鏡を見るたびに気になる、赤く盛り上がった傷跡「肥厚性瘢痕」。もしかしてアットノンで治るのでは、と期待している方も多いのではないでしょうか。本記事では、肥厚性瘢痕にアットノンが本当に効果があるのか、その正しい使い方や、より良い治療のためのコツを詳しく解説します。
肥厚性瘢痕とは?その特徴とケロイドとの違い

皮膚にできた傷が治る過程で、赤く盛り上がって目立つ傷跡になることがあります。これが肥厚性瘢痕やケロイドと呼ばれる状態です。見た目が似ているため混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。肥厚性瘢痕について正しく理解し、適切なケアを始めるための第一歩を踏み出しましょう。
肥厚性瘢痕の定義と主な症状
肥厚性瘢痕は、傷が治る過程で皮膚を構成する線維細胞が過剰に増殖し、傷跡が赤く盛り上がる状態を指します。主な症状としては、赤み、硬さ、そして盛り上がりが挙げられます。時にかゆみや痛みを伴うこともあります。肥厚性瘢痕は、もとの傷の範囲を超えて広がることはなく、時間とともに色調が薄くなり、盛り上がりも徐々に平らになって柔らかい傷跡へと変化する傾向があります。
適切な治療を行うことで、改善が期待できる点が特徴です。
ケロイドとの決定的な違い
肥厚性瘢痕とケロイドは見た目が似ていますが、その性質には決定的な違いがあります。肥厚性瘢痕がもとの傷の範囲内で盛り上がるのに対し、ケロイドは傷の範囲を超えて正常な皮膚にまで広がる特徴があります。 また、ケロイドは遺伝的な素因が関与することもあり、アレルギー体質の人に多く見られる傾向があります。 ケロイドは肥厚性瘢痕に比べて治療が難しく、再発や悪化が多いとされていますが、治療によって症状の軽減は期待できます。
肥厚性瘢痕ができる主な原因
肥厚性瘢痕ができる原因は多岐にわたります。傷の治りが遅れると、皮膚を作る線維細胞が過剰に産生され、線維の増生によって傷が赤く盛り上がります。 具体的には、感染や異物の存在、物理的な刺激、傷の深さ、皮膚にかかる張力などが局所的な要因として挙げられます。 また、体質、人種、年齢、ホルモンバランスなどの全身的な要因もリスク因子となることがあります。
特に、関節部など皮膚がよく動き、傷跡に緊張がかかりやすい部位にできやすい傾向があります。
アットノンは肥厚性瘢痕に効果があるのか?成分から見る作用

肥厚性瘢痕に悩む多くの方が、市販薬であるアットノンに期待を寄せていることでしょう。しかし、アットノンが肥厚性瘢痕に対してどのような効果をもたらすのか、そのメカニズムを理解することは非常に重要です。ここでは、アットノンの主要成分とその働き、そして肥厚性瘢痕への作用について詳しく見ていきます。
アットノンの主要成分とそれぞれの働き
アットノンEXには、主に3つの有効成分が配合されています。 1つ目は「ヘパリン類似物質」で、これは皮膚科で処方される医療用医薬品のヒルドイドと同じ有効成分です。 ヘパリン類似物質には、血行促進作用、抗炎症作用、そして水分保持作用があり、皮膚の新陳代謝を促し、傷跡の状態を改善する働きがあります。 2つ目は「アラントイン」で、傷ついた皮膚組織の修復を助ける役割を担います。
そして3つ目は「グリチルリチン酸ジカリウム」で、患部の炎症を鎮める効果が期待できます。
肥厚性瘢痕へのアットノンの作用メカニズム
アットノンが肥厚性瘢痕に作用するメカニズムは、主にその有効成分の働きによるものです。ヘパリン類似物質の血行促進作用は、傷跡のターンオーバー(新陳代謝)を早め、正常な皮膚の再生を促します。 また、抗炎症作用によって、傷跡の奥で慢性的に起きている炎症を抑えることで、赤みや盛り上がりの軽減に繋がります。 さらに、水分保持作用により、乾燥しがちな傷跡に潤いと柔軟性を取り戻し、皮膚のつっぱり感を和らげる効果も期待できます。
これらの成分が複合的に作用することで、肥厚性瘢痕の改善を目指します。
アットノンで期待できる効果と限界
アットノンEXは、できてから1~2年以内で、赤みや盛り上がりが残った傷跡に効果が期待できます。 切り傷、やけど、かきむしり跡など、さまざまな傷跡の改善に役立つとされています。 しかし、アットノンには限界もあります。出血が治まっていない傷口には使用できません。 また、2年以上経過した古い傷跡にも使用できますが、効果を実感するまでに時間がかかったり、効果が薄いと感じる場合もあります。
ケロイドのように傷の範囲を超えて広がるタイプの瘢痕に対しては、アットノン単独での治療は難しい場合が多く、専門医の診察が不可欠です。アットノンはあくまで市販薬であり、重度の肥厚性瘢痕やケロイドには医療機関での専門的な治療が必要となることを理解しておくことが大切です。
アットノンの種類と肥厚性瘢痕への選び方

