古文を学ぶ中で、「いみじく」という言葉に出会い、その多様な意味に戸惑った経験はありませんか?この古語は、文脈によって「素晴らしい」という意味にも、「ひどい」という意味にもなり、時に学習者を悩ませます。しかし、その多義性を理解することは、古文読解の大きな一歩となるでしょう。本記事では、古語「いみじく」の奥深い意味と、文脈から正確に読み解くための具体的な方法を詳しく解説します。
この言葉の持つ魅力を知り、古文の世界をより深く楽しむための助けとなる情報をお届けします。
古語「いみじく」とは?基本的な意味と多義性

古語の「いみじく」は、形容詞「いみじ」の連用形であり、現代語に訳す際に非常に注意が必要な多義語の一つです。その意味は、文脈によって大きく異なり、肯定的な評価から否定的な評価、さらには単なる強調表現まで、幅広いニュアンスを含んでいます。この多様性が、古文読解の面白さでもあり、難しさでもあると言えるでしょう。
まずは、その基本的な意味合いをしっかりと押さえることが大切です。
「いみじく」が持つ意味の幅広さは、当時の人々がこの言葉に込めた感情の豊かさを物語っています。単なる「良い」「悪い」といった二元的な評価だけでなく、「並々ならぬ」「尋常ではない」といった強い感情を表現する際に用いられたと考えられます。この章では、それぞれの意味合いについて具体的に掘り下げていきます。
肯定的な意味合い:「素晴らしい」「立派だ」
「いみじく」が肯定的な意味で使われる場合、現代語の「素晴らしい」「立派だ」「見事だ」といった意味合いに近くなります。例えば、美しい景色や優れた才能、感動的な出来事などを表現する際に用いられることが多く、作者や登場人物の深い感銘や賞賛の気持ちが込められています。この意味での「いみじく」は、古文の中でも比較的理解しやすい部類に入るでしょう。
具体例としては、「いみじく美しき花」であれば「非常に美しい花」、「いみじくめでたきこと」であれば「大変めでたいこと」といった形で使われます。このように、対象が持つ肯定的な側面を強調し、その素晴らしさを際立たせる役割を果たすのです。特に、和歌や物語文学において、情景描写や人物評価の際に頻繁に登場します。
否定的な意味合い:「ひどい」「恐ろしい」
一方で、「いみじく」は否定的な意味で使われることもあり、現代語の「ひどい」「恐ろしい」「大変だ」といった意味になります。これは、悲惨な状況や恐ろしい出来事、あるいは嘆かわしい事態などを表現する際に用いられ、作者や登場人物の深い悲しみや恐怖、あるいは憤りといった負の感情が込められています。
この意味合いは、肯定的な意味と対極にあるため、文脈判断が特に重要となります。
例えば、「いみじく悲しきこと」であれば「ひどく悲しいこと」、「いみじく恐ろしきもの」であれば「大変恐ろしいもの」となります。このように、対象が持つ否定的な側面を強調し、その深刻さや恐ろしさを伝える役割を担います。特に、戦記物や説話文学などで、悲劇的な場面や不吉な予兆を描写する際に効果的に使われることがあります。
強意の副詞としての役割:「非常に」「たいそう」
「いみじく」は、肯定・否定のどちらの意味合いも持たず、単に程度が甚だしいことを表す強意の副詞として使われることもあります。この場合、現代語の「非常に」「たいそう」「たいへん」といった意味に近く、後に続く言葉を強調する役割を果たします。この用法は、感情的な評価を伴わないため、比較的ニュートラルな文脈で用いられることが多いです。
例えば、「いみじく暑し」であれば「非常に暑い」、「いみじく速し」であれば「たいそう速い」といった形で使われます。このように、形容詞や動詞の程度を強めることで、その状態や動作の際立った様子を表現します。この強意の用法は、古文のあらゆるジャンルで見られ、表現に奥行きと力強さを与える重要な要素となっています。
文脈によって意味が大きく変わるため、この強意の副詞としての役割を理解することは、多義語「いみじく」を正確に解釈するための鍵となります。
「いみじ」の活用と「いみじく」の文法的役割

「いみじく」という言葉を深く理解するためには、その元となる形容詞「いみじ」の活用と、連用形である「いみじく」が文中でどのような文法的役割を果たすのかを知ることが不可欠です。古語の形容詞は、現代語とは異なる活用形を持ち、それぞれの形が特定の文法的機能を持っています。この知識があれば、「いみじく」がなぜその文脈でその意味になるのか、より論理的に理解できるようになるでしょう。
