咳が止まらない、痛みがつらいといった症状に悩まされているとき、医師から「コデインリン酸塩散」を処方された経験がある方もいらっしゃるかもしれません。この薬は、強力な鎮咳作用と鎮痛作用を持つ医療用医薬品です。しかし、その効果の高さゆえに、副作用や服用上の注意点も存在します。
本記事では、コデインリン酸塩散の効き目や作用時間、考えられる副作用、そして安全に服用するための正しい使い方について詳しく解説します。この薬について深く理解し、安心して治療を進めるための一助となれば幸いです。
コデインリン酸塩とはどんな薬?その基本的な情報

コデインリン酸塩散は、主に咳や痛みを和らげるために用いられる医療用医薬品です。その歴史は古く、1832年にモルヒネの製造過程で発見された成分であり、日本では1978年から使用されています。現在も多くの医療現場で、その効果が評価され続けている薬の一つです。
コデインリン酸塩散の効能と効果
コデインリン酸塩散は、主に以下の3つの症状に対して効果を発揮します。
- 各種呼吸器疾患における鎮咳・鎮静(咳止め)
- 疼痛時における鎮痛(痛み止め)
- 激しい下痢症状の改善(下痢止め)
特に、しつこい咳や、他の鎮痛剤では効果が不十分な中等度から重度の痛みに処方されることがあります。また、腸の動きを抑えることで、激しい下痢を改善する作用も持ち合わせています。
コデインリン酸塩散の作用機序
コデインリン酸塩散は、脳の中枢神経に作用することで効果を発揮する麻薬性鎮咳鎮痛剤です。具体的には、脳の「咳中枢」に直接作用し、咳反射を抑制することで咳を鎮めます。 また、体内で一部がモルヒネに代謝され、オピオイド受容体に結合することで痛みの伝達を抑制し、痛みの感じ方を和らげる鎮痛作用を示します。 さらに、腸管のぜん動運動を抑制することで、下痢を抑える効果も期待できます。
コデインリン酸塩の効き目を詳しく知る

コデインリン酸塩散を服用する際、多くの方が気になるのは「どれくらいで効き始めるのか」「効果はどれくらい続くのか」といった点でしょう。この薬の効き目について、さらに詳しく見ていきましょう。
コデインリン酸塩はどれくらいで効き始める?効果発現時間
コデインリン酸塩散は、一般的に服用後30分から1時間程度で効果が現れ始めるとされています。 これは、薬が体内に吸収され、脳の咳中枢や痛みの伝達経路に作用し始めるまでに必要な時間です。散剤(粉薬)であるため、錠剤に比べて比較的早く吸収されやすい傾向にあります。 ただし、効果の現れ方には個人差があり、体質や症状、服用するタイミング(食前・食後など)によっても多少変動することがあります。
コデインリン酸塩の効果はどれくらい持続する?
コデインリン酸塩散の効果は、通常4〜6時間程度持続すると言われています。 効果のピークは服用後およそ1〜2時間で、その後徐々に効果が薄れていきます。 この持続時間を考慮して、医師は1日の服用回数や服用間隔を指示します。効果が切れる前に次の服用時間を迎えることで、症状を安定してコントロールすることが可能です。
もし効果の持続が短いと感じる場合は、自己判断で服用量を増やしたりせず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
コデインリン酸塩が特に効果を発揮する症状
コデインリン酸塩散は、その強力な作用から、特に以下のような症状に効果を発揮します。
- 激しい咳やしつこい咳: 他の咳止めでは効果が不十分な、つらい咳を鎮めるのに役立ちます。 脳の咳中枢に直接作用するため、咳の回数を減らし、患者さんの負担を軽減します。
- 中等度から重度の痛み: オピオイド受容体に作用することで、他の一般的な鎮痛剤では抑えきれないような痛みを和らげます。 特に、がんによる痛みなど、慢性的な痛みの管理に用いられることもあります。
- 激しい下痢: 腸のぜん動運動を抑制することで、水様便や頻回な排便を伴う激しい下痢の症状を改善します。
これらの症状でお困りの方は、医師と相談し、コデインリン酸塩散の服用を検討するのも一つの方法です。
コデインリン酸塩の副作用と注意すべき点

