不動産を所有していると毎年課税される固定資産税は、いつの分の税金が、いつ頃支払う必要があるのか、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。特に初めて不動産を所有する方にとっては、納税のタイミングや方法が分からず不安に感じることもあるでしょう。
本記事では、固定資産税の基本的な仕組みから、納税通知書が届く時期、具体的な支払い時期と方法、さらには軽減措置やよくある質問まで、固定資産税に関する重要な情報を分かりやすく解説します。この記事を読めば、固定資産税の納税に関する不安を解消し、安心して納税を進めることができるでしょう。
固定資産税とは?基本的な仕組みを理解しよう

固定資産税は、私たちが所有する土地や家屋、償却資産といった固定資産に対して課される地方税です。この税金は、道路や学校などの公共施設の整備、介護・福祉サービスといった、私たちの生活を支える幅広い用途に使われています。毎年1月1日時点の所有者に対して課税されるのが特徴です。
固定資産税の税額は、固定資産の評価額に基づいて計算されます。この評価額は、国が定めた固定資産評価基準に従って市町村が算出し、3年に1度見直しが行われるのが一般的です。 納税通知書は、固定資産が所在する市町村(東京23区内の場合は東京都)から送付されます。
固定資産税の納税義務者
固定資産税を納める義務があるのは、毎年1月1日(賦課期日)時点で、土地や家屋、償却資産の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人です。 たとえば、1月2日以降に不動産を購入した場合、その年の固定資産税は前の所有者に課税され、購入した人が支払いを始めるのは翌年からとなります。 逆に、1月2日以降に不動産を売却した場合でも、売却した年の固定資産税は売主に納税義務が生じます。
このように、固定資産税は賦課期日である1月1日時点の所有者に課税されるため、年の途中で所有者が変わっても、その年の納税義務者は変わりません。
固定資産税の課税対象となる資産
固定資産税の課税対象となる資産は、大きく分けて以下の3種類です。
- 土地:田、畑、宅地、山林、牧場、原野、雑種地など、すべての土地が対象です。
- 家屋:住宅、店舗、工場、倉庫、物置などの建物が該当します。 土地に定着し、独立して風雨をしのぐことができる建物が課税対象となります。
- 償却資産:土地や家屋以外の事業用の資産で、法人税法や所得税法で減価償却の対象となるものが含まれます。具体的には、構築物、機械、車両、器具、備品などが挙げられます。
これらの資産は、それぞれ個別に評価され、税額が算出されます。
固定資産税の計算方法の基本
固定資産税の税額は、以下の計算式で求められます。
固定資産税額 = 固定資産税評価額(課税標準額) × 税率(標準税率1.4%)
固定資産税評価額は、市町村が定めた固定資産評価基準に基づいて算出され、3年に1度見直されます。 土地の場合、住宅地であれば地価公示価格の7割程度が目安とされています。 税率は市町村によって異なりますが、標準税率は1.4%です。 また、都市計画税が固定資産税と合わせて課税される地域もあります。都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てるための税金で、市街化区域内の土地や家屋が対象です。
都市計画税の税率は0.3%が上限とされていますが、自治体によって異なります。
固定資産税は「いつの分」が課税される?課税時期を解説

固定資産税は、毎年「いつの分」の資産に対して課税されるのか、その基準となる時期を理解することは非常に重要です。この課税時期を把握することで、不動産の売買や相続の際に、誰が納税義務を負うのかを明確にできます。
固定資産税は、その年の1月1日時点の状況に基づいて課税されます。この日を「賦課期日」と呼び、この日現在の固定資産の所有者が、その年の固定資産税の納税義務者となります。
賦課期日は毎年1月1日
固定資産税の賦課期日は、法律で毎年1月1日と定められています。 これは、その年の固定資産税の納税義務者を決定する基準日です。例えば、2026年1月1日に土地や家屋を所有している人が、2026年度の固定資産税を支払う義務を負います。 もし1月2日以降に不動産を売買した場合でも、その年の納税義務者は1月1日時点の所有者である売主です。
買主が固定資産税を支払うのは、翌年の1月1日以降に所有者となった場合からとなります。 このため、不動産売買の際には、固定資産税の負担割合について売主と買主の間で取り決めを行うのが一般的です。
納税通知書が届く時期
固定資産税の納税通知書は、一般的に毎年4月から6月頃に市町村から発送されます。 発送時期は自治体によって異なり、例えば東京23区では6月1日に送付されるのに対し、大阪市では4月上旬に送付されるといった違いがあります。 納税通知書が手元に届くまでには、発送から1週間から10日程度かかることもあります。 納税通知書には、年間の税額や各期の納付期限が記載されているため、届いたらすぐに内容を確認することが大切です。
もし納税通知書が届かない場合は、固定資産が所在する市町村の税務担当部署に問い合わせてみましょう。
固定資産税は「いつ」払う?年4回の納期と支払い方法

