福岡市にお住まいの方、あるいはこれから福岡市への移住を考えている方にとって、「警固断層」という言葉は、少なからず不安を感じさせるかもしれません。福岡市直下を走る活断層として、その活動がもし起きたらどうなるのか、自分の住む場所は安全なのか、といった疑問や心配は尽きないものです。本記事では、警固断層がどのような断層なのか、想定される危険エリアはどこか、そして何よりも大切な、私たち自身が地震から身を守るための具体的な備えについて、詳しく解説します。
大切な家族や財産を守るための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
警固断層とは?福岡市直下を走る活断層の全体像

警固断層は、福岡市の地下深くに潜む、私たちの生活に大きな影響を及ぼす可能性のある活断層です。その存在を知り、特徴を理解することは、適切な防災対策を講じるための第一歩となります。
警固断層帯の基本情報と活動の歴史
警固断層帯は、玄界灘から博多湾、そして福岡平野を通り、筑紫野市に至るまで、およそ55kmにわたって北西から南東に伸びる活断層です。この断層帯は、大きく北西部と南東部に分けられます。特に福岡市の市街地直下を縦断しているのは南東部にあたり、その長さは約27kmとされています。地震調査委員会によると、警固断層帯南東部が一度に活動した場合、マグニチュード7.2程度の地震が発生すると想定されています。
また、この南東部の最新の活動時期は約4,300年前から3,400年前の間と推定されており、平均活動間隔は約3,100年から5,500年とされています。今後30年以内に地震が発生する確率は0.3%から6%と評価されており、これは日本の主要な活断層の中でも「Sランク」という、比較的高いグループに位置づけられています。
この高い発生確率と都市直下という立地が、警固断層が特に危険視される理由です。
2005年福岡県西方沖地震と警固断層の関係
2005年3月20日に発生した福岡県西方沖地震は、福岡市に大きな揺れをもたらし、多くの人々に地震の脅威を再認識させました。この地震はマグニチュード7.0で、福岡市中央区などで震度6弱を観測し、死者1名、重軽傷者1,200名以上、全半壊家屋約500棟という被害が出ました。この地震の震源は、警固断層帯の北西延長上にある玄界灘の海底断層でした。
地震調査委員会は、この2005年の地震活動が、陸域にある警固断層帯南東部の活動を促進する可能性も指摘しています。つまり、過去の地震が、将来の警固断層の活動に影響を与える可能性があるということです。このため、福岡市では、警固断層帯南東部での地震発生に対する警戒と備えが特に重要視されています。
警固断層地震の想定被害と危険エリアを知る

警固断層が活動した場合、福岡市内でどのような被害が想定され、特にどの地域が危険とされているのでしょうか。具体的な情報をもとに、ご自身の地域の危険度を把握することが大切です。
想定される地震の規模と揺れの強さ
警固断層帯南東部を震源とする地震が発生した場合、その規模はマグニチュード7.2程度と想定されています。この地震が発生すると、福岡市中心部の広い範囲で震度6強の激しい揺れに見舞われると予測されています。震度6強とは、立っていることが困難になり、固定していない家具のほとんどが移動したり転倒したりするほどの揺れです。
耐震性の低い木造家屋では倒壊の危険性が高まり、鉄筋コンクリート造の建物でも大きな被害を受ける可能性があります。福岡県が2012年に公表した被害想定では、死者約1,200人、建物全壊約1万8千棟という甚大な被害が試算されています。
特に揺れが強くなる「危険エリア」の具体的な特徴
警固断層の直上やその周辺地域は、特に揺れが強くなる「危険エリア」とされています。警固断層帯は、福岡市東区志賀島北西沖の玄界灘から博多湾、福岡市中央区、南区、春日市、大野城市、太宰府市を経て、筑紫野市に至る断層帯です。福岡市内の具体的な場所としては、地下鉄空港線の赤坂駅付近から、西鉄天神大牟田線の西鉄平尾駅、高宮駅、大橋駅あたりでは西鉄線沿いに並走し、九州新幹線や福岡都市高速環状線を横断する形で断層が走っています。
