健康診断の結果で「トリグリセライド」という項目に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。トリグリセライドは、私たちの体にとって大切なエネルギー源ですが、数値が高すぎると健康に様々な影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、トリグリセライドの基準値や、なぜ高くなるのか、そしてどのようにすれば数値を適切に保てるのかについて、分かりやすく解説します。ご自身の健康を守るための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
トリグリセライド(中性脂肪)とは?その役割と健康への影響

トリグリセライドは、一般的に「中性脂肪」と呼ばれる脂質の一種です。私たちの体にとって欠かせない存在であり、主にエネルギー源として利用されます。しかし、その量が過剰になると、健康上の問題を引き起こすことがあります。
トリグリセライドの基本的な役割
トリグリセライドは、食事から摂取される脂質や糖質が体内で変換されて作られます。そして、肝臓や脂肪組織に蓄えられ、必要に応じて分解されて体を動かすためのエネルギーとして使われるのです。また、皮下脂肪として体温を保ったり、内臓を衝撃から守るクッションの役割も果たしています。
このように、トリグリセライドは生命活動を維持するために重要な役割を担う物質です。
高いトリグリセライドが引き起こす健康リスク
体にとって必要なトリグリセライドですが、血液中の数値が高すぎる状態が続くと「高トリグリセライド血症」と診断されます。これは脂質異常症の一つであり、自覚症状がほとんどないまま進行することが特徴です。
高トリグリセライド血症を放置すると、動脈硬化を加速させ、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる重大な病気を発症するリスクが高まります。 また、脂肪肝や急性膵炎のリスクも増加させることが知られています。
トリグリセライドの基準値を知ろう

ご自身のトリグリセライド値が健康な範囲にあるかを知るには、血液検査の結果を確認することが大切です。基準値は、検査を受ける際の状況によって異なる場合があります。
一般的なトリグリセライド基準値
一般的な健康診断や人間ドックで測定されるトリグリセライドの基準値は、空腹時で30~149mg/dLとされています。 この範囲内であれば、正常値と判断されることが多いです。ただし、検査機関によっては下限値が異なる場合もあります。
空腹時と食後の違い
トリグリセライド値は、食事の影響を大きく受けやすい特徴があります。そのため、血液検査では「空腹時」の採血が基本です。空腹時とは、水やお茶などカロリーのない水分摂取を除いて、10時間以上の絶食を指します。
2022年の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」の改訂により、非空腹時(随時採血)の基準値も追加され、175mg/dL以上の場合に「高トリグリセライド血症」と診断されるようになりました。 検査前日の飲酒は控え、当日は空腹時で検査を受けることが推奨されます。
年齢や性別による基準値の目安
トリグリセライドの基準値は、年齢や性別によって厳密に定められているわけではありませんが、加齢とともに数値が上昇する傾向が見られます。特に40代以降は代謝が落ちやすくなるため、注意が必要です。
ご自身の年齢や性別、その他の健康状態を考慮した上で、医師と相談しながら適切な目標値を設定することが大切です。
トリグリセライドが高くなる主な原因
トリグリセライド値が高くなる原因の多くは、日々の生活習慣にあります。食生活の乱れや運動不足、飲酒習慣などが複合的に影響し、数値の上昇を招くことが多いです。
食生活の乱れ
食べ過ぎは、トリグリセライドが高くなる最も大きな原因の一つです。特に、糖質や脂質の過剰摂取は、体内でエネルギーとして消費しきれなかった分が中性脂肪として蓄積されやすくなります。
甘いものや脂っこい食事、ごはんやパンなどの炭水化物の摂り過ぎには注意が必要です。 また、食事回数が少ないと、肝臓での脂肪酸の合成が進み、中性脂肪が増加する傾向があります。
運動不足
運動不足もトリグリセライド値を上げる要因です。食事から摂取したエネルギーを消費する活動が少ないと、余ったエネルギーが中性脂肪として体内に溜まっていきます。
体を動かすことでエネルギーを消費し、肥満を予防することは、トリグリセライドの増加を防ぐ上で非常に重要です。
飲酒習慣
アルコールの過剰摂取は、トリグリセライドを増加させる大きな原因の一つです。アルコールは肝臓で中性脂肪の合成を促進し、さらにカロリーも高いため、肥満につながりやすくなります。
適量を超えた継続的な飲酒は、高トリグリセライド血症だけでなく、高血圧や脂肪肝、急性膵炎のリスクも高めるため、飲酒量の見直しが大切です。
その他の要因(遺伝、病気、薬など)
生活習慣だけでなく、遺伝的な要因や、糖尿病、甲状腺機能低下症などの病気がトリグリセライドの上昇に関わることもあります。 また、ステロイドや経口避妊薬など、一部の薬剤が影響を与えるケースも存在します。
これらの要因が考えられる場合は、自己判断せずに医療機関で相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
トリグリセライドを下げるための具体的な方法