アットノンシリーズには、いくつかの種類があり、それぞれ使用感や特徴が異なります。肥厚性瘢痕の状態や、ご自身のライフスタイルに合わせて最適なタイプを選ぶことが、効果的なケアに繋がります。ここでは、主なアットノンの種類とその選び方について解説します。
クリームタイプとジェルタイプの特徴
アットノンEXには、主にクリームタイプとジェルタイプがあります。 クリームタイプは、しっとりとした使用感が特徴で、べたつきが少なく、塗った後も白くなりにくいという利点があります。 肌に優しい処方のため、皮膚の弱いお子様にもおすすめです。 一方、ジェルタイプは、さらっとした使い心地で、透明な薬剤が特徴です。
塗ってすぐに洋服を着られるため、忙しい方や、べたつきが気になる方に向いています。 どちらのタイプも有効成分は同じですが、使用感の好みや塗布する部位によって使い分けるのが良いでしょう。
コンシーラータイプの上手な活用方法
アットノンシリーズには、傷跡を隠しながらケアできるコンシーラータイプ(アットノンt)も存在します。 このタイプは、肌色のクリームで傷跡を目立たなくする効果があるため、外出時など傷跡が気になる場面で非常に役立ちます。 特に、顔や腕など露出する部位の肥厚性瘢痕に対して、見た目の悩みを軽減しながら治療を続けたい場合に有効です。
ただし、コンシーラータイプも他のアットノンと同様に、傷が完全に治ってから使用することが重要です。メイク感覚で手軽に使えるため、日中のケアに取り入れやすいのが大きな魅力と言えるでしょう。
肥厚性瘢痕にアットノンを効果的に使う方法と注意点

アットノンを肥厚性瘢痕に使う際は、ただ塗るだけでなく、正しい方法と注意点を守ることが大切です。効果を最大限に引き出し、肌トラブルを避けるためにも、以下のポイントをしっかりと押さえておきましょう。
正しい塗布のタイミングと頻度
アットノンは、傷が完全に治りきってから使用を開始することが重要です。かさぶたが取れ、赤く盛り上がった状態になったら使い始めるのが目安です。 出血が残っている状態で使用すると、血液を固まりにくくする働きがあるため、再び出血を招くおそれがあります。 塗布の頻度は、1日1~数回、適量を患部にすりこむか、ガーゼなどにのばして貼るのが正しい使い方です。
毎日継続して使用することで、皮膚の新陳代謝を促し、効果を実感しやすくなります。
使用期間の目安と継続の重要性
アットノンは、肌のターンオーバー(新陳代謝)の周期に合わせて徐々に作用していくため、継続して使用することが大切です。 一般的に、肌のターンオーバーは約28日と言われています。 効果を実感するためには、数ヶ月単位での継続的な使用が推奨されます。小林製薬も毎日使い続けることを推奨しています。 傷跡の状態や個人差によって効果が現れるまでの期間は異なりますが、根気強く続けることが改善へのコツです。
途中で諦めずに、毎日のケアとして習慣化しましょう。
使用上の注意点と副作用への対処
アットノンを使用する際には、いくつかの注意点があります。まず、出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病など)のある方や、わずかな出血でも重大な結果を招く可能性がある方は使用できません。 また、顔面への使用は、製品によっては推奨されていない場合がありますので、必ず添付文書を確認しましょう。 副作用としては、発疹・発赤、かゆみ、はれなどが生じる可能性があります。
もしこれらの症状が現れた場合は、すぐに使用を中止し、薬剤師や医師に相談してください。 特に、かゆみを伴う傷跡には、かゆみ止め成分が配合されたアットノンEXかゆみ止めプラスを選ぶのも一つの方法です。
アットノン以外の肥厚性瘢痕治療法と専門医への相談

