アデノウィルスによる目の感染症、いわゆる「はやり目」は、目の充血や目やに、異物感といったつらい症状を引き起こします。特効薬がないため、どのように対処すれば良いのか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、アデノウィルス感染時に使用される目薬の種類やその役割、効果的な使い方、そして感染を広げないための大切な対策について詳しく解説します。
適切な知識を身につけて、症状の緩和と早期回復を目指しましょう。
アデノウィルスによる目の感染症「はやり目」とは?

アデノウィルスは、風邪の原因となるウイルスの一種ですが、目の感染症を引き起こすこともあります。特に、アデノウィルスが原因で起こる結膜炎は「流行性角結膜炎」と呼ばれ、一般的には「はやり目」として知られています。この病気は感染力が非常に強く、家庭内や学校、職場などで集団感染を引き起こしやすい特徴があります。
アデノウィルス結膜炎(はやり目)の主な症状
はやり目の症状は、感染後5日から2週間程度の潜伏期間を経て現れるのが一般的です。 主な症状としては、目の充血、多量の目やに、涙が止まらないといったものが挙げられます。 特に目やには、朝起きたときに目が開かないほどひどくなることもあります。 また、まぶたの腫れや異物感、目の痛みを感じることも少なくありません。
片方の目に発症した後、数日以内にもう片方の目にも症状が広がるケースが多いです。 重症化すると、耳の前のリンパ節が腫れて痛みを感じたり、角膜(黒目)に小さな濁りが残ることもあります。
感染経路と潜伏期間
アデノウィルスは非常に感染力が強く、主に接触感染によって広がります。 感染者の目やに、涙、唾液、便などに含まれるウイルスが、手を介してドアノブ、手すり、タオル、洗面器などに付着し、それを触った人が自分の目を触ることで感染します。 特に、乳幼児のおむつ交換後には、便を介した感染にも注意が必要です。 潜伏期間は5日から14日程度と幅広く、この期間中は症状がなくてもウイルスを排出している可能性があります。
アルコール消毒では不活化しにくいため、石鹸と流水によるこまめな手洗いが感染予防には非常に重要です。
アデノウィルスに効く目薬はない?治療の基本を知る

アデノウィルスによる目の感染症は、特効薬がないため、治療の基本は症状を和らげ、合併症を防ぐことにあります。ウイルス自体を直接攻撃する目薬は、現在のところ存在しません。
アデノウィルスに直接作用する目薬は存在しない理由
アデノウィルスは、細菌とは異なるウイルスの一種です。抗菌薬(抗生物質)は細菌の増殖を抑える効果がありますが、ウイルスには効果がありません。 そのため、アデノウィルスに直接作用してウイルスを死滅させるような抗ウイルス薬の目薬は、残念ながら開発されていないのが現状です。 治療は、患者さん自身の免疫力がウイルスを排除するのを待つことになります。
治療の目的は症状の緩和と合併症の予防
アデノウィルス結膜炎の治療は、主に対症療法が中心となります。 これは、目の充血、痛み、目やにといった不快な症状を和らげること、そして二次的な細菌感染や角膜の濁りといった合併症を防ぐことを目的としています。 医師は、症状の程度や目の状態に合わせて、炎症を抑える目薬や細菌感染を予防する目薬などを処方します。
十分な休養を取り、体力を維持することも、免疫力を高めてウイルスと戦う上で大切な要素です。
はやり目の治療で使われる目薬の種類と役割