特に、連用形は様々な語に接続し、多様な表現を可能にする重要な活用形です。この章では、「いみじ」の活用全体を概観し、その上で「いみじく」が具体的にどのような文法的役割を担っているのかを詳しく解説します。これにより、古文の読解力が一段と高まるはずです。
形容詞「いみじ」の活用表
形容詞「いみじ」は、ク活用と呼ばれる活用パターンに従います。ク活用の形容詞は、終止形が「~し」で終わり、連用形が「~く」となるのが特徴です。以下の表で、「いみじ」の活用形とその主な接続先を確認しましょう。この活用表を覚えることで、「いみじく」以外の活用形もスムーズに理解できるようになります。
| 活用形 | 語形 | 主な接続先・文法的役割 |
|---|---|---|
| 未然形 | いみじから | 「ず」「む」「まし」などの助動詞に接続 |
| 連用形 | いみじく | 動詞・形容詞・副詞に接続し、副詞となる。 |
助動詞「て」「けり」などに接続
この表からもわかるように、「いみじく」は連用形であり、主に動詞や形容詞、副詞に接続して、その語句を修飾する副詞の役割を果たします。また、「て」「けり」といった助動詞に接続することもあります。この文法的役割を理解することが、「いみじく」の多様な意味を読み解く上での基礎となります。
「いみじく」と「いみじき」の違いを理解する
「いみじく」とよく似た形に「いみじき」があります。これらはどちらも形容詞「いみじ」の活用形ですが、文法的役割が全く異なります。「いみじく」が連用形であるのに対し、「いみじき」は連体形です。この違いを明確に理解することは、古文読解において非常に重要です。
「いみじく」は、先述の通り、動詞や形容詞、副詞を修飾する副詞の役割を果たします。例えば、「いみじく泣く」(ひどく泣く)のように、動詞「泣く」を修飾しています。一方、「いみじき」は連体形であり、必ず体言(名詞)に接続してその体言を修飾します。例えば、「いみじき人」(素晴らしい人)のように、名詞「人」を修飾しています。
このように、接続する語の種類によって形が異なるため、文中の「いみじく」と「いみじき」を見分けることで、文の構造を正確に把握できるでしょう。
この二つの形を混同すると、文の意味を取り違えてしまう可能性があります。特に、多義語である「いみじ」の場合、文法的役割の違いが意味の解釈に直結するため、注意深く見極める練習が求められます。
文脈から「いみじく」の意味を見分ける方法
「いみじく」が多義語である以上、その意味を正確に把握するためには、文脈判断が不可欠です。単語の意味だけを丸暗記するのではなく、文章全体の中で「いみじく」がどのような役割を果たしているのかを読み解く力が求められます。これは、古文読解における最も重要なスキルの一つと言えるでしょう。文脈判断のコツを掴めば、古文がより深く、そして面白く感じられるはずです。
この章では、具体的な方法として、前後の文章から感情や状況を読み取る方法、登場人物の心情や作者の意図を推測する方法、そして助動詞や他の語との組み合わせに注目する方法を解説します。これらの方法を実践することで、「いみじく」の真の意味を見抜くことができるようになります。
前後の文章から感情や状況を読み取る
「いみじく」の意味を判断する上で、最も基本的な方法は、その言葉が使われている前後の文章に注目することです。前後の文章には、その時の状況や登場人物の感情が具体的に描写されていることが多く、それが「いみじく」の意味を決定づける重要なヒントとなります。例えば、悲しい出来事の描写が続いている中で「いみじく」が出てくれば、否定的な意味合いである可能性が高いと判断できます。
逆に、美しい景色や喜ばしい出来事が語られている場面であれば、肯定的な意味で使われていると推測できるでしょう。このように、文脈全体を俯瞰し、どのような感情や状況が描かれているのかを把握することが、正確な意味を読み解くための第一歩です。単語一つ一つに囚われず、文章全体の流れを意識することが大切です。
登場人物の心情や作者の意図を推測する
古文では、登場人物の心情や作者の意図が、言葉の選択に大きく影響を与えます。「いみじく」のような感情を強く表す多義語の場合、誰が、どのような気持ちでその言葉を発しているのか、あるいは作者が読者に何を伝えたいのかを推測することが、意味を判断する上で非常に有効です。例えば、身分の高い人物が何かを褒めている場面であれば、肯定的な意味合いが強いと考えることができます。
