甘酸っぱいブルーベリーは家庭菜園でも人気の果樹ですが、大切に育てていると、いつの間にか葉っぱが食べられていたり、気持ち悪い毛虫がついていたりして驚くことがあります。特に毛虫の中には、触れると痛みやかゆみを引き起こす種類もいるため、適切な知識と対策が欠かせません。本記事では、ブルーベリーを食害する主な毛虫の種類から、安全で効果的な駆除方法、そして発生を未然に防ぐための予防策まで、詳しく解説します。
あなたのブルーベリーを毛虫の被害から守り、豊かな収穫を楽しむための参考にしてください。
ブルーベリーにつく主な毛虫の種類と見分け方

ブルーベリーの木に毛虫を見つけたら、まずはその種類を特定することが大切です。種類によって被害の出方や対策方法が異なるため、特徴を知っておくと冷静に対処できます。ここでは、ブルーベリーによく見られる毛虫の種類と、それぞれの見分け方、そして被害のサインについてご紹介します。
ブルーベリーの葉を食べる代表的な毛虫たち
ブルーベリーの葉を食害する毛虫にはいくつかの種類がありますが、特に注意したいのは以下の毛虫たちです。
- イラガ(刺されると激痛): 「デンキムシ」とも呼ばれ、触れると電気が走るような激しい痛みとかゆみを伴う毒針毛を持つ毛虫です。体色は黄緑色で、トゲトゲした突起が特徴的です。幼い頃は葉の裏に集団で生息し、成長すると分散します。葉をレース状に食害することが多く、収穫期に誤って触れてしまうと大変危険です。繭は樹の枝に付着していることが多く、冬の間に見つけて除去することが翌年の発生を減らすコツとなります。
- ハマキムシ(葉を巻いて隠れる): 葉を糸で綴って筒状に巻き、その中に隠れて葉を食害する毛虫です。体色は緑色や褐色で、比較的小さな種類が多いです。葉が不自然に巻かれていたり、綴じられていたりするのを見つけたら、中にハマキムシが潜んでいる可能性が高いでしょう。若木の場合、食害が進むと生育に大きな影響を与えることがあります。
- シャクトリムシ(尺を測るように動く): 体を伸ばしたり縮めたりしながら、尺を測るように移動する姿が特徴的な毛虫です。体色は緑色や褐色で、枝に擬態していることもあります。葉を食害し、食害跡とともに糸やフンが見られることがあります。
- ミノムシ(蓑をまとって葉を食べる): 自分の分泌物と小枝や葉の破片でできた蓑(みの)をまとって生活する毛虫です。蓑の中に隠れて葉を食害します。蓑は樹の枝にぶら下がっていることが多く、見つけたら取り除く必要があります。
これらの毛虫は、主に春から秋にかけて活動が活発になります。特にイラガは夏から秋にかけて発生のピークを迎えることが多いです。
被害のサインと早期発見のコツ
毛虫の被害を最小限に抑えるためには、早期発見が非常に重要です。以下のサインに注意して、定期的にブルーベリーの木を観察しましょう。
- 葉の食害跡: 葉に穴が開いている、葉の縁が食べられている、葉がレース状になっている、といった食害跡は毛虫がいる可能性が高いサインです。特にイラガは集団で葉をレース状に食べることがあります。
- 不自然に巻かれた葉や綴じられた葉: ハマキムシは葉を巻いて隠れるため、このような葉を見つけたら注意が必要です。
- フンや糸: 葉の裏や枝に小さな黒い粒状のフンが落ちていたり、細い糸が張られていたりする場合も、毛虫の存在を示唆しています。シャクトリムシの食害跡には糸が見られることがあります。
- 繭(まゆ)の存在: イラガは枝に特徴的な繭を作って越冬します。冬の剪定時に繭を見つけたら、翌年の発生源となるため除去することが大切です。
これらのサインを見逃さないためには、週に一度はブルーベリーの葉の表裏、枝、株元などをじっくりと観察する習慣をつけることがおすすめです。特に新芽や若葉は毛虫に狙われやすいため、入念にチェックしましょう。
ブルーベリーの毛虫を安全に駆除する方法

