親との関係に悩みを抱え、将来の相続について不安を感じている方は少なくありません。特に、幼い頃に養育放棄されたり、虐待を受けたりした経験がある場合、その親に自分の財産が渡ることに強い抵抗を感じることもあるでしょう。近年、韓国で成立した「クハラ法」は、そのような状況にある人々の間で大きな注目を集めています。
本記事では、クハラ法がどのような法律なのか、その成立の背景にある悲しい出来事、そして日本における親の相続権を制限・剥奪するための具体的な方法について、詳しく解説していきます。親との関係に悩む方が、自身の状況を整理し、適切な選択をするための手助けとなる情報をお届けします。
親との関係に悩みを抱え、将来の相続について不安を感じている方は少なくありません。特に、幼い頃に養育放棄されたり、虐待を受けたりした経験がある場合、その親に自分の財産が渡ることに強い抵抗を感じることもあるでしょう。近年、韓国で成立した「クハラ法」は、そのような状況にある人々の間で大きな注目を集めています。
本記事では、クハラ法がどのような法律なのか、その成立の背景にある悲しい出来事、そして日本における親の相続権を制限・剥奪するための具体的な方法について、詳しく解説していきます。親との関係に悩む方が、自身の状況を整理し、適切な選択をするための手助けとなる情報をお届けします。
クハラ法(具荷拉法)とは?成立の背景と内容

「クハラ法」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。これは、韓国で成立した民法改正案の通称であり、亡くなった人に対して扶養義務を著しく怠ったり、虐待などの犯罪行為を行ったりした法定相続人の相続権を制限することを目的としています。親が子に対する養育義務を果たさなかった場合、その子の遺産を相続できないようにするという内容が核となっています。
この法律は、多くの人々の共感を呼び、韓国社会における相続のあり方に大きな変化をもたらすものとして注目されています。
K-POP歌手ク・ハラさんの悲劇が法制化のきっかけに
この法案が「クハラ法」と呼ばれるようになった背景には、K-POPグループKARAの元メンバーであるク・ハラさんの悲しい出来事があります。ク・ハラさんは2019年に28歳という若さで亡くなりましたが、彼女が幼い頃に家を出て、20年近く音信不通だった実の母親が、彼女の死後に遺産相続を要求したことが大きな社会問題となりました。
この母親の行動に対し、ク・ハラさんの実兄が「養育義務を怠った親には相続権を認めない」という内容の法案を国会に請願。これが「クハラ法」として、国民的な議論を巻き起こし、法制化へとつながる大きなきっかけとなりました。
具荷拉法の主な目的と適用範囲
具荷拉法の主な目的は、被相続人(亡くなった人)に対する扶養義務を著しく怠った親や、虐待などの不当な行為を行った親の相続権を制限することにあります。具体的には、幼い子どもを長期間にわたって育児放棄していた親や、被相続人に対して身体的・精神的な虐待を加えていた者が、その子の死後に遺産を相続しようとするケースが対象となります。
2024年8月28日、韓国国会で可決され、2026年1月1日から施行されることが決定しています。 これにより、未成年時に養育義務を怠った親は、子どもの遺産を相続できなくなるのです。
日本の相続法における「親の相続権」の原則

韓国のクハラ法のような制度は、日本には現在のところ存在しません。しかし、日本にも親の相続権に関する民法の規定があり、特定の状況下ではその権利が制限される可能性があります。まずは、日本の相続法における親の相続権の原則について理解を深めましょう。
民法が定める親の相続順位と権利
日本の民法では、相続人になれる人の範囲と順位が明確に定められています。配偶者は常に相続人となりますが、血族相続人には順位があります。第1順位は子、第2順位は親(直系尊属)、第3順位は兄弟姉妹です。 つまり、亡くなった人に配偶者と子がいる場合、親は相続人にはなりません。 子がいない場合に初めて、配偶者と親が相続人となります。
親が複数いる場合は、その全員が相続人となります。
親の扶養義務と子の相続権の関係
日本の民法では、親は未成年の子に対して扶養義務を負っています。これは、親が子を養育し、経済的に支える義務を指します。しかし、この扶養義務を怠った親であっても、子が亡くなった場合に相続人となる権利は、原則として自動的に失われるわけではありません。 現在の日本の法律では、親が子の扶養義務を怠ったという事実だけでは、その親の相続権を当然に剥奪する規定はないのです。
この点が、クハラ法が成立した韓国の状況と大きく異なる点といえるでしょう。
日本で親の相続権を制限・剥奪する具体的な方法

