は、漫然と長期にわたって使用せず、医師に相談して継続投与の必要性を検討することが大切です。 妊娠中や授乳中の使用については、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用することとされていますので、必ず医師に相談してください。
コレクチム軟膏に関するよくある質問
コレクチム軟膏について、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。これらの疑問を解消することで、コレクチム軟膏への理解を深め、安心して治療に臨むことができるでしょう。
- コレクチム軟膏はステロイドですか?
- コレクチム軟膏はどのくらいの期間で効果が出ますか?
- コレクチム軟膏は顔や子供にも使えますか?
- コレクチム軟膏を塗るとヒリヒリするのはなぜですか?
- コレクチム軟膏の値段はどのくらいですか?
- コレクチム軟膏はどこで処方してもらえますか?
- コレクチム軟膏と保湿剤は併用できますか?
コレクチム軟膏はステロイドですか?
いいえ、コレクチム軟膏はステロイドではありません。 「JAK阻害薬」という全く新しい分類の薬で、ステロイドとは異なる作用機序でアトピー性皮膚炎の炎症やかゆみを抑えます。 ステロイドの長期使用で懸念される皮膚が薄くなるなどの副作用はありません。
コレクチム軟膏はどのくらいの期間で効果が出ますか?
効果を感じるまでの期間には個人差がありますが、通常、数日から2週間程度でかゆみや炎症の改善を実感できることが多いとされています。 しかし、すぐに効果が現れない場合でも、毎日継続して塗ることが重要です。 治療開始から4週間以内に症状の改善が見られない場合は、医師に相談してください。
コレクチム軟膏は顔や子供にも使えますか?
はい、コレクチム軟膏は顔にも使用できます。特に顔や首の湿疹に高い効果が報告されています。 ただし、目や口の粘膜部分に入らないように注意が必要です。 また、生後6ヶ月以上の小児にも使用可能です。 小児には主に0.25%製剤が用いられますが、症状に応じて0.5%製剤を使用することもあります。
コレクチム軟膏を塗るとヒリヒリするのはなぜですか?
コレクチム軟膏を塗った際にヒリヒリ感や熱感を感じることがありますが、これは薬の刺激によるものです。特に皮膚炎が強い部分や、皮膚のバリア機能が低下している部分で感じやすい傾向があります。 プロトピック軟膏に比べると刺激感は少ないとされていますが、気になる場合は医師に相談してください。
コレクチム軟膏の値段はどのくらいですか?
コレクチム軟膏の薬価は、0.5%製剤が1gあたり約139.7円~143円、0.25%製剤が1gあたり約137.6円~141.4円です。 例えば、3割負担の患者さんがコレクチム軟膏0.5%を10g処方された場合、薬剤費のみで約429円となります。 後発医薬品(ジェネリック)はまだありません。
コレクチム軟膏はどこで処方してもらえますか?
コレクチム軟膏は医療用医薬品のため、医師の診察を受け、処方箋に基づいて薬局で受け取ることができます。皮膚科のクリニックなどで相談してみましょう。
コレクチム軟膏と保湿剤は併用できますか?
はい、コレクチム軟膏と保湿剤は併用できます。アトピー性皮膚炎の治療では、薬物療法と並行してスキンケア、特に保湿が非常に重要です。 保湿剤を塗ってからコレクチム軟膏を重ねて塗ることで、刺激感を軽減できる場合もあります。 医師や薬剤師の指示に従って、適切なスキンケアを行いましょう。
まとめ
- コレクチム軟膏は、アトピー性皮膚炎治療のための世界初の外用JAK阻害薬です。
- 炎症やかゆみを引き起こすJAK酵素の働きを阻害し、症状を改善します。
- ステロイド外用薬とは異なる作用機序で、皮膚萎縮などの副作用の心配が少ないです。
- プロトピック軟膏に比べて、塗布時の刺激感が少ないとされています。
- 顔や首などデリケートな部位にも使用しやすく、高い効果が期待できます。
- 生後6ヶ月以上の小児から成人まで、幅広い年齢層で使用可能です。
- 炎症とかゆみへの優れた効果が、多くの患者さんから良い評判を得ています。
- 塗布時に一時的な刺激感や毛包炎などの副作用が報告されています。
- 効果を実感するまでの期間には個人差があり、継続的な使用が重要です。
- 治療開始4週間で改善が見られない場合は、医師に相談が必要です。
- 正しい塗布量(1FTUで手のひら2枚分)とタイミング(1日2回)を守りましょう。
- 粘膜、傷、ただれ、感染症のある部位には使用できません。
- 薬価は0.5%製剤が1gあたり約143円、0.25%製剤が約137.6円です。
- 医療用医薬品のため、医師の処方箋が必要です。
- 保湿剤との併用も可能で、スキンケアと合わせて治療を進めることが大切です。