アデノウィルス結膜炎の治療では、症状の緩和や合併症の予防のためにいくつかの種類の目薬が使われます。それぞれの目薬には異なる役割があり、医師が患者さんの状態に合わせて適切に処方します。
炎症を抑えるステロイド点眼薬
ステロイド点眼薬は、目の強い炎症を抑えるために処方されます。 目の充血、腫れ、異物感、痛みなどの症状を和らげる効果が期待できます。 特に、角膜(黒目)に炎症が及んで濁りが生じる「角膜混濁」が起こった場合や、まぶたの裏に偽膜と呼ばれる白い膜ができた場合に用いられることがあります。 ただし、ステロイド点眼薬はウイルスの増殖を助ける可能性や、眼圧上昇などの副作用もあるため、医師の指示に従い、決められた回数と期間を厳守して使用することが大切です。
二次感染を防ぐ抗菌点眼薬
アデノウィルスによって目の抵抗力が落ちると、細菌による二次感染を起こしやすくなります。 抗菌点眼薬(抗生物質の目薬)は、この二次的な細菌感染を予防したり、すでに細菌感染が起こってしまった場合に治療するために処方されます。 抗菌点眼薬はウイルス自体には効果がありませんが、目の症状を悪化させる細菌の増殖を抑えることで、目の状態を良好に保つ助けとなります。
目の不快感を和らげる人工涙液
人工涙液は、目の乾燥や異物感を和らげるために使用されることがあります。はやり目では、涙の分泌が一時的に不安定になったり、炎症によって目が乾燥しやすくなったりすることがあります。人工涙液は、目の表面を潤し、不快感を軽減する役割を果たします。
市販の目薬でアデノウィルスは治るのか?
市販されている目薬の中には、結膜炎の症状を和らげる成分(抗炎症成分や抗菌成分など)を含むものもあります。 しかし、これらの市販薬はアデノウィルスに直接作用するものではなく、あくまで症状を一時的に緩和する目的で使用されるものです。 特に、アデノウィルス結膜炎は感染力が強く、重症化すると角膜に後遺症を残す可能性もあるため、自己判断で市販薬に頼るのではなく、必ず眼科を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。
充血や目やにがひどい場合、目の痛みがある場合、視界がぼやける場合は、できるだけ早く眼科を受診しましょう。
アデノウィルス感染時の目薬使用における注意点

アデノウィルスによる目の感染症では、目薬を正しく使うことと、周囲への感染を防ぐための対策が非常に大切です。誤った使い方や不十分な対策は、症状の悪化や感染拡大につながる可能性があります。
医師の指示に従い正しく点眼するコツ
処方された目薬は、医師や薬剤師の指示に従い、決められた回数と量を守って点眼することが重要です。 目薬の容器の先端がまつ毛や目に触れないように注意し、清潔な状態で点眼しましょう。 目薬を差す前には必ず石鹸で手を洗い、点眼後は清潔なティッシュペーパーなどで余分な薬液や涙を拭き取ります。 複数の目薬を処方された場合は、点眼の間隔を5分以上空けるなど、指示された順番や間隔を守るようにしてください。
自己判断で点眼を中止したり、回数を増やしたりするのは避けましょう。
他の人への感染を防ぐための衛生管理
アデノウィルスは非常に感染力が強いため、家庭内や職場、学校での感染拡大を防ぐための衛生管理が不可欠です。 感染者は、こまめに石鹸と流水で手洗いを徹底し、目を触らないように心がけましょう。 タオルや洗面器は家族と共有せず、使い捨てのペーパータオルを使用するのがおすすめです。 ドアノブ、手すり、電気のスイッチなど、多くの人が触れる場所は、こまめに消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムで拭き取りましょう。
感染者が入浴する場合は、家族の中で最後にするなどの配慮も大切です。
目薬の共有は絶対に避けるべき理由
アデノウィルス結膜炎の目薬は、絶対に他の人と共有してはいけません。 目薬の容器の先端にウイルスが付着し、それを介して感染が広がるリスクがあるためです。 家族であっても、それぞれ専用の目薬を使用し、使い回しは避けてください。また、一度感染したアデノウィルスとは異なる型のウイルスに感染して、再びはやり目になる可能性もあります。
感染予防のためにも、個人の目薬は個人で管理し、清潔に保つことを徹底しましょう。
アデノウィルス感染症の予防と対策

アデノウィルスによる目の感染症は、感染力が強いため、日頃からの予防と、万が一感染してしまった場合の対策が非常に重要です。自分だけでなく、周囲の人々への感染拡大を防ぐ意識を持つことが求められます。
日常生活でできる感染予防のコツ
アデノウィルス感染症の主な感染経路は接触感染です。 そのため、日常生活における基本的な衛生習慣が最も効果的な予防策となります。まず、外出から帰宅した際や、食事の前、トイレの後など、こまめに石鹸と流水で手を洗いましょう。 特に、目をむやみに触らないように意識することが大切です。 アデノウィルスはアルコール消毒が効きにくい性質があるため、物理的に洗い流す手洗いがより効果的です。
また、免疫力を高めるために、十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけることも予防につながります。
家族や周囲への感染拡大を防ぐための対策
もし家族の誰かがアデノウィルス結膜炎と診断された場合、家庭内での感染拡大を防ぐための対策を徹底しましょう。 タオル、洗面器、枕カバーなどは個人専用とし、共有しないようにしてください。 ドアノブ、電気のスイッチ、リモコン、おもちゃなど、家族が頻繁に触れる場所は、定期的に消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムで拭き取りましょう。
感染者は入浴を家族の最後にする、洗濯物は分けて洗うなどの配慮も有効です。 また、感染が疑われる場合は、早めに眼科を受診し、医師の指示に従って登園・登校・出勤の判断を仰ぎましょう。 感染力が強い期間は、人混みを避けるなど、他人との接触をできる限り控えることが大切です。
よくある質問