固定資産税の納税通知書が届いたら、次に気になるのは「いつ」までに支払えば良いのか、そしてどのような「支払い方法」があるのかという点でしょう。固定資産税は、一度に全額を支払うこともできますが、多くの場合、年4回に分けて納めることが可能です。
納税の時期や方法を事前に把握しておくことで、支払い忘れを防ぎ、計画的に納税を進めることができます。ここでは、固定資産税の具体的な納期と、利用できる様々な支払い方法について詳しく見ていきましょう。
固定資産税の年4回の納期
固定資産税は、原則として1年分の税額を4期に分けて納付します。 各期の納付期限は、自治体によって異なりますが、一般的には以下の時期に設定されています。
- 第1期:4月〜6月頃
- 第2期:7月〜9月頃
- 第3期:12月頃
- 第4期:翌年2月頃
具体的な納付期限は、毎年4月から6月頃に送付される納税通知書に記載されていますので、必ず確認しましょう。 また、1年分の税額を第1期の納付期限までに一括で支払うことも可能です。 一括払いによる割引などはありませんが、支払い手続きの手間を一度で済ませたい方には便利な方法です。 ただし、一括払いを選択した場合でも、第1期の納付期限を過ぎると延滞金が発生することがあるため注意が必要です。
固定資産税の主な支払い方法
固定資産税の支払い方法は多岐にわたり、ご自身の都合に合わせて選ぶことができます。主な支払い方法としては、以下のものが挙げられます。
- 窓口での現金払い:納税通知書に同封されている納付書を持参し、市町村の窓口、金融機関、郵便局、コンビニエンスストアで現金で支払う方法です。 事前の手続きが不要で、手数料もかかりません。
- 口座振替:事前に市町村に申し込むことで、指定した預貯金口座から自動的に税金が引き落とされる方法です。 支払い忘れがなく、手間がかからないのがメリットですが、領収書は発行されません。
- クレジットカード:各自治体が用意している「地方税お支払いサイト」やアプリなどを利用して、インターネット経由でクレジットカードで支払うことができます。 ポイント還元が期待できる場合がありますが、決済手数料がかかることが多いので注意が必要です。
- スマートフォン決済アプリ:バーコードやQRコードが記載された納付書であれば、スマートフォン決済アプリを通じて支払いが可能です。 決済手数料がかからない場合が多く、関連サービスのポイントが付与されることもあります。 ただし、領収書は発行されません。
- ペイジー(Pay-easy):インターネットバンキングやATMを利用して、税金を支払うサービスです。 自宅から手軽に支払えるメリットがありますが、領収書は発行されず、ポイント還元もありません。
利用できる支払い方法は自治体によって異なるため、納税通知書や各自治体のウェブサイトで確認することをおすすめします。
納税が遅れた場合のペナルティ
固定資産税を納付期限までに支払わなかった場合、延滞金が発生します。 延滞金は、納付期限の翌日から納付日までの日数に応じて計算され、期限から1ヶ月を過ぎると延滞金の割合が高くなるため注意が必要です。 延滞金の税率は、年度によって変動しますが、例えば令和7年分では、納付期限の翌日から1ヶ月までは年2.4%、1ヶ月経過後は年8.7%となっています。
納税を滞納し続けると、自治体から督促状が送付され、さらに滞納が続くと催告書や差押予告通知書が届きます。 最終的には、財産(預貯金、給与、不動産など)が差し押さえられる可能性もあります。 納税が困難な場合は、滞納する前に自治体の窓口に相談することで、分納や換価の猶予といった対処法を検討してもらえる場合があります。
固定資産税の軽減措置と特例

固定資産税は、不動産を所有する上で大きな負担となる場合がありますが、国や自治体によって様々な軽減措置や特例が設けられています。これらの制度を上手に活用することで、税負担を軽減できる可能性があります。特に住宅用地や新築住宅には、大きな減税効果が期待できる特例があります。ご自身の所有する不動産が対象となるかどうかを確認し、適切な手続きを行うことが大切です。
住宅用地の特例
住宅用地には、固定資産税の課税標準額を大幅に軽減する特例措置があります。これは、居住用の土地の税負担を軽減することを目的としたものです。
- 小規模住宅用地:住宅1戸あたり200平方メートルまでの部分を指し、課税標準額が評価額の6分の1に軽減されます。
- 一般住宅用地:小規模住宅用地以外の部分(200平方メートルを超える部分)を指し、課税標準額が評価額の3分の1に軽減されます。
この特例は、住宅やアパートなど、人が居住する家屋の敷地として利用されている土地に適用されます。 住宅を取り壊して更地にした場合、この特例が適用されなくなり、固定資産税が大幅に上がることがあるため注意が必要です。
新築住宅の軽減措置
新築された住宅には、一定期間、固定資産税が減額される軽減措置があります。これは、住宅の取得を促進するための制度です。
- 一般の新築住宅:新築後3年間、家屋にかかる固定資産税額が2分の1に減額されます。
- 3階建て以上の耐火・準耐火建築物(マンションなど):新築後5年間、家屋にかかる固定資産税額が2分の1に減額されます。
- 認定長期優良住宅:令和8年3月31日までに新築・購入された一定の要件を満たす認定長期優良住宅の場合、一般の新築住宅よりも長い期間(戸建ては5年間、マンションは7年間)、家屋にかかる固定資産税額が2分の1に減額されます。
これらの軽減措置を受けるためには、新築した年の翌年の1月31日までに市町村へ申告が必要な場合があります。 軽減期間が終了すると、固定資産税額が本来の金額に戻るため、急に税額が上がったと感じることがあります。 その他の軽減措置として、省エネ改修や耐震改修を行った住宅に対しても、固定資産税の減額措置が適用される場合があります。
よくある質問