日本にはクハラ法のような直接的な法律はありませんが、親の相続権を制限したり、剥奪したりするための既存の制度は存在します。これらの制度は、特定の条件を満たす場合に利用できます。
相続欠格:特定の不正行為があった場合に相続権を失う
相続欠格とは、相続人が特定の不正行為を行った場合に、法律上当然に相続権を失う制度です。 これは、被相続人や他の相続人の生命を脅かしたり、遺言書を偽造・破棄したりするなど、相続に関する重大な不正行為があった場合に適用されます。 例えば、故意に被相続人を死亡させた場合や、遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合などがこれに該当します。
相続欠格に該当すると、被相続人の意思に関わらず、その相続人は自動的に相続権を失います。 ただし、相続欠格者が相続権を失っても、その子がいる場合は代襲相続が認められます。
相続廃除:家庭裁判所の手続きで相続権を奪う
相続廃除とは、被相続人の意思に基づいて、家庭裁判所の手続きによって特定の相続人の相続権を剥奪する制度です。 これは、推定相続人が被相続人に対して虐待をしたり、重大な侮辱を加えたり、その他の著しい非行があった場合に、被相続人が家庭裁判所に請求することで認められます。 相続廃除は、被相続人が生前に申し立てる方法と、遺言によって行う方法があります。
相続欠格と異なり、相続廃除は被相続人の意思が重要であり、家庭裁判所がその妥当性を判断します。 相続廃除が認められた場合も、相続欠格と同様に代襲相続が可能です。
特別寄与料:子の貢献を評価する新たな制度
特別寄与料は、2019年7月1日に施行された民法改正により導入された比較的新しい制度です。 これは、相続人ではない親族が、亡くなった人(被相続人)に対して無償で介護や家業の手伝いなどを行い、財産の維持や増加に貢献した場合に、その貢献度に応じて相続人に対して金銭を請求できる制度です。 例えば、長男の妻が義父を長年介護した場合など、相続権のない親族でも貢献が認められれば、相続人に対して特別寄与料を請求できます。
この制度は、従来の寄与分制度が相続人にしか認められなかった不公平を解消するために設けられました。 請求は、まず相続人との協議で行い、まとまらない場合は家庭裁判所に調停を申し立てます。
日本版クハラ法の議論と今後の展望

韓国でクハラ法が成立したことを受け、日本でも同様の法律を求める声が上がっています。しかし、法改正には様々な課題があり、慎重な議論が必要です。
導入を求める声と法改正の課題
日本でも、養育放棄や虐待を行った親が子の遺産を相続することへの疑問や不公平感を訴える声は少なくありません。特に、クハラさんのケースのように、長年音信不通だった親が子の死後に突然現れて相続を主張するような事態は、遺された家族にとって大きな精神的負担となります。 このような背景から、日本でも「親の扶養義務違反を相続欠格事由に追加すべき」といった意見や、「相続廃除の要件を緩和すべき」といった議論が活発に行われています。
しかし、法改正には、親子の関係性や相続の原則、そして個々の事情をどこまで考慮すべきかなど、複雑な問題が絡み合います。また、相続欠格や相続廃除といった既存の制度との整合性も考慮する必要があるでしょう。
感情と法律の狭間で揺れる相続問題
相続問題は、単なる財産の分配だけでなく、家族間の感情や倫理観が深く関わってきます。特に、親子の関係においては、愛情、憎しみ、後悔など、様々な感情が交錯することがあります。クハラ法のような法律は、このような感情的な側面を法的に解決しようとする試みともいえます。 しかし、法律で感情を全て解決することは難しく、どこまでを法的な制裁の対象とするか、その線引きは非常にデリケートな問題です。
日本でクハラ法のような制度が導入されるかどうかは、今後の社会情勢や国民の意識、そして法曹界の議論の進展にかかっています。
親との関係に悩む方が取るべき行動:専門家への相談と選択肢