ブルーベリーについた毛虫を見つけたら、早めに駆除することが肝心です。ここでは、手作業での駆除から、農薬を使わない自然な方法、そして農薬を使用する場合の注意点まで、安全に毛虫を駆除するための方法を解説します。
手作業で確実に駆除するコツ
毛虫の数が少ない場合や、農薬を使いたくない場合には、手作業での駆除が最も確実で安全な方法です。ただし、イラガのように毒針を持つ毛虫もいるため、注意が必要です。
- 保護具の着用: イラガなど毒針を持つ毛虫を駆除する際は、必ず厚手のゴム手袋や軍手、長袖の服を着用し、肌の露出を避けてください。
- 葉ごと切り取る: 毛虫が葉にまとまって付いている場合は、その葉ごとハサミで切り取って処分するのが効果的です。特にイラガの幼虫は、孵化してしばらくは集団で行動するため、この方法で大幅に数を減らせます。
- 捕殺: 葉から離れた毛虫や、単独でいる毛虫は、ピンセットや割り箸などでつまんで捕殺します。捕殺した毛虫は、ビニール袋に入れて口をしっかり縛って捨てるか、熱湯をかけて処分すると良いでしょう。イラガの毒針は死んでも効果を発揮することがあるため、燃やすなどの方法も検討できます。
- 水の勢いで洗い流す: アブラムシなど小さな害虫に有効な方法ですが、毛虫にもある程度の効果が期待できます。ホースの水を強めに噴射して、葉の裏などに付着している毛虫を洗い流します。
手作業での駆除は、根気が必要ですが、ブルーベリーの木への負担が少なく、収穫前の果実にも安心して行える方法です。定期的な観察と早期発見が、この方法を成功させる鍵となります。
農薬を使わない自然な駆除方法
家庭菜園でブルーベリーを育てている方の中には、できるだけ農薬を使いたくないと考える方も多いでしょう。ここでは、環境に優しく、安全に毛虫を駆除できる自然な方法をご紹介します。
- 石鹸水スプレー: 台所用中性洗剤を水で薄めた溶液(水1リットルに対して洗剤2~3滴程度)を、毛虫やその周辺の葉にスプレーします。石鹸成分が毛虫の呼吸器を塞ぎ、窒息させる効果があります。葉の裏側にもしっかりと吹きかけることが大切です。
- 木酢液・竹酢液: 木酢液や竹酢液を希釈して散布すると、その独特の匂いが毛虫を寄せ付けにくくする忌避効果や、植物の抵抗力を高める効果が期待できます。使用する際は、製品に記載された希釈倍率を必ず守りましょう。
- ニーム油スプレー: ニーム油は、インド原産のニームの木から抽出される天然成分で、害虫の食欲を減退させたり、成長を阻害したりする効果があります。有機栽培でも使用が認められているため、安心して使えます。こちらも希釈して葉に散布します。
これらの自然な駆除方法は、即効性には欠ける場合がありますが、継続して行うことで効果を発揮します。特に、毛虫の発生初期や数が少ない段階で試してみるのがおすすめです。
農薬を使用する場合の選び方と注意点
毛虫の被害が広範囲に及んでいる場合や、手作業での駆除が難しい場合は、農薬の使用も検討する必要があります。ただし、ブルーベリーに使用できる農薬は限られているため、適切なものを選び、正しく使用することが重要です。
- ブルーベリーに登録のある農薬を選ぶ: 農薬を選ぶ際は、必ず「ブルーベリー」に登録があり、「毛虫類」や「イラガ類」に効果があると明記されている製品を選びましょう。登録のない農薬を使用すると、薬害が出たり、残留農薬の問題が生じたりする可能性があります。
- 使用時期と回数を守る: 農薬にはそれぞれ使用できる時期(収穫前日数など)や使用回数が定められています。これらを厳守しないと、収穫した果実に農薬が残留したり、効果が十分に発揮されなかったりすることがあります。
- 希釈倍率を守る: 濃すぎると薬害を、薄すぎると効果が期待できないため、製品に記載された希釈倍率を正確に守って使用してください。
