「血中酸素濃度が低い」と聞くと、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。息苦しさやだるさといった症状は、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。しかし、正しい知識と適切な対処法を知っていれば、落ち着いて対応できるものです。
本記事では、血中酸素濃度が低い時にどうすれば良いのか、その具体的な対処法から、原因、そして日々の生活でできる改善策までを徹底的に解説します。ご自身の健康を守るためにも、ぜひ最後までお読みください。
血中酸素濃度とは?正常値と低い状態を知る

血中酸素濃度は、私たちの体がどれだけ効率良く酸素を取り込み、全身に運んでいるかを示す大切な指標です。この数値を知ることは、体の状態を把握する上で非常に重要となります。
血中酸素濃度(SpO2)の基本
血中酸素濃度、または血中酸素飽和度(SpO2)とは、血液中のヘモグロビンというタンパク質に酸素がどれくらい結合しているかを示す割合のことです。肺で取り込まれた酸素は、赤血球の中にあるヘモグロビンと結びつき、全身の細胞へと運ばれていきます。この酸素が十分に行き渡っているかどうかを測るのがSpO2の役割です。
体が正常に機能するためには、十分な酸素供給が不可欠であり、SpO2はその酸素供給の状態を数値で表してくれます。
正常とされる基準値と注意すべき数値
健康な成人の場合、血中酸素飽和度(SpO2)の正常値は通常96〜99%とされています。95%以上が望ましい数値です。この範囲を下回ると、呼吸器や循環器系の問題が疑われることがあります。特に、90%未満になると「低酸素血症」とみなされ、呼吸不全の状態である可能性が高く、速やかに医療機関を受診することが勧められます。
ただし、パルスオキシメーターでの測定値には2%程度の誤差が生じる可能性もあるため、数値だけでなく、ご自身の体調や症状と合わせて判断することが大切です。
血中酸素濃度が低い時に現れるサインと症状

血中酸素濃度が低下すると、体は様々なサインを発します。これらのサインに気づき、適切に対応することが、重症化を防ぐ上で非常に重要です。
自覚しやすい初期症状
血中酸素濃度が低い時に現れる初期症状には、息切れや息苦しさ、頭痛、めまい、倦怠感などが挙げられます。特に、普段の活動中に息切れを感じやすくなったり、少し動くだけで疲労感が増したりする場合は注意が必要です。
また、集中力の低下や、ぼーっとする感じ、不安感、焦燥感といった精神的な症状が現れることもあります。これらの症状は、脳への酸素供給が不足しているサインかもしれません。
放置すると危険な重症化のサイン
血中酸素濃度の低下がさらに進むと、より深刻な症状が現れることがあります。具体的には、頻呼吸(呼吸が速くなる)、頻脈(脈が速くなる)、不整脈、チアノーゼ(唇や爪が青紫色になる)、不穏・興奮、見当識障害(時間や場所が分からなくなる)などです。
これらの症状が見られた場合は、脳や心臓などの主要な臓器に酸素が十分に届いていない可能性があり、命にかかわる危険な状態です。特に、SpO2が80%台まで低下した場合は、速やかなアセスメントと医師への報告が求められます。 意識レベルの低下や昏睡、ショック状態に陥ることもありますので、このようなサインを見逃さず、すぐに医療機関を受診してください。
血中酸素濃度が低い時の緊急対処法
血中酸素濃度が低いと感じた時、まずは落ち着いて適切な行動をとることが大切です。ここでは、緊急時に自宅でできる対処法を紹介します。
まずは落ち着いて楽な姿勢を保つ
息苦しさを感じたら、まずは落ち着いて楽な姿勢をとることが重要です。体を起こし、少し前かがみになる姿勢や、椅子に座って肘を膝につける姿勢は、呼吸を楽にする助けになります。横になると息苦しさが増す場合は、座ったまま休むのが良いでしょう。
無理に動こうとせず、安静にすることで、体が必要とする酸素量を一時的に減らし、呼吸への負担を軽減できます。焦らず、ゆっくりと深呼吸を試みてください。