親との関係で相続に不安を感じている場合、一人で悩まず、専門家に相談することが大切です。適切な知識と支援を得ることで、自身の状況に合った解決策を見つけることができます。
自身の状況を整理し、適切な選択をするコツ
まず、自身の状況を具体的に整理することから始めましょう。親との関係性、養育放棄や虐待の具体的な内容、それらの期間や程度などを詳細に記録しておくことが重要です。 感情的になりがちな問題だからこそ、客観的な事実に基づいて状況を把握する姿勢が求められます。 例えば、親からの金銭的な援助の有無、自身の親に対する貢献度なども整理しておくと良いでしょう。
これらの情報は、後に弁護士や専門機関に相談する際に、具体的なアドバイスを得るための重要な資料となります。
弁護士や専門機関への相談の重要性
相続問題は、法律の専門知識が必要となる複雑なケースが多く、個人で解決しようとすると、かえって状況を悪化させてしまう可能性もあります。 弁護士に相談することで、自身の状況に合わせた法的な選択肢(相続欠格、相続廃除、遺言書の作成など)について具体的なアドバイスを受けられます。 また、弁護士は、相続人との交渉を代理したり、家庭裁判所での手続きをサポートしたりすることも可能です。
早期に専門家へ相談することで、トラブルを未然に防ぎ、精神的な負担を軽減することにもつながります。
よくある質問

ク・ハラ法は日本で導入されていますか?
いいえ、現在のところ、韓国で成立した「クハラ法」と全く同じ内容の法律は日本には導入されていません。しかし、日本でも同様の法整備を求める声は上がっており、今後の議論が注目されています。
親が子を虐待した場合、相続権はなくなりますか?
日本の法律では、親が子を虐待したという事実だけでは、自動的に相続権がなくなるわけではありません。ただし、虐待の程度が著しい場合など、特定の条件を満たせば「相続廃除」の手続きにより、家庭裁判所の判断で相続権を剥奪できる可能性があります。
相続欠格と相続廃除の違いは何ですか?
相続欠格は、相続人が被相続人や他の相続人に対して重大な不正行為(殺人や遺言書の偽造など)を行った場合に、法律上当然に相続権を失う制度です。一方、相続廃除は、被相続人の意思に基づき、家庭裁判所の手続きを経て、虐待や侮辱などの著しい非行があった相続人の相続権を剥奪する制度です。
特別寄与料とは何ですか?
特別寄与料とは、相続人ではない親族が、亡くなった人(被相続人)に対して無償で介護や家業の手伝いなどを行い、財産の維持や増加に貢献した場合に、その貢献度に応じて相続人に対して金銭を請求できる制度です。2019年7月に導入されました。
親の相続権を剥奪するにはどうすればいいですか?
親の相続権を剥奪する方法としては、主に「相続欠格」と「相続廃除」の二つの制度があります。相続欠格は、特定の不正行為があった場合に自動的に適用されます。相続廃除は、被相続人の意思により家庭裁判所に申し立てを行い、虐待や著しい非行が認められた場合に相続権を剥奪できます。 弁護士などの専門家に相談し、自身の状況に合った適切な手続きを進めることが重要です。
まとめ
- クハラ法は、養育放棄や虐待を行った親の相続権を制限する韓国の法律です。
- K-POP歌手ク・ハラさんの悲劇が法制化の大きなきっかけとなりました。
- 日本にはクハラ法のような直接的な法律は現在ありません。
- 日本の民法では、配偶者、子、親、兄弟姉妹の順で相続順位が定められています。
- 親の扶養義務違反だけでは、日本の法律では相続権は自動的に失われません。
- 相続欠格は、特定の不正行為があった場合に相続権を自動的に失う制度です。
- 相続廃除は、家庭裁判所の手続きを経て親の相続権を剥奪する方法です。
- 特別寄与料は、相続人以外の親族の貢献を評価する日本の新しい制度です。
- 日本でもクハラ法のような制度導入の議論が進んでいます。
- 相続問題は感情が絡むため、法律と感情のバランスが重要です。
- 親との関係で相続に不安がある場合は、自身の状況を整理しましょう。
- 弁護士などの専門家への相談が、問題解決への第一歩となります。
- 専門家は、適切な法的手続きや選択肢について具体的なアドバイスを提供します。
- 早期の相談は、トラブル防止と精神的負担の軽減につながります。
- 遺言書の作成も、親の相続権を制限する有効な方法の一つです。