コデインリン酸塩散は強力な効果を持つ一方で、いくつかの副作用や服用上の注意点があります。安全に薬を使用するためには、これらの情報を理解しておくことが大切です。
コデインリン酸塩の主な副作用
コデインリン酸塩散の主な副作用としては、以下のようなものが報告されています。
- 眠気やめまい: 中枢神経に作用するため、眠気やめまいが起こりやすくなります。 服用中は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作は避けるようにしてください。
- 便秘: 腸のぜん動運動を抑制する作用があるため、便秘になりやすい傾向があります。
- 吐き気・嘔吐: 消化器系の副作用として、吐き気や嘔吐が起こることがあります。
- 呼吸抑制: 重大な副作用として、呼吸が浅くなったり、呼吸回数が減少したりする呼吸抑制が起こる可能性があります。 特に、過量に服用した場合や、他の鎮静作用のある薬と併用した場合にリスクが高まります。
これらの症状に気づいた場合は、すぐに医師や薬剤師に相談することが重要です。特に呼吸抑制は命に関わる可能性もあるため、注意が必要です。
コデインリン酸塩の依存性とそのリスク
コデインリン酸塩散は、モルヒネと同じオピオイド系の薬であるため、連用により薬物依存を生じることがあります。 依存性には、精神依存と身体依存があり、長期にわたって服用を急に中止すると、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、不眠、不安などの退薬症候(離脱症状)が現れることがあります。 このため、服用を中止する際には、医師の指示に従い、徐々に減量するなど慎重に進めることが大切です。
医師の指示された用法・用量を守り、自己判断で服用量を増やしたり、長期にわたって服用したりしないようにしましょう。
コデインリン酸塩を服用する際の注意点
コデインリン酸塩散を服用する際には、いくつかの注意点があります。
- アルコールとの併用: アルコールと一緒に服用すると、薬の作用が強まり、呼吸抑制、低血圧、顕著な鎮静または昏睡が起こる可能性があります。 服用中は飲酒を避けてください。
- 他の薬との相互作用: 他の中枢神経抑制剤(睡眠薬、抗不安薬など)や、一部の抗うつ剤、抗凝血剤などと併用すると、相互作用により副作用が強まることがあります。 現在服用しているすべての薬を医師や薬剤師に伝えましょう。
- 運転や危険な作業: 眠気やめまいが起こることがあるため、服用中は自動車の運転や、危険を伴う機械の操作は避けてください。
- 高齢者への投与: 高齢者は生理機能が低下していることが多く、特に呼吸抑制の感受性が高いため、低用量から開始するなど慎重な投与が必要です。
これらの注意点を守ることで、より安全にコデインリン酸塩散を服用できます。
コデインリン酸塩の服用が禁忌となるケース
以下に該当する方は、コデインリン酸塩散を服用してはいけません。
- 重篤な呼吸抑制のある患者
- 気管支喘息発作中の患者
- 重篤な肝機能障害のある患者
- 慢性肺疾患に続発する心不全の患者
- 痙攣状態(てんかん重積症、破傷風など)にある患者
- 急性アルコール中毒の患者
- アヘンアルカロイドに対し過敏症の既往歴がある患者
- 出血性大腸炎の患者(腸管出血性大腸菌O157等や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者)
- 12歳未満の小児
- 扁桃摘除術後またはアデノイド切除術後の鎮痛目的で服用する18歳未満の患者
これらの禁忌事項は、重篤な副作用を引き起こすリスクがあるため、必ず医師や薬剤師に自身の状態を正確に伝えるようにしてください。
コデインリン酸塩の正しい飲み方と用量

コデインリン酸塩散は、医師の指示に従って正しく服用することが、効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるための重要なコツです。
コデインリン酸塩の一般的な服用方法
コデインリン酸塩散の一般的な服用方法は、以下の通りです。
- 用量: 通常、成人にはコデインリン酸塩水和物として、1回20mg(散剤1%の場合2g)、1日60mg(散剤1%の場合6g)を経口投与します。
- 服用回数: 1日3回服用することが多いです。
- 服用タイミング: 食事の前後など、服用するタイミングは医師の指示に従ってください。
- 服用方法: 散剤は、水に溶かして服用するか、そのまま水で飲み込むようにしてください。
年齢や症状によって適宜増減されるため、必ず医師の指示された用量と服用方法を守りましょう。
コデインリン酸塩の服用量を守る重要性
コデインリン酸塩散の服用量を守ることは、非常に重要です。自己判断で服用量を増やしたり、服用回数を増やしたりすると、呼吸抑制や薬物依存などの重篤な副作用のリスクが高まります。 また、飲み忘れた場合は、気がついた時点で1回分を服用し、次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分は飛ばして次の時間に1回分を服用してください。
決して2回分を一度に飲まないように注意しましょう。 薬の効果が不十分だと感じる場合や、症状が悪化した場合は、必ず医師や薬剤師に相談し、指示を仰ぐようにしてください。
コデインリン酸塩に関するよくある質問