また、作者が特定の事柄に対して批判的な立場を取っていることが他の記述から読み取れる場合、「いみじく」が否定的な意味で使われている可能性が高まります。登場人物のセリフや行動、あるいは作者の地の文の調子などから、その背後にある心情や意図を深く読み解くことで、「いみじく」の持つニュアンスをより正確に捉えることができるでしょう。
感情移入しながら読むことも、古文読解のコツの一つです。
助動詞や他の語との組み合わせに注目する
「いみじく」は連用形であるため、様々な動詞や形容詞、助動詞に接続します。この接続先の語や、一緒に使われている他の副詞などに注目することで、「いみじく」の意味を絞り込むことができます。例えば、「いみじくあはれなり」(たいそうしみじみと趣がある)のように、肯定的な意味合いを持つ語と組み合わされば、「いみじく」も肯定的な意味で使われていると判断できます。
また、「いみじくこそ~め」(実に~だろう)のように、強意の助動詞「こそ」と結びつくことで、その強調の度合いがさらに強まることもあります。このように、周辺の語句との組み合わせは、「いみじく」が文中でどのような役割を果たしているのか、そしてどのような意味合いを帯びているのかを明らかにする重要な手がかりとなります。
文法的な知識と語彙の知識を組み合わせることで、より精度の高い読解が可能になるでしょう。
有名な古典文学作品に見る「いみじく」の用例

「いみじく」という古語の多義性を理解するためには、実際の古典文学作品における用例に触れることが最も効果的です。テキストの中でどのように使われ、どのような意味合いで読者に伝わっているのかを具体的に知ることで、抽象的な意味の理解から、より実践的な読解力へと繋がります。古くから読み継がれてきた名作には、「いみじく」の多様な表情が凝縮されていると言えるでしょう。
この章では、特に有名な古典文学作品である『枕草子』や『源氏物語』、そしてその他の作品から、「いみじく」が使われている具体的な例文を挙げ、その意味と文脈を詳しく解説します。これらの例文を通して、「いみじく」が持つ奥深さを肌で感じ取ってください。
枕草子における「いみじく」の例
清少納言が著した『枕草子』は、平安時代の宮廷生活や自然の美しさを鮮やかに描いた随筆文学です。この作品の中には、「いみじく」が様々な意味で登場し、清少納言の鋭い感性や豊かな感情を伝えています。
- 「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。いみじくをかし。」
- 「雪のいと高う降りたるを、いみじくあはれと見て、」
この有名な一節では、「いみじく」は「非常に」という強意の副詞として使われ、後に続く「をかし」(趣がある、美しい)を強調しています。夜明けの空の美しさに、清少納言が深く感動している様子が伝わってきます。ここでは、肯定的な感情を伴う強意として機能しています。
この例では、「いみじく」は「たいそう」という強意の意味で、後に続く「あはれ」(しみじみとした趣、感動)を強調しています。雪景色に対する清少納言の繊細な感受性が表現されています。
このように、『枕草子』では、「いみじく」が清少納言の感動や感嘆の気持ちを伝えるために効果的に使われています。文脈から、その場の情景や作者の心情を読み取ることが、正確な理解へと繋がります。
源氏物語における「いみじく」の例
紫式部による『源氏物語』は、平安貴族社会の人間模様を壮大なスケールで描いた物語文学の傑作です。この作品でも、「いみじく」は登場人物の感情や状況を表現するために多用されています。
- 「光源氏、いみじく心苦しと思ひ給へり。」
- 「かの姫君の御ありさま、いみじくめでたし。」
この例では、「いみじく」は「ひどく」「たいそう」という強意の意味で、後に続く「心苦し」(気の毒だ、つらい)を強調しています。光源氏が相手の境遇を深く案じている心情が読み取れます。ここでは、否定的な感情を伴う強意として使われています。
この一節では、「いみじく」は「非常に」という強意の意味で、「めでたし」(素晴らしい、立派だ)を強調しています。姫君の容姿や人柄が大変優れていることを表現しています。ここでは、肯定的な感情を伴う強意として機能しています。