- 固定資産税の納税通知書が届かない場合はどうすればいいですか?
- 土地や家屋を売却した場合、固定資産税はどうなりますか?
- 固定資産税は一括払いと分割払い、どちらがお得ですか?
- 固定資産税の納付書を紛失してしまいました。どうすればいいですか?
- 固定資産税の金額に疑問がある場合、どこに相談すればいいですか?
固定資産税の納税通知書が届かない場合はどうすればいいですか?
固定資産税の納税通知書は、通常毎年4月から6月頃に発送されますが、発送から手元に届くまでには1週間から10日程度かかることがあります。もし発送予定時期を過ぎても届かない場合は、固定資産が所在する市町村の税務担当部署に問い合わせてみましょう。 納税通知書が届かない理由としては、課税標準額が免税点未満である、共有名義の物件である、1月2日以降に土地や家屋を取得した、住所変更の手続きがされていない、といったケースが考えられます。
土地や家屋を売却した場合、固定資産税はどうなりますか?
固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者です。そのため、年の途中で土地や家屋を売却しても、その年の固定資産税は売主に納税義務があります。 売主と買主の間で、固定資産税を月割りなどで按分して負担する慣習がありますが、これは当事者間の取り決めであり、法的な納税義務は1月1日時点の所有者にあります。
不動産売買契約の際に、固定資産税の精算について確認しておくことが大切です。
固定資産税は一括払いと分割払い、どちらがお得ですか?
固定資産税の一括払いと分割払いで、合計の納税額が変わることはありません。 一括払いには割引などの特典は設けられていません。 支払い手続きの手間を一度で済ませたい場合は一括払いが便利ですが、手元にまとまった資金を残しておきたい場合は分割払いを選ぶのが良いでしょう。ご自身の家計状況に合わせて選択してください。
固定資産税の納付書を紛失してしまいました。どうすればいいですか?
固定資産税の納付書を紛失してしまった場合は、固定資産が所在する市町村の税務担当部署に連絡し、再発行を依頼しましょう。自治体によっては、ウェブサイトから再発行の申請ができる場合もあります。納付期限が迫っている場合は、早めに連絡することが大切です。
固定資産税の金額に疑問がある場合、どこに相談すればいいですか?
固定資産税の金額に疑問がある場合や、評価額に不服がある場合は、市町村の固定資産評価審査委員会に不服申し立ての審査を申し出ることができます。 また、まずは市町村の税務担当部署に相談し、詳細な説明を求めることも可能です。 納税通知書の内容に不明な点があれば、遠慮なく問い合わせてみましょう。
まとめ
- 固定資産税は、毎年1月1日時点の固定資産所有者に課税される地方税です。
- 納税通知書は、毎年4月から6月頃に市町村から発送されます。
- 固定資産税は、年4回に分けて納付するのが一般的です。
- 各期の納付期限は、納税通知書に記載されています。
- 窓口での現金払い、口座振替、クレジットカード、スマホ決済、ペイジーなど多様な支払い方法があります。
- 納税が遅れると延滞金が発生し、最悪の場合財産が差し押さえられる可能性があります。
- 住宅用地には、課税標準額が6分の1または3分の1に軽減される特例があります。
- 新築住宅は、一定期間(3年間または5年間)、固定資産税が2分の1に減額されます。
- 認定長期優良住宅は、さらに長い期間の軽減措置が適用されます。
- 納税通知書が届かない場合や、金額に疑問がある場合は、市町村の税務担当部署に相談しましょう。
- 不動産を売却しても、その年の固定資産税は1月1日時点の所有者(売主)に納税義務があります。
- 一括払いと分割払いで納税額に差はありません。
- 支払い方法によっては手数料がかかる場合があるため、事前に確認が必要です。
- 延滞金は納付期限の翌日から発生し、日数が経つほど税率が高まります。
- 納税が困難な場合は、自治体に相談することで分納などの対応を検討してもらえます。