アットノンは手軽に試せる市販薬ですが、肥厚性瘢痕の状態によっては、それだけでは十分な効果が得られない場合もあります。より効果的な治療を目指すためには、医療機関での専門的な治療法や、他の市販薬、そして専門医への相談も視野に入れることが重要です。ご自身の傷跡に合った最適な治療法を見つけるための情報を確認しましょう。
医療機関での治療の選択肢
肥厚性瘢痕やケロイドの治療は、形成外科や皮膚科で受けることができます。 医療機関では、症状や体質に応じてさまざまな治療法が提案されます。代表的なものとしては、ステロイド注射が挙げられます。これは、盛り上がった傷跡に直接ステロイドを注入することで、炎症を抑え、盛り上がりを平坦化させる効果が期待できます。
また、ステロイド含有テープの貼付や、抗アレルギー薬の内服(トラニラストなど)も一般的な治療法です。 重症の場合や、他の治療で効果が見られない場合には、レーザー治療や手術が検討されることもあります。 手術は再発のリスクがあるため、術後の放射線治療と併用されることもあります。
他の市販薬やセルフケア用品
アットノン以外にも、肥厚性瘢痕や傷跡ケアに使える市販薬やセルフケア用品は存在します。例えば、ヘパリン類似物質を主成分とする他の製品や、シリコンジェルシート、傷跡ケア専用のテープなどがあります。 シリコンジェルシートやテープは、傷跡を圧迫し、物理的な刺激から保護することで、盛り上がりを抑える効果が期待できます。
これらの製品は、アットノンと併用することで、より効果的なケアを目指せる場合もあります。ただし、複数の製品を併用する際は、薬剤師や医師に相談し、適切な使い方を確認することが大切です。
専門医に相談すべきケース
以下のような場合には、市販薬でのセルフケアに限界があるため、早めに形成外科や皮膚科の専門医に相談することをおすすめします。
- 傷跡が広範囲に及んでいる場合
- 強いかゆみや痛みを伴う場合
- 傷跡が時間の経過とともに悪化している、または拡大している場合(特にケロイドの可能性)
- アットノンを一定期間使用しても効果が見られない場合
- 関節部など、動きによって傷跡がひきつれて生活に支障が出ている場合
- 顔など、目立つ部位の傷跡で悩みが深い場合
専門医は、傷跡の状態を正確に診断し、個々の患者さんに合った最適な治療計画を提案してくれます。早期に相談することで、より良い結果に繋がる可能性が高まります。
肥厚性瘢痕を悪化させないための予防とケア

肥厚性瘢痕は、一度できてしまうと完全に消すのが難しい場合もありますが、適切な予防と日々のケアによって、その発生を抑えたり、悪化を防いだりすることは十分に可能です。傷ができた直後からの対応と、日常生活での継続的なケアが、きれいな肌を目指すための重要なコツとなります。
傷ができた直後の適切な処置
肥厚性瘢痕の予防は、傷ができた直後から始まります。傷口を清潔に保ち、感染を防ぐことが最も重要です。 傷が深く、出血が続く場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。軽度の傷であれば、優しく洗浄し、清潔なガーゼや絆創膏で保護します。傷口が乾燥しないように、ワセリンなどの油膏を薄く塗るのも良い方法です。 また、傷口に過度な張力や摩擦がかからないようにすることも大切です。
特に、関節部など動きの多い部位の傷には、傷跡ケア専用のテープなどを用いて、皮膚の伸展刺激を抑制する工夫が有効です。
日常生活でできる瘢痕ケアのコツ
傷跡が治癒した後も、肥厚性瘢痕の悪化を防ぐためのケアを続けることが大切です。
- 保湿ケア: 傷跡は乾燥しやすく、外部からの刺激に敏感になりがちです。保湿剤をこまめに塗布し、皮膚に潤いと柔軟性を保つようにしましょう。アットノンに含まれるヘパリン類似物質も水分保持作用があります。
- 紫外線対策: 傷跡がなじむまでの期間に紫外線を多く浴びると、色素沈着(シミ)が残りやすくなる可能性があります。 日焼け止めを塗ったり、衣類で覆ったりして、紫外線から傷跡を保護しましょう。
- 物理的刺激の軽減: 衣類との摩擦や、傷跡を引っ張るような動きは、炎症を悪化させ、肥厚性瘢痕の形成を促すことがあります。 締め付けの少ない衣類を選んだり、傷跡に負担がかからないような工夫をしましょう。
- バランスの取れた生活: 睡眠不足やストレス、栄養の偏りなどは、体の回復力を低下させ、傷の治りを遅らせる可能性があります。規則正しい生活を送り、バランスの取れた食事を心がけることも、間接的に瘢痕ケアに繋がります。
これらのケアを継続することで、肥厚性瘢痕の症状を和らげ、目立ちにくい傷跡へと導くことが期待できます。
よくある質問