- 散布時の注意: 風のない穏やかな日に、周囲に人がいないことを確認して散布しましょう。また、マスクや手袋、保護メガネなどの保護具を着用し、吸い込んだり皮膚に付着したりしないように注意が必要です。散布後は、使用した器具をきれいに洗浄しましょう。
農薬は効果が高い反面、使用方法を誤ると人や環境に悪影響を与える可能性があります。必ず製品の注意書きをよく読み、正しく安全に使用することを心がけてください。特に住宅地での農薬散布は、近隣への配慮も忘れてはなりません。
大切なブルーベリーを毛虫から守る予防策

毛虫の被害に遭ってから駆除するよりも、事前に予防策を講じておくことが、健康なブルーベリーを育てる上で最も効果的です。ここでは、栽培環境の整備から、自然の力を借りた方法、物理的な防御まで、様々な予防策をご紹介します。
栽培環境を整えて毛虫を寄せ付けない
ブルーベリーが健康に育つ環境は、害虫にとっても住みにくい環境であることが多いです。日頃の手入れで、毛虫が寄り付きにくい環境を作りましょう。
- 適切な剪定: 風通しや日当たりが悪いと、湿気がこもりやすくなり、害虫が発生しやすい環境になります。定期的に剪定を行い、株の内側まで光が届き、風が通るようにすることで、毛虫の発生を抑制できます。
- 株元の清潔維持: 落ち葉や雑草が株元に堆積していると、害虫の隠れ家になったり、卵を産み付ける場所になったりします。株元は常に清潔に保ち、雑草はこまめに除去しましょう。
- 土壌の管理: コガネムシの幼虫(根を食害するイモムシ)は土中に生息するため、土壌の管理も重要です。ブルーベリーは酸性土壌を好むため、適切なpH(ペーハー)を保つことが健康な生育につながり、結果的に害虫への抵抗力も高まります。
これらの栽培環境の整備は、毛虫だけでなく、他の病害虫の予防にもつながります。日々の観察と手入れを丁寧に行うことが、ブルーベリーを健やかに保つための大切な要素です。
天敵を活用した生物的防除
自然界には、毛虫を捕食してくれる「天敵」となる虫たちが存在します。これらの益虫を庭に呼び込むことで、農薬を使わずに毛虫の数を減らすことができます。
- テントウムシ: アブラムシの天敵として有名ですが、一部の毛虫の卵や幼虫も捕食することがあります。
- カマキリ: 肉食性の昆虫で、イラガの幼虫など様々な害虫を捕食してくれます。カマキリの卵を見つけたら、大切に保護しましょう。
- クサカゲロウ: 幼虫がアブラムシや小さな毛虫などを捕食します。
- 鳥類: スズメやヒヨドリなどの鳥も、毛虫を捕食してくれることがあります。鳥が寄り付きやすい環境を作ることも、一つの方法です。
天敵を呼び込むためには、庭に多様な植物を植えたり、益虫が隠れやすい場所(枯れ草の山など)を作ったりすることが有効です。ただし、天敵だけに頼り切るのではなく、他の予防策と組み合わせることが成功するための方法です。
防虫ネットやマルチングで物理的に守る
物理的なバリアを設けることで、毛虫がブルーベリーに近づくのを防ぐことができます。特に、特定の時期に集中して発生する毛虫には効果的です。
- 防虫ネットの設置: ブルーベリーの株全体を細かい目の防虫ネットで覆うことで、成虫が卵を産み付けに来るのを防ぎます。特に、毛虫の発生時期に合わせて設置すると効果的です。ネットの裾はしっかりと地面に固定し、隙間から虫が侵入しないように注意しましょう。
- マルチング材の利用: 株元にバークチップやウッドチップなどのマルチング材を敷き詰めることで、コガネムシの成虫が土中に卵を産み付けるのを防ぐ効果が期待できます。また、土壌の乾燥を防ぎ、地温を安定させる効果もあります。
防虫ネットは、特に収穫期に農薬を使いたくない場合に有効な手段です。マルチングは、土壌の健康を保ちつつ、害虫対策にもなる一石二鳥の予防策と言えるでしょう。これらの物理的な対策は、毛虫の侵入を効果的に防ぐ助けとなります。
よくある質問

- 毛虫がブルーベリーに与える影響はどんなものですか?