中央区のオフィス街や官公庁街、そして人口が密集する住宅街を抱える西鉄沿線は、特に注意が必要です。また、那珂川や御笠川沿いの福岡平野の地盤は軟弱であり、地震の揺れが増幅されやすい特性があるため、断層から離れていても揺れが強くなる可能性があります。
液状化の危険性が高いエリアとその影響
地震の揺れによって、地盤が液体のように振る舞う「液状化現象」も大きな被害をもたらす可能性があります。液状化が発生すると、地盤から水が噴き出したり、建物が傾いたり沈んだり、地下に埋設されたマンホールや配管が浮き上がったりします。福岡市では、埋立地や河川沿いの軟弱な地盤で液状化の危険性が高いとされています。
具体的には、博多湾沿いの埋立地や、那珂川、御笠川などの河川沿いの地域が該当します。福岡市は液状化危険度分布図を公開しており、ご自身の地域の液状化リスクを正確に把握することが可能です。液状化は建物の基礎に深刻なダメージを与えるため、液状化危険度の高いエリアにお住まいの方は、特に建物の耐震性だけでなく、地盤対策についても検討することが重要です。
ご自身の地域の危険度を正確に把握する方法

警固断層による地震の危険性を理解したら、次にご自身の住む地域の具体的な危険度を把握することが重要です。福岡市が提供するハザードマップを積極的に活用しましょう。
福岡市総合ハザードマップの活用方法
福岡市は、地震だけでなく、洪水や土砂災害など様々な災害リスクをまとめた「福岡市総合ハザードマップ」を公開しています。このマップは、オンラインで閲覧できるほか、各区役所でも配布されています。ハザードマップでは、警固断層帯南東部を震源とする地震が発生した場合の揺れやすさマップや、液状化危険度分布図を確認できます。
ご自宅や職場、お子さんの通学路などがどの程度の揺れに見舞われる可能性があるのか、液状化の危険性があるのかを具体的に把握することが可能です。マップを見る際は、凡例をよく確認し、色分けされた地域の意味を正確に理解するように努めてください。
揺れやすさマップと液状化危険度分布図の見方
揺れやすさマップは、地盤の状況と想定される地震の揺れの両面から評価し、震度別に色分けして表示されています。ご自身の住所を入力したり、地図を拡大したりすることで、ピンポイントで地域の揺れの強さを確認できます。赤やオレンジ色の地域は、特に強い揺れが想定されるため、注意が必要です。液状化危険度分布図も同様に、液状化の危険度を色で示しています。
これらのマップで「極めて高い」「高い」と表示されている地域では、地震発生時に地盤が液状化する可能性が高いことを意味します。マップを確認する際には、単に自宅の位置だけでなく、避難経路や避難場所までの道のりの危険性も合わせて確認しましょう。これらのマップを参考に、ご自身の地域の特性を理解し、具体的な防災対策を立てるための根拠とすることが大切です。
警固断層地震に備える!今すぐできる具体的な対策

警固断層による地震はいつ発生してもおかしくないと言われています。だからこそ、日頃からの備えが非常に重要です。今すぐできる具体的な対策を講じて、いざという時に備えましょう。
家庭でできる地震対策:家具の固定と非常用持ち出し袋
地震発生時に最も身近な危険となるのが、家具の転倒や落下です。タンスや食器棚、冷蔵庫などの大型家具は、L字金具や突っ張り棒などを使って壁にしっかりと固定しましょう。また、窓ガラスには飛散防止フィルムを貼ることで、ガラスの破片による怪我を防げます。非常用持ち出し袋は、家族の人数に合わせて準備し、水、食料(3日分以上)、常備薬、懐中電灯、ラジオ、携帯電話の充電器、簡易トイレなどを入れて、すぐに持ち出せる場所に保管してください。
定期的に中身を確認し、消費期限が切れていないか、電池が消耗していないかなどをチェックすることが大切です。
建物の耐震性を高める方法と補助制度