『源氏物語』における「いみじく」は、登場人物の複雑な感情や、物語の展開における重要な局面を表現する際に用いられることが多いです。人物の心理描写に注目することで、その意味合いをより深く理解できるでしょう。
その他の古典作品からの例文
『枕草子』や『源氏物語』以外にも、様々な古典作品で「いみじく」は使われています。いくつかの例を見てみましょう。
- 『徒然草』より:「いみじくをかしきことども多かり。」
- 『平家物語』より:「いみじくもあはれなるかな。」
兼好法師の『徒然草』では、「いみじく」は「非常に」という強意の意味で、「をかしきことども」(趣深いこと、面白いこと)を強調しています。ここでは、肯定的な意味合いで使われています。
軍記物語である『平家物語』では、「いみじく」は「たいそう」という強意の意味で、「あはれなるかな」(しみじみと悲しいことだ)を強調しています。戦乱の世の無常観や悲哀を表現する際に用いられています。ここでは、否定的な感情を伴う強意として機能しています。
これらの例文からも、「いみじく」が作品のジャンルや内容に応じて、多様な意味合いで使われていることがわかります。多くの例文に触れることが、この多義語をマスターするための近道と言えるでしょう。
古語の多義語を効率的に覚えるコツ

「いみじく」のように、一つの言葉が複数の意味を持つ多義語は、古文学習において多くの人がつまずきやすいポイントです。しかし、効率的な覚え方や学習方法を知っていれば、決して克服できない壁ではありません。むしろ、多義語を理解することは、古文の表現の豊かさや奥深さを知る良い機会にもなります。
この章では、古語の多義語を効果的に覚えるための具体的なコツを二つご紹介します。複数の意味を関連付けて覚える方法と、例文を通して実践的に学ぶ重要性です。これらのコツを実践することで、多義語に対する苦手意識を克服し、古文読解の精度を向上させることができるでしょう。
複数の意味を関連付けて覚える方法
多義語を覚える際、それぞれの意味をバラバラに暗記しようとすると、かえって混乱しやすくなります。そこで有効なのが、複数の意味を何らかの形で関連付けて覚える方法です。「いみじ」の場合、「尋常ではない」「程度が甚だしい」という「並々ならぬ」という共通の核があると考えられます。
この「並々ならぬ」という核から、「並々ならぬほど素晴らしい(肯定)」と「並々ならぬほどひどい(否定)」、そして「並々ならぬほど(強意)」というように、意味が派生していったと理解すると、記憶に残りやすくなります。また、それぞれの意味合いが持つ感情の方向性(プラスかマイナスか)を意識することも大切です。意味の広がりを一つのイメージで捉えることで、より効率的に覚えられるでしょう。
さらに、語源や歴史的背景を少し調べてみるのも良い方法です。言葉がどのように変化し、多様な意味を持つようになったのかを知ることで、より深く理解し、忘れにくくなります。単なる暗記ではなく、言葉の背景を理解することが、長期的な記憶に繋がります。
例文を通して実践的に学ぶ重要性
多義語の学習において、最も実践的で効果的な方法の一つが、多くの例文に触れることです。単語帳で意味だけを覚えるよりも、実際の文章の中でその言葉がどのように使われているのかを見ることで、文脈判断の感覚が養われます。例文を通して学ぶことで、それぞれの意味合いがどのような状況で使われるのか、具体的なイメージとして定着しやすくなります。
特に、「いみじく」のような言葉は、文脈によって意味が大きく変わるため、様々な古典作品の例文を読み解くことが重要です。同じ「いみじく」でも、ある場面では「素晴らしい」と訳され、別の場面では「ひどい」と訳される理由を、文脈から自分で判断する練習を繰り返しましょう。辞書で意味を確認するだけでなく、なぜその意味になるのかを考える習慣をつけることが、読解力向上への近道です。
また、自分で例文を作成してみるのも良い練習になります。それぞれの意味合いを使って短い古文を書いてみることで、言葉の使い方がより深く身につきます。アウトプットを取り入れることで、知識が定着しやすくなるでしょう。
よくある質問

古語「いみじく」について、多くの学習者が抱く疑問や、関連する質問をまとめました。これらの質問と回答を通して、さらに理解を深めていきましょう。
- 「いみじ」は現代語で何に当たる言葉ですか?