呼吸を整えるためのコツ
呼吸が浅く速くなりがちな時は、意識的に呼吸を整えることが有効です。口すぼめ呼吸は、息をゆっくりと長く吐き出すことで、肺に残った空気を排出し、新しい酸素を取り込みやすくする呼吸法です。
具体的には、鼻からゆっくり息を吸い込み、口をすぼめて(口笛を吹くように)ゆっくりと長く息を吐き出します。吸う時間の2倍くらいの時間をかけて吐き出すことを意識しましょう。この呼吸法は、呼吸筋の負担を減らし、効率的なガス交換を促します。
周囲の環境を整える
室内の環境を整えることも、呼吸を楽にする上で役立ちます。窓を開けて換気を行い、新鮮な空気を取り入れましょう。また、締め付けのきつい衣類は避け、ゆったりとした服装で過ごすようにしてください。
室温や湿度も快適な状態に保つことが望ましいです。加湿器を使って空気が乾燥しすぎないようにしたり、暑すぎず寒すぎない温度に調整したりすることで、呼吸器への刺激を減らせます。
パルスオキシメーターの活用方法
パルスオキシメーターは、指先に装着するだけで手軽に血中酸素濃度(SpO2)を測定できる医療機器です。自宅にパルスオキシメーターがある場合は、活用してご自身の状態を客観的に把握しましょう。
測定する際は、指先が冷えていないか、マニキュアを塗っていないか、センサーがずれていないかなどを確認してください。これらは正確な測定を妨げる要因となることがあります。正確な数値を得るために、測定部位を温めたり、マニキュアを落としたりするなどの配慮が必要です。
医療機関を受診すべき目安とタイミング

血中酸素濃度が低いと感じた時、自宅での対処も大切ですが、医療機関を受診するタイミングを見極めることが命を守る上で非常に重要です。
すぐに病院へ行くべき症状
以下のような症状が見られる場合は、迷わずすぐに医療機関を受診してください。緊急性が高く、命にかかわる可能性があります。
- パルスオキシメーターの数値が90%を下回る場合
- 激しい息苦しさや呼吸困難が続く場合
- 唇や爪が青紫色になる(チアノーゼ)場合
- 意識が朦朧とする、呼びかけへの反応が鈍い、錯乱状態にある場合
- 胸の痛みや圧迫感がある場合
- 急な発熱や咳、痰の増加を伴う場合(肺炎などの可能性)
これらの症状は、重度の低酸素血症や、心臓・脳への影響を示唆しているため、一刻も早い専門的な治療が必要です。救急車を呼ぶことも検討しましょう。
かかりつけ医に相談するケース
緊急性は低いものの、以下のような場合はかかりつけ医に相談することをおすすめします。
- パルスオキシメーターの数値が普段より3〜4%低下しているが、90%以上を保っている場合
- 息切れや倦怠感が続く、または悪化している場合
- 慢性的な呼吸器疾患(喘息、COPDなど)や心疾患があり、症状の変化が気になる場合
- 睡眠中にいびきがひどく、日中の眠気や倦怠感がある場合(睡眠時無呼吸症候群の可能性)
ご自身の体調の変化を記録しておくと、医師に正確な情報を提供でき、適切な診断や治療につながりやすくなります。
血中酸素濃度が低くなる主な原因

血中酸素濃度が低くなる原因は多岐にわたります。主な原因を知ることで、適切な予防や治療につなげることができます。
呼吸器系の病気が関係する場合
血中酸素濃度が低くなる最も一般的な原因の一つは、肺や気道の病気です。肺は空気中の酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する「ガス交換」の役割を担っています。この機能が障害されると、血液中に十分な酸素が取り込めなくなります。
- 肺炎:細菌やウイルス感染により肺に炎症が起こり、肺胞に滲出液や膿が溜まることでガス交換が妨げられます。
- 喘息:気道が慢性的に炎症を起こし、狭くなることで、空気の出入りが困難になります。重症化すると酸素が不足しやすくなります。
- COPD(慢性閉塞性肺疾患):喫煙などが原因で肺の組織が破壊され、空気の出し入れが難しくなる病気です。
- 肺水腫:肺に水分が溜まることで、ガス交換が阻害されます。