- アデノウィルス結膜炎はどれくらいで治りますか?
- アデノウィルス結膜炎で学校や会社は休むべきですか?
- アデノウィルス結膜炎は大人にもうつりますか?
- アデノウィルス結膜炎の検査方法は?
- アデノウィルス結膜炎は再発しますか?
- アデノウィルス結膜炎でコンタクトレンズは使えますか?
アデノウィルス結膜炎はどれくらいで治りますか?
アデノウィルス結膜炎は、通常2週間から3週間程度で自然に治ることが多いです。 しかし、症状が重い場合や角膜に炎症が及んだ場合は、数ヶ月から1年以上かかることもあります。 症状が改善しても、医師の指示があるまでは点眼を続け、定期的に診察を受けることが大切です。
アデノウィルス結膜炎で学校や会社は休むべきですか?
アデノウィルス結膜炎(流行性角結膜炎)は、学校保健安全法で「第三種感染症」に指定されており、感染の恐れがないと医師が認めるまで出席停止となります。 会社についても、集団感染を防ぐため、できる限り出勤を控えることが望ましいとされています。 自己判断せず、必ず医師の指示に従いましょう。
アデノウィルス結膜炎は大人にもうつりますか?
はい、アデノウィルス結膜炎は大人にもうつります。 感染年齢による頻度の差はあまりなく、どの年齢でも感染する可能性があります。 特に、子どもから大人へ家庭内で感染が広がるケースも多いため、子どもが感染した場合は、大人も感染予防対策を徹底することが重要です。
アデノウィルス結膜炎の検査方法は?
アデノウィルス結膜炎の診断には、目やにや結膜を綿棒で採取し、ウイルス抗原を検出する迅速診断キットが用いられることがあります。 約7分から15分程度で結果が出ますが、検出感度が100%ではないため、陰性でも感染を完全に否定できるわけではありません。 医師は、目の症状や耳前リンパ節の腫れなどの所見と合わせて総合的に診断します。
アデノウィルス結膜炎は再発しますか?
アデノウィルスには多くの型があるため、一度感染して免疫ができても、別の型のアデノウィルスに感染することで再びはやり目を発症する可能性があります。 そのため、感染予防対策は常に続けることが大切です。
アデノウィルス結膜炎でコンタクトレンズは使えますか?
アデノウィルス結膜炎を発症している間は、コンタクトレンズの装用は避けるべきです。 コンタクトレンズが目の炎症を悪化させたり、細菌感染のリスクを高めたりする可能性があるためです。 症状が完全に治まり、医師の許可が出るまでは、眼鏡を使用するようにしましょう。
まとめ
- アデノウィルス結膜炎は「はやり目」と呼ばれ感染力が強い。
- 目の充血、目やに、涙、まぶたの腫れなどが主な症状。
- 感染経路は主に接触感染で、手洗いが最も重要。
- アデノウィルスに直接効く特効薬は存在しない。
- 治療は症状の緩和と合併症の予防が目的。
- ステロイド点眼薬は炎症を抑えるために使用される。
- 抗菌点眼薬は二次的な細菌感染を予防・治療する。
- 人工涙液は目の不快感を和らげる役割がある。
- 市販の目薬ではアデノウィルスは治せない。
- 目薬は医師の指示に従い正しく点眼することが大切。
- 目薬の容器の先端が目に触れないよう注意する。
- 目薬の共有は感染拡大の原因となるため厳禁。
- タオルや洗面器は共有せず、使い捨てを推奨。
- ドアノブなど共用部分はこまめに消毒する。
- 感染者は人混みを避け、登園・登校・出勤を控える。
- 通常2~3週間で自然治癒するが、重症化に注意。
- コンタクトレンズの装用は症状が治まるまで中止する。
- 別の型のアデノウィルスで再感染する可能性もある。