ご自宅の耐震性を高めることは、地震による被害を軽減するための最も効果的な方法の一つです。特に1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された「旧耐震基準」の建物は、現在の耐震基準を満たしていない可能性が高いため、耐震診断を受けることをおすすめします。福岡市では、旧耐震基準の住宅を対象とした耐震診断や耐震改修工事費の補助制度を設けています。
補助制度を活用することで、費用負担を抑えながら建物の安全性を高めることができます。新耐震基準の建物であっても、より安全性を高めるための補強や、地盤改良を検討することも有効です。専門家による診断を受け、ご自身の建物の状況に合わせた最適な耐震対策を進めることが、命と財産を守る上で非常に重要です。
家族で話し合う防災計画と避難場所の確認
地震はいつ、どこで発生するか予測できません。家族が離れている時に地震が発生することも考えられます。そのため、日頃から家族で防災計画を話し合い、いざという時の行動を確認しておくことが重要です。具体的には、地震発生時の安否確認方法、集合場所、連絡手段などを決めておきましょう。また、地域の指定避難場所や避難経路を事前に確認し、実際に歩いてみることも大切です。
福岡市は、各区の避難所一覧を公開しており、ご自宅から最も近い避難場所を把握できます。地域の防災訓練に積極的に参加し、防災意識を高めることも、いざという時に冷静に行動するために役立ちます。
福岡市が取り組む防災対策と支援策

福岡市は、警固断層による地震災害に備え、市民の安全を守るための様々な取り組みや支援策を実施しています。これらの情報を知り、活用することで、より安心して暮らすことができます。
福岡市の防災計画と地域での取り組み
福岡市は、警固断層帯での地震発生を想定し、市の防災計画を策定しています。この計画に基づき、市民への防災情報の提供、防災訓練の実施、避難所の整備など、多岐にわたる対策を進めています。特に、地震発生時に多くの帰宅困難者が発生すると想定される天神地区では、再開発プロジェクト「天神ビッグバン」で建設される新しいビルに、災害時の備蓄倉庫や一時滞在施設を設ける取り組みが進められています。
これにより、天神地区だけで2万人を超える帰宅困難者が出ると想定される中、一時的に滞在できる場所の確保が進んでいます。
耐震化支援制度や帰宅困難者対策
福岡市では、旧耐震基準の住宅の耐震化を促進するため、耐震診断や耐震改修工事に対する補助制度を設けています。これにより、費用面での負担を軽減し、市民が安心して耐震化に取り組めるよう支援しています。また、警固断層の直上や揺れやすい地域、高度利用されている区域の建築物に対しては、建築基準法で定める数値よりも高い設計地震力を求める条例を制定し、建物の安全性を高めるよう努めています。
帰宅困難者対策としては、天神地区のビルでの一時滞在施設確保のほか、複合レジャー施設などでも災害時の受け入れ体制を整えるなど、多様な場所での支援を強化しています。これらの市の取り組みを理解し、ご自身の状況に合わせて活用することが、防災力を高める上で重要です。
よくある質問

- 警固断層はなぜ危険視されているのですか?
- 警固断層の地震はいつ起こると予測されていますか?
- 福岡市で特に液状化しやすい地域はどこですか?
- 自宅が警固断層の近くにあるか確認する方法は?
- 地震発生時に取るべき行動は何ですか?
- 地震保険は必要ですか?
- 福岡市以外にも活断層はありますか?
- 2005年の福岡県西方沖地震と警固断層の関係は?
- 地震の揺れやすさは地盤によって変わりますか?
- 避難場所はどこで確認できますか?
警固断層はなぜ危険視されているのですか?
警固断層が危険視される主な理由は、福岡市の市街地直下を縦断している活断層であり、今後30年以内にマグニチュード7.2程度の地震が発生する確率が0.3%から6%と、日本の主要な活断層の中でも高いグループに属しているためです。また、過去の福岡県西方沖地震との関連性も指摘されており、都市直下型地震による甚大な被害が懸念されています。
警固断層の地震はいつ起こると予測されていますか?