- 肺塞栓症:肺の血管が血栓などで詰まり、血液が酸素を取り込めなくなる状態です。
これらの病気は、呼吸困難や咳、痰などの症状を伴うことが多く、早期の診断と治療が重要です。
循環器系の病気が影響する場合
心臓や血管の病気も、血中酸素濃度の低下につながることがあります。心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っており、その機能が低下すると、酸素を運ぶ血液の流れが悪くなります。
- 心不全:心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。肺に血液が滞留し、肺水腫を引き起こすこともあります。
- 先天性心疾患:生まれつき心臓に構造的な異常がある場合、血液の循環に問題が生じ、酸素化が不十分になることがあります。
心臓の病気は、息切れやむくみ、疲労感などの症状を伴うことが多く、定期的な健康チェックが大切です。
その他の要因と生活習慣
呼吸器系や循環器系の病気以外にも、血中酸素濃度が低くなる要因はいくつかあります。
- 貧血:血液中のヘモグロビンが不足すると、酸素を運ぶ能力が低下します。
- 睡眠時無呼吸症候群:睡眠中に一時的に呼吸が止まることで、血中酸素濃度が低下します。いびきや日中の眠気が主な症状です。
- 高山病:標高の高い場所では空気中の酸素濃度が低いため、体が順応できないと低酸素状態になります。
- 肥満:極度の肥満は、お腹や胸部に脂肪がつきすぎて肺が広がりにくくなり、呼吸不全を引き起こすことがあります。
- 喫煙:喫煙は肺の機能を低下させ、酸素の取り込みを阻害します。
これらの要因は、日々の生活習慣の見直しや、専門医への相談で改善できる場合があります。特に喫煙は、肺だけでなく全身の健康に悪影響を及ぼすため、禁煙を強くおすすめします。
日常生活で血中酸素濃度を高めるための改善策

血中酸素濃度を健康な状態に保つためには、日々の生活習慣を見直すことが大切です。ここでは、自宅でできる改善策を紹介します。
呼吸筋を鍛える簡単な練習
呼吸筋を鍛えることは、肺の機能を高め、効率的な呼吸を助けます。特に、横隔膜を使った腹式呼吸は、深い呼吸を促し、より多くの酸素を取り込むのに役立ちます。
仰向けに寝て、お腹に手を置き、鼻からゆっくり息を吸い込みながらお腹を膨らませ、口からゆっくり息を吐きながらお腹をへこませる練習を繰り返しましょう。毎日数分でも続けることで、呼吸が楽になり、血中酸素濃度を高める効果が期待できます。
適度な運動習慣を取り入れる
適度な運動は、心肺機能を高め、全身の血行を促進します。これにより、酸素が体の隅々まで効率良く運ばれるようになります。ウォーキングや軽いジョギング、水泳など、無理なく続けられる有酸素運動から始めてみましょう。
ただし、息苦しさを感じる場合は無理をせず、医師に相談してから運動を取り入れるようにしてください。運動中に血中酸素濃度が低下する場合は、運動の種類や強度を見直す必要があります。
禁煙とバランスの取れた食生活
喫煙は、肺の機能を著しく低下させ、血中酸素濃度を低くする最大の原因の一つです。禁煙は、血中酸素濃度を高める上で最も効果的な改善策と言えるでしょう。
また、バランスの取れた食生活も重要です。特に、鉄分はヘモグロビンの生成に不可欠であり、貧血予防にもつながります。緑黄色野菜やレバー、赤身の肉などを積極的に摂取し、十分な水分補給も心がけましょう。
質の良い睡眠を確保する
睡眠は、体を休ませ、修復するために不可欠です。質の良い睡眠を確保することは、呼吸機能の維持にもつながります。睡眠中に呼吸が浅くなったり、無呼吸になったりすると、血中酸素濃度が低下することがあります。
規則正しい睡眠習慣を身につけ、寝室の環境を整えるなどして、質の良い睡眠を心がけましょう。いびきや日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考えられるため、専門医に相談することをおすすめします。
よくある質問

- 血中酸素濃度が90%を下回るとどうなりますか?