- アットノンはいつから使い始めるのが良いですか?
- アットノンは顔の肥厚性瘢痕にも使えますか?
- 肥厚性瘢痕は自然に治ることはありますか?
- アットノンを塗るとかゆみを感じることがありますが大丈夫ですか?
- 子供の肥厚性瘢痕にもアットノンは使えますか?
- アットノンはニキビ跡にも効果がありますか?
- 肥厚性瘢痕の治療期間はどのくらいですか?
- アットノンと他の薬を併用しても大丈夫ですか?
アットノンはいつから使い始めるのが良いですか?
アットノンは、傷が完全に治りきってから使い始めるのが良いでしょう。かさぶたが取れて、赤く盛り上がった状態になったら使用を開始する目安です。出血が残っている状態での使用は避けてください。
アットノンは顔の肥厚性瘢痕にも使えますか?
アットノンEXの効能・効果には「顔面を除く」と記載されている製品もありますので、使用前に必ず添付文書を確認してください。顔に使用する場合は、特に肌が敏感な部位なので、慎重に判断し、心配な場合は医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
肥厚性瘢痕は自然に治ることはありますか?
肥厚性瘢痕は、ケロイドとは異なり、時間とともに色調が薄くなり、盛り上がりも徐々に平らになって柔らかい傷跡へと自然に落ち着いていく傾向があります。 しかし、完全に目立たなくなるまでには数年かかることもあり、適切なケアや治療を行うことで、より早く、きれいに治すことが期待できます。
アットノンを塗るとかゆみを感じることがありますが大丈夫ですか?
アットノンEXの副作用として、発疹・発赤、かゆみ、はれなどが生じる可能性があります。 もし、かゆみが強く出るようであれば、すぐに使用を中止し、薬剤師や医師に相談してください。かゆみを伴う傷跡には、かゆみ止め成分が配合されたアットノンEXかゆみ止めプラスを選ぶのも一つの方法です。
子供の肥厚性瘢痕にもアットノンは使えますか?
アットノンEXの有効成分であるヘパリン類似物質には使用年齢の制限はありませんが、子供の皮膚は大人の皮膚より敏感です。目安として生後6ヶ月くらいから、よく様子を見ながら使用することが推奨されています。皮膚の弱いお子様には、より肌に優しいクリームタイプがおすすめです。
アットノンはニキビ跡にも効果がありますか?
アットノンEXの効能・効果には「きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり」とあり、ニキビ跡に特化したものではありません。しかし、口コミの中にはニキビ跡にも効果を感じたという声もあります。 ニキビ跡の種類によっては効果が期待できる可能性もありますが、基本的にはニキビ跡専用の製品を使用するか、皮膚科医に相談するのが確実です。
肥厚性瘢痕の治療期間はどのくらいですか?
肥厚性瘢痕の治療期間は、傷跡の状態や治療法、個人の体質によって大きく異なります。アットノンなどの市販薬を使用する場合、肌のターンオーバーに合わせて数ヶ月単位で継続することが推奨されます。医療機関での治療でも、数ヶ月から年単位で治療を続ける必要がある場合もあります。根気強く治療を続けることが大切です。
アットノンと他の薬を併用しても大丈夫ですか?
アットノンと他の医薬品の併用については、小林製薬のQ&Aでは「他の医薬品と併用してもよいですか?」という質問に対し、具体的な併用不可の医薬品は明記されていません。 しかし、一般的に外用薬の併用は、成分の重複や相互作用のリスクがあるため、自己判断せずに薬剤師や医師に相談することが重要です。特に、血液凝固抑制作用のある薬を服用している場合は注意が必要です。
まとめ
- 肥厚性瘢痕は傷の範囲内で赤く盛り上がる傷跡で、ケロイドとは異なる。
- 肥厚性瘢痕は時間とともに改善する傾向がある。
- アットノンEXにはヘパリン類似物質、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウムが配合されている。
- ヘパリン類似物質は血行促進、抗炎症、水分保持作用がある。
- アットノンは傷跡のターンオーバーを促し、炎症を抑えることで効果を発揮する。
- アットノンは傷が完全に治ってから使用を開始する。
- 1日1~数回、数ヶ月間の継続使用が効果を高めるコツ。
- アットノンにはクリーム、ジェル、コンシーラータイプがある。
- 顔面への使用は製品によって注意が必要な場合がある。
- 副作用として発疹、かゆみ、はれなどが出ることがある。
- 症状が強い場合や改善しない場合は専門医への相談が重要。
- 医療機関ではステロイド注射や内服薬、レーザー治療などがある。
- 傷跡ケア専用テープやシリコンジェルシートも有効なセルフケア用品。
- 傷ができた直後の清潔な処置と物理的刺激の抑制が予防に繋がる。
- 保湿、紫外線対策、摩擦軽減も日常の瘢痕ケアに欠かせない。
- 子供への使用は生後6ヶ月以降を目安に、クリームタイプがおすすめ。
- 他の薬との併用は薬剤師や医師に相談するのが安心。