- 駆除した毛虫はどのように処理すれば良いですか?
- ブルーベリーの葉を食べた毛虫は毒がありますか?
- 毛虫とイモムシの違いは何ですか?
- ブルーベリーの毛虫はいつ頃発生しますか?
毛虫がブルーベリーに与える影響はどんなものですか?
毛虫がブルーベリーに与える影響は、主に葉の食害によるものです。葉が食べられると、光合成能力が低下し、木の成長が阻害されたり、果実の品質や収穫量が減少したりする可能性があります。特に若木や、被害が広範囲に及ぶ場合は、樹勢が著しく低下し、最悪の場合枯れてしまうこともあります。また、イラガのように毒針を持つ毛虫は、収穫作業中に刺されるなど、人への被害も引き起こします。
駆除した毛虫はどのように処理すれば良いですか?
駆除した毛虫は、ビニール袋に入れてしっかりと口を縛り、可燃ごみとして処分するのが一般的です。イラガなど毒針を持つ毛虫の場合は、死んだ後も毒針が残っている可能性があるため、素手で触らないように注意し、熱湯をかけるか、燃やすなどの方法で完全に無力化してから処分することを検討してください。
ブルーベリーの葉を食べた毛虫は毒がありますか?
ブルーベリーの葉を食べる毛虫の中には、イラガのように毒針を持つ種類がいます。これらの毛虫に触れると、激しい痛みやかゆみを伴う皮膚炎を引き起こすことがあります。しかし、毛虫がブルーベリーの葉を食べたからといって、そのブルーベリーの果実に毒性が移ることはありません。果実は安全に食べられますが、収穫時に毛虫が付着していないか、よく確認することが大切です。
毛虫とイモムシの違いは何ですか?
「毛虫」と「イモムシ」は、どちらもチョウやガの幼虫を指す言葉ですが、見た目の特徴で区別されることが多いです。一般的に、体に毛が生えているものを「毛虫」、毛が少なくツルツルしているものを「イモムシ」と呼びます。例えば、イラガは毛虫、アゲハチョウの幼虫はイモムシに分類されます。ブルーベリーの根を食害するコガネムシの幼虫は、毛が少なく白い体をしているため、イモムシに分類されます。
ブルーベリーの毛虫はいつ頃発生しますか?
ブルーベリーにつく毛虫の発生時期は種類によって異なりますが、一般的には春から秋にかけて活動が活発になります。特に、新芽が出始める春先から、葉が茂る夏にかけて発生が多く見られます。イラガは7月頃から9月頃にかけて発生のピークを迎えることが多く、年2回発生することもあります。多くの毛虫は、卵で越冬したり、繭を作って越冬したりするため、冬の間に越冬場所を除去する予防策も有効です。
まとめ
- ブルーベリーにはイラガ、ハマキムシ、シャクトリムシ、ミノムシなどの毛虫がつく。
- イラガは毒針を持ち、触れると激しい痛みやかゆみを伴う。
- 毛虫の被害は葉の食害が主で、成長阻害や収穫量減少につながる。
- 葉の食害跡、巻かれた葉、フン、繭などが被害のサイン。
- 早期発見のため、定期的な観察が重要。
- 手作業での駆除は、保護具を着用し、葉ごと切り取るか捕殺する。
- 農薬を使わない駆除方法として、石鹸水、木酢液、ニーム油スプレーがある。
- 農薬を使用する際は、ブルーベリーに登録のある製品を選び、使用時期や希釈倍率を守る。
- 適切な剪定で風通しと日当たりを良くし、毛虫が寄り付きにくい環境を作る。
- 株元を清潔に保ち、雑草を除去することも予防につながる。
- テントウムシやカマキリなどの天敵を呼び込む生物的防除も有効。
- 防虫ネットで物理的に毛虫の侵入を防ぐことができる。
- 株元へのマルチングはコガネムシの幼虫対策にもなる。
- 毛虫がブルーベリーの葉を食べても、果実に毒性は移らない。
- 毛虫とイモムシは、体の毛の有無で区別されることが多い。
- 毛虫の発生時期は春から秋にかけてが中心。