- パルスオキシメーターはどこで買えますか?
- 喫煙は血中酸素濃度に影響しますか?
- 高齢者の血中酸素濃度の目安はありますか?
- 運動で血中酸素濃度は上がりますか?
- ストレスは血中酸素濃度に影響しますか?
- 血中酸素濃度が低いと倦怠感が出ますか?
血中酸素濃度が90%を下回るとどうなりますか?
血中酸素濃度が90%を下回ると、低酸素血症と診断され、呼吸不全の状態とみなされます。この状態が続くと、脳や心臓などの重要な臓器に十分な酸素が供給されなくなり、機能障害を引き起こす危険性があります。頭痛、めまい、息切れ、意識レベルの低下、チアノーゼなどの症状が現れることがあり、速やかに医療機関を受診する必要があります。
パルスオキシメーターはどこで買えますか?
パルスオキシメーターは、家電量販店、ドラッグストア、インターネット通販などで購入できます。医療機器として販売されているものと、健康管理機器として販売されているものがありますが、正確な測定のためには医療機器認証を受けた製品を選ぶことをおすすめします。
喫煙は血中酸素濃度に影響しますか?
はい、喫煙は血中酸素濃度に大きな影響を与えます。タバコの煙に含まれる一酸化炭素は、酸素よりもヘモグロビンと結合しやすいため、酸素の運搬能力を低下させます。また、喫煙は肺の機能を慢性的に低下させるCOPDなどの呼吸器疾患の原因となり、結果として血中酸素濃度を低くします。
高齢者の血中酸素濃度の目安はありますか?
高齢者でも、健康な状態であれば血中酸素濃度の正常値は96〜99%が目安とされています。ただし、加齢に伴い肺機能が低下することや、基礎疾患を持つ方が多いため、若年者よりもやや低めの数値でも許容される場合があります。しかし、90%を下回る場合は、年齢に関わらず医療機関への相談が必要です。
運動で血中酸素濃度は上がりますか?
適度な運動は、心肺機能を高め、全身の血行を改善することで、長期的に血中酸素濃度を健康な状態に保つ助けになります。しかし、運動中に息苦しさやめまいを感じる場合は、無理をせず休憩し、必要であれば医師に相談してください。
ストレスは血中酸素濃度に影響しますか?
直接的に血中酸素濃度を大きく低下させることは稀ですが、強いストレスは呼吸を浅く速くさせたり、過呼吸を引き起こしたりすることがあります。これにより一時的に呼吸のバランスが崩れる可能性はあります。リラックスする時間を設け、ストレスを適切に管理することが大切です。
血中酸素濃度が低いと倦怠感が出ますか?
はい、血中酸素濃度が低いと倦怠感が出ることがあります。酸素は体の細胞がエネルギーを作り出すために不可欠であり、酸素が不足すると全身の細胞の機能が低下し、疲労感や倦怠感として現れることがあります。
まとめ
- 血中酸素濃度(SpO2)は体の酸素状態を示す指標です。
- 健康な成人のSpO2正常値は96〜99%です。
- 95%未満は注意、90%未満は低酸素血症の目安です。
- 低い時の初期症状は息切れ、頭痛、倦怠感などです。
- 重症化するとチアノーゼ、意識障害が現れます。
- 緊急時は落ち着いて楽な姿勢を保ちましょう。
- 口すぼめ呼吸で呼吸を整えるコツがあります。
- 換気を行い、周囲の環境を整えることも大切です。
- パルスオキシメーターで数値を客観的に把握しましょう。
- 90%を下回る場合はすぐに医療機関を受診してください。
- 呼吸器系の病気が主な原因となることが多いです。
- 心臓や血管の病気も影響することがあります。
- 貧血や睡眠時無呼吸症候群も原因の一つです。
- 禁煙は血中酸素濃度を高める最も効果的な方法です。
- 適度な運動とバランスの取れた食生活も重要です。