- なぜ「いみじ」は肯定と否定の両方の意味を持つようになったのですか?
- 「いみじく」と「いと」は同じ意味ですか?
- 古文を学ぶ上で「いみじく」以外に重要な多義語はありますか?
「いみじ」は現代語で何に当たる言葉ですか?
「いみじ」は現代語に直接置き換えられる単一の言葉はありません。その多義性から、文脈に応じて様々な言葉に訳されます。肯定的な意味では「素晴らしい」「立派だ」、否定的な意味では「ひどい」「恐ろしい」、強意の意味では「非常に」「たいそう」などが当てはまります。現代語の「すごい」が、良い意味でも悪い意味でも使われるように、「いみじ」もまた、その場の状況や感情の度合いを強く表す言葉として理解すると良いでしょう。
なぜ「いみじ」は肯定と否定の両方の意味を持つようになったのですか?
「いみじ」が肯定と否定の両方の意味を持つようになった明確な理由は、古語研究の中でも議論される点ですが、一般的には「尋常ではない」「程度が甚だしい」という「並々ならぬ」という強い強調のニュアンスが核にあったためと考えられています。この「並々ならぬ」という状態が、良い方向に向かえば「素晴らしい」、悪い方向に向かえば「ひどい」というように、文脈によって意味が分化していったと推測されます。
現代語の「やばい」が良い意味でも悪い意味でも使われるのと似た現象と捉えることもできます。
「いみじく」と「いと」は同じ意味ですか?
「いみじく」と「いと」は、どちらも強意の副詞として使われることがありますが、完全に同じ意味ではありません。「いと」は「非常に」「たいそう」という意味で、単に程度が甚だしいことを表す、より一般的な強意の副詞です。一方、「いみじく」は「いみじ」という形容詞の連用形であるため、「いと」よりも「尋常ではない」「並々ならぬ」という感情的なニュアンスや、その事柄の重大性を強く含んでいます。
したがって、「いみじく」の方がより強い感情や評価を伴うことが多いと言えるでしょう。
古文を学ぶ上で「いみじく」以外に重要な多義語はありますか?
古文には「いみじく」以外にも多くの重要な多義語が存在します。代表的なものとしては、「をかし」(趣がある、美しい、滑稽だ)、「あはれ」(しみじみとした趣、悲しい、感動的だ)、「かなし」(かわいい、いとしい、悲しい)、「めづらし」(素晴らしい、珍しい)などが挙げられます。これらの多義語も、「いみじく」と同様に、文脈によって意味が大きく変わるため、それぞれの言葉が持つ核となる意味を理解し、多くの例文に触れることが、読解力向上の鍵となります。
まとめ
古語「いみじく」は、その多義性ゆえに古文学習の難所となりがちですが、その奥深さを理解すれば、古文の世界がより豊かに感じられます。本記事で解説した内容を振り返り、この言葉をマスターするためのポイントを再確認しましょう。
- 「いみじく」は形容詞「いみじ」の連用形である。
- 肯定的な意味では「素晴らしい」「立派だ」と訳される。
- 否定的な意味では「ひどい」「恐ろしい」と訳される。
- 強意の副詞として「非常に」「たいそう」の意味も持つ。
- 「尋常ではない」「並々ならぬ」という強い感情が核にある。
- 文脈判断が意味を正確に読み解く上で最も重要である。
- 前後の文章から状況や感情を読み取ることが大切である。
- 登場人物の心情や作者の意図を推測する視点を持つ。
- 接続する助動詞や他の語との組み合わせに注目する。
- 形容詞「いみじ」の活用表を理解することが基礎となる。
- 「いみじく」(連用形)と「いみじき」(連体形)の違いを把握する。
- 『枕草子』や『源氏物語』などの例文に多く触れる。
- 複数の意味を関連付けて覚える工夫をする。
- 例文を通して実践的に学ぶことが定着に繋がる。
- 「いと」よりも感情的なニュアンスが強い言葉である。