警固断層帯南東部での地震発生は、今後30年以内に0.3%から6%の確率で起こると予測されています。これはあくまで確率であり、いつ発生してもおかしくないという認識を持つことが大切です。過去の活動間隔は約3,100年から5,500年とされていますが、2005年の福岡県西方沖地震がその活動を促進する可能性も指摘されています。
福岡市で特に液状化しやすい地域はどこですか?
福岡市では、博多湾沿いの埋立地や、那珂川、御笠川などの河川沿いの軟弱な地盤で液状化の危険性が高いとされています。福岡市が公開している「液状化危険度分布図」で、ご自身の地域の詳細なリスクを確認できます。
自宅が警固断層の近くにあるか確認する方法は?
ご自宅が警固断層の近くにあるか、またどの程度の揺れが想定されるかは、福岡市が提供する「福岡市総合ハザードマップ」で確認できます。揺れやすさマップや活断層の位置が示されており、住所を入力して検索することも可能です。
地震発生時に取るべき行動は何ですか?
地震発生時は、まず身の安全を確保することが最優先です。机の下に隠れるなどして頭を守り、揺れが収まるまで動かないようにしましょう。揺れが収まったら、火の始末をし、避難が必要な場合は落ち着いて行動します。日頃から家族で安否確認方法や集合場所を決めておくことも重要です。
地震保険は必要ですか?
地震保険は、地震による建物の損壊や家財の損害を補償するものです。火災保険では地震による損害は補償されないため、地震の発生リスクが高い地域にお住まいの方にとっては、加入を検討する価値は十分にあります。ご自身の資産状況や建物の耐震性などを考慮し、専門家と相談して判断することをおすすめします。
福岡市以外にも活断層はありますか?
はい、福岡県内には警固断層帯以外にも複数の活断層が存在します。例えば、宇美断層、西山断層帯、日向峠-小笠木峠断層帯などが知られています。福岡県防災ホームページなどで、県内の主な活断層に関する情報を確認できます。
2005年の福岡県西方沖地震と警固断層の関係は?
2005年の福岡県西方沖地震は、警固断層帯の北西延長上にある玄界灘の海底断層で発生しました。この地震は警固断層帯の一部が活動したものであり、地震調査委員会は、この活動が陸域の警固断層帯南東部の活動を促進する可能性も指摘しています。
地震の揺れやすさは地盤によって変わりますか?
はい、地震の揺れやすさは地盤の状況によって大きく変わります。一般的に、軟弱な地盤や埋立地は、固い地盤に比べて揺れが増幅されやすく、液状化の危険性も高まります。福岡市では、那珂川や御笠川沿いの福岡平野の地盤が軟弱であると指摘されています。
避難場所はどこで確認できますか?
福岡市内の指定避難場所は、福岡市総合ハザードマップや福岡県防災ホームページで確認できます。各区の避難所一覧が掲載されており、ご自宅から最も近い避難場所や、災害の種類に応じた避難場所を事前に把握しておくことが重要です。
まとめ
- 警固断層帯は福岡市直下を走る約55kmの活断層です。
- 南東部では30年以内にM7.2程度の地震発生確率が0.3~6%と高いです。
- 福岡市中心部では震度6強の激しい揺れが想定されます。
- 断層直上や軟弱地盤、埋立地は特に危険エリアです。
- 液状化は河川沿いや埋立地で発生リスクが高いです。
- 福岡市総合ハザードマップで地域の危険度を確認しましょう。
- 家具の固定や非常用持ち出し袋の準備は必須です。
- 旧耐震基準の建物は耐震診断と補強を検討しましょう。
- 福岡市は耐震化補助制度や帰宅困難者対策を実施しています。
- 家族で防災計画を話し合い、避難場所を確認しましょう。
- 地域の防災訓練に積極的に参加し、意識を高めることが大切です。
- 地震保険の加入も検討すべき重要な備えの一つです。
- 2005年福岡県西方沖地震は警固断層帯北西部で発生しました。
- 地盤の状況によって地震の揺れやすさは大きく異なります。
- 日頃からの備えが、いざという時の命と財産を守る鍵となります。