- コデインリン酸塩は咳に効きますか?
- コデインリン酸塩は眠くなりますか?
- コデインリン酸塩は痛み止めになりますか?
- コデインリン酸塩は依存性がありますか?
- コデインリン酸塩は子供に服用させても大丈夫ですか?
- コデインリン酸塩と市販薬の違いは何ですか?
- コデインリン酸塩を授乳中に服用しても良いですか?
コデインリン酸塩は咳に効きますか?
はい、コデインリン酸塩は咳に非常に効果的です。 脳の延髄にある咳中枢に直接作用し、咳反射を抑制することで、しつこい咳や激しい咳を鎮めます。 特に、他の咳止めでは効果が不十分な場合に処方されることが多いです。
コデインリン酸塩は眠くなりますか?
はい、コデインリン酸塩は眠気やめまいを引き起こすことがあります。 これは、薬が中枢神経に作用するためです。服用中は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作は避けるようにしてください。
コデインリン酸塩は痛み止めになりますか?
はい、コデインリン酸塩は痛み止めとしても効果を発揮します。 体内で一部がモルヒネに代謝され、オピオイド受容体に作用することで、痛みの伝達を抑制し、痛みを和らげる鎮痛作用を示します。 軽度から中等度の痛みに用いられることがあります。
コデインリン酸塩は依存性がありますか?
はい、コデインリン酸塩は連用により薬物依存を生じることがあります。 医師の指示された用法・用量を厳守し、自己判断での増量や長期服用は避けてください。服用を中止する際は、医師の指導のもと、徐々に減量していくことが大切です。
コデインリン酸塩は子供に服用させても大丈夫ですか?
12歳未満の小児には、コデインリン酸塩を投与してはいけません。 小児は呼吸抑制の感受性が高く、重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがあるためです。 また、扁桃摘除術後またはアデノイド切除術後の鎮痛目的で服用する18歳未満の患者も禁忌とされています。
コデインリン酸塩と市販薬の違いは何ですか?
コデインリン酸塩は医療用医薬品であり、医師の処方箋がなければ入手できません。一方、市販の咳止め薬の中にも、コデインリン酸塩水和物やジヒドロコデインリン酸塩といったコデイン系の成分が含まれているものがあります。 市販薬に含まれるコデインの量は医療用医薬品よりも少なく設定されており、麻薬としての規制は受けませんが、用法・用量を守らないと依存性などのリスクは存在します。
より強力な効果や、特定の症状への対応が必要な場合は、医療用医薬品であるコデインリン酸塩が処方されます。
コデインリン酸塩を授乳中に服用しても良いですか?
コデインリン酸塩を服用中は、授乳を避けるべきです。 コデインの代謝物であるモルヒネが母乳へ移行し、乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難など)が生じたとの報告があります。 薬が体から完全になくなるまでには、通常20〜30時間かかると言われています。 授乳中の方は、必ず医師や薬剤師に相談し、指示に従ってください。
まとめ
- コデインリン酸塩散は、咳止め、痛み止め、下痢止めの効果を持つ医療用医薬品です。
- 脳の中枢神経に作用し、咳中枢抑制や痛みの伝達抑制で効果を発揮します。
- 服用後30分~1時間で効き始め、効果は4~6時間持続します。
- 主な副作用は眠気、めまい、便秘、吐き気・嘔吐です。
- 重篤な副作用として呼吸抑制や薬物依存のリスクがあります。
- 服用中は自動車の運転や危険な機械の操作は避けてください。
- アルコールとの併用は呼吸抑制などを強めるため禁忌です。
- 他の薬との相互作用にも注意が必要です。
- 12歳未満の小児には投与できません。
- 授乳中の服用は避け、医師に相談してください。
- 医師の指示された用法・用量を厳守することが大切です。
- 自己判断での増量や中止は危険です。
- 症状改善が見られない場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
- 散剤は比較的早く吸収され、効果発現も速いのが特徴です。
- 高齢者は呼吸抑制の感受性が高いため慎重な投与が必要です。
- 特定の疾患を持つ患者は服用が禁忌となる場合があります。