トリグリセライドの数値を適切に保つためには、日々の生活習慣の改善が最も効果的な方法です。食事や運動、飲酒習慣を見直すことで、数値の改善が期待できます。
食事の改善でトリグリセライドをコントロール
トリグリセライドを下げるには、まず食生活の見直しから始めましょう。エネルギーの過剰摂取を避け、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
- 糖質と脂質の摂取量を調整する:甘いもの、脂っこい食事、炭水化物の摂り過ぎに注意し、適量を意識しましょう。
- 食物繊維を積極的に摂る:野菜、海藻、きのこ類などに含まれる食物繊維は、コレステロールの吸収を抑える働きがあります。
- 青魚を食卓に取り入れる:DHAやEPAといったn-3系脂肪酸は、血液中の中性脂肪を減らす働きがあるため、マグロやサバなどの青魚がおすすめです。
- 食事回数を減らさない:1日3食を基本とし、欠食を避けることで、肝臓での脂肪酸合成の促進を抑えられます。
これらの食事のコツを実践することで、トリグリセライド値の改善につながります。
適度な運動習慣を取り入れる
運動は、トリグリセライドを下げる上で非常に効果的な方法です。特に有酸素運動は、脂肪燃焼効果が高く、中性脂肪やコレステロール値の減少に期待ができます。
ウォーキング、ジョギング、水中運動など、軽く息が上がる程度の中等度の運動を、できる限り毎日30分以上行うことが推奨されています。 いきなりハードな運動をする必要はなく、まずは日常生活に体を動かす習慣を取り入れることから始めましょう。
飲酒量の見直し
アルコールの過剰摂取は、トリグリセライドを増やす大きな原因となるため、飲酒習慣を見直すことが重要です。 純アルコールの摂取量を、女性は20g、男性は40g程度までにとどめるのが良いでしょう。
飲酒量を減らすことは、トリグリセライド値の改善だけでなく、肝臓への負担軽減や肥満予防にもつながります。
医療機関での相談と治療
生活習慣の改善だけではトリグリセライド値が目標値に届かない場合や、非常に高い数値が続く場合は、医療機関での相談や治療が必要になることがあります。
医師は、患者さんの状態に応じて食事療法や運動療法に加え、薬物療法を検討することがあります。フィブラート系製剤やニコチン酸誘導体製剤などが、高トリグリセライド血症の治療に用いられることが多いです。 自己判断せずに、必ず医師の指示に従いましょう。
よくある質問

- トリグリセライドが低い場合は問題ないですか?
- 健康診断でトリグリセライドが高いと言われたらどうすれば良いですか?
- トリグリセライドを下げるサプリメントは効果がありますか?
- 食事制限はどのくらい続ければ良いですか?
- トリグリセライドとコレステロールは同じものですか?
トリグリセライドが低い場合は問題ないですか?
トリグリセライド値が基準値を下回る場合も、問題となることがあります。低すぎる中性脂肪値は、いざというときに必要なエネルギーを補うことができない状態を示し、極端なダイエットや低栄養、甲状腺機能亢進症、肝臓病などが原因となる可能性があります。 頭痛やめまい、意識を失うケースもあり得るため、数値が低い場合も医療機関で相談することが大切です。
健康診断でトリグリセライドが高いと言われたらどうすれば良いですか?
健康診断でトリグリセライドが高いと指摘されたら、まずは生活習慣の見直しから始めましょう。食生活の改善(糖質・脂質の摂取量調整、食物繊維・青魚の摂取など)、適度な運動習慣の確立、飲酒量の見直しが基本的な対策です。 数値が非常に高い場合や、生活習慣の改善だけでは効果が見られない場合は、早めに医療機関を受診し、医師の指導を受けることが重要です。
トリグリセライドを下げるサプリメントは効果がありますか?
DHAやEPAなどのn-3系脂肪酸を含むサプリメントは、血液中の中性脂肪を減らす働きがあるとして注目されています。 食事だけで必要な栄養素を補うのが難しい場合に、サプリメントを上手に活用するのも一つの方法です。 ただし、サプリメントはあくまで補助的な役割であり、基本的な生活習慣の改善が最も重要です。 サプリメントを選ぶ際は、機能性表示食品であるか、DHA・EPAの配合量、抗酸化成分の有無などを確認し、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
食事制限はどのくらい続ければ良いですか?
トリグリセライドを下げるための食事制限や生活習慣の改善は、一時的なものではなく、持続可能な習慣として続けることが大切です。 短期間で急激な変化を求めるのではなく、無理のない範囲で継続できる方法を見つけることが成功のコツです。定期的に健康診断を受け、数値の変化を確認しながら、医師や管理栄養士と相談して調整していくと良いでしょう。
トリグリセライドとコレステロールは同じものですか?
トリグリセライド(中性脂肪)とコレステロールは、どちらも血液中に含まれる脂質の一種ですが、その役割は異なります。 トリグリセライドは主にエネルギー源として使われ、余ると体脂肪として蓄えられます。 一方、コレステロールは細胞膜やホルモン、胆汁酸の材料となる物質です。 どちらも体に必要なものですが、バランスが崩れると脂質異常症となり、動脈硬化などのリスクを高めます。
まとめ
- トリグリセライドは中性脂肪とも呼ばれ、体の重要なエネルギー源です。
- 基準値は空腹時30~149mg/dL、非空腹時175mg/dL以上で高トリグリセライド血症と診断されます。
- 数値が高い状態が続くと、動脈硬化や脂肪肝、急性膵炎のリスクが高まります。
- 主な原因は、食べ過ぎ、運動不足、アルコールの過剰摂取です。
- 食生活の改善では、糖質・脂質の摂取量調整や食物繊維・青魚の摂取が有効です。
- 適度な有酸素運動を毎日30分以上続けることが推奨されます。
- 飲酒量を控えめにすることも、数値改善につながります。
- 生活習慣の改善で効果が見られない場合は、医療機関での相談が必要です。
- トリグリセライドが低い場合も、低栄養などの問題が隠れている可能性があります。
- DHA・EPAサプリメントは補助的に活用できますが、基本は生活習慣の改善です。
- 食事制限は一時的ではなく、継続可能な習慣として取り組むことが大切です。
- トリグリセライドとコレステロールは異なる役割を持つ脂質です。
- 健康診断で異常を指摘されたら、早めの対策が健康を守る第一歩です。
- 医師や管理栄養士と相談しながら、ご自身に合った改善方法を見つけましょう。
- 日々の小さな積み重ねが、健康な体作りに役立ちます。
