「最近、自分の脈拍が気になる」「60代になったら、脈拍の正常値は変わるの？」そんな不安や疑問をお持ちではありませんか？年齢を重ねると、体の変化は誰にでも訪れるものです。特に心臓の健康は、日々の生活の質に大きく関わります。本記事では、60代の方々が安心して毎日を送れるよう、脈拍の正常値から正しい測り方、そして異常を感じた際の対処法まで、分かりやすく解説していきます。
60代の脈拍正常値を知る！健康な心臓の目安
60代に入ると、自身の健康状態への意識が高まる方も多いでしょう。脈拍は、心臓の健康状態を知るための大切な指標の一つです。まずは、ご自身の脈拍が正常な範囲にあるのかどうか、その目安を把握することから始めましょう。
安静時脈拍の基準値と年齢による変化
一般的に、成人の安静時脈拍数は1分間に60〜100回が正常値とされています。これは60代の方にも基本的に当てはまる基準です。しかし、一部の情報源では、高齢者の安静時脈拍は50〜70回/分とやや低めに設定されていることもあります。これは、年齢とともに体の代謝や活動量が低下し、心臓が以前ほど活発に動く必要がなくなるためと考えられます。
大切なのは、この数値が「目安」であるという点です。個人差が大きく、普段から運動習慣がある方は脈拍が低い傾向にあり、逆に運動不足の方は高めになることもあります。ご自身の平常時の脈拍を知っておくことが、健康管理の第一歩となります。
脈拍の正しい測り方と注意点
脈拍は、ご自宅で簡単に測ることができます。正確な数値を把握するためには、正しい測り方を知ることが重要です。最も一般的なのは、手首の親指側にある橈骨動脈（とうこつどうみゃく）で測る方法です。人差し指、中指、薬指の3本を軽く当て、脈拍を感じたら15秒間数え、その数を4倍すると1分間の脈拍数が出ます。より正確に測るには、1分間しっかり数えるのがおすすめです。
測る際の注意点としては、以下の点が挙げられます。
- 安静時に測る：運動後や入浴後、興奮している時などは脈拍が速くなるため、正確な値が出ません。リラックスした状態で、数分間座って落ち着いてから測りましょう。
- 楽な姿勢で測る：緊張すると脈拍が速くなることがあるので、ゆったりとした姿勢で測ることが大切です。
- 毎回同じ場所で測る：測定するたびに場所を変えると、数値にばらつきが出やすくなります。
スマートウォッチやスマートフォンアプリでも脈拍を測れるものがありますが、これらを利用する場合は、機器の使用方法をよく確認し、正しく使いましょう。日々の脈拍の変化を記録することで、ご自身の健康状態をより深く理解する助けになります。
脈拍が正常値から外れる原因と体に起こる変化
脈拍が正常値の範囲から外れると、「何か病気が隠れているのでは？」と不安になるかもしれません。脈拍の異常には、一時的なものから、注意が必要な病気が原因となっているものまで様々です。ここでは、脈拍が速い場合（頻脈）と遅い場合（徐脈）、そして不整脈について詳しく見ていきましょう。
脈拍が速い「頻脈」の場合：考えられる原因とリスク
安静時に脈拍が1分間に100回以上になる状態を「頻脈」と呼びます。一時的な頻脈は、運動や緊張、ストレス、発熱、脱水、カフェインの過剰摂取、アルコールの飲みすぎなど、生理的な反応として起こることがあります。しかし、これらの原因がないのに頻脈が続く場合や、動悸、息切れ、めまいなどの症状を伴う場合は注意が必要です。
心臓の病気（不整脈、心不全、心筋症など）や、甲状腺機能亢進症、貧血などが原因となっている可能性も考えられます。頻脈が続く場合は、心臓への負担が増し、心不全や脳梗塞のリスクが高まることもありますので、早めに医療機関を受診することが大切です。
脈拍が遅い「徐脈」の場合：考えられる原因とリスク
安静時に脈拍が1分間に60回未満になる状態を「徐脈」と呼びます。特にスポーツ選手のように持久力トレーニングを積んでいる方の場合、心臓が一度に送り出す血液量が多いため、脈拍が遅くても問題ないことが多く、「スポーツ心臓」と呼ばれます。しかし、運動習慣がないのに徐脈が見られる場合や、めまい、ふらつき、倦怠感、失神などの症状を伴う場合は注意が必要です。
これは、心臓の電気信号の異常（洞不全症候群、房室ブロックなど）や、特定の薬剤の副作用、甲状腺機能低下症などが原因となっている可能性があります。脳や全身への血流が不足し、日常生活に支障をきたすこともあるため、症状がある場合は医療機関での診察をおすすめします。
不整脈とは？60代で注意したい心臓のリズムの乱れ
不整脈とは、心臓の拍動のリズムが乱れる状態全般を指します。脈が飛んだり、不規則になったり、速すぎたり遅すぎたりと、様々なパターンがあります。健康な人でも一時的に不整脈が起こることはありますが、60代になると加齢に伴い心臓の機能が変化し、不整脈が起こりやすくなる傾向があります。不整脈の中には、命に関わる危険なものから、特に治療の必要がないものまで様々です。
動悸、胸の不快感、息切れ、めまい、失神などの症状がある場合は、心房細動や心室頻拍といった治療が必要な不整脈の可能性も考えられます。定期的な健康診断で心電図検査を受けるなどして、ご自身の心臓のリズムに異常がないか確認することが大切です。
60代から心がけたい！脈拍を整える生活習慣のコツ
健康な脈拍を維持するためには、日々の生活習慣が大きく影響します。60代からでも遅くはありません。心臓に優しい生活を心がけることで、脈拍を安定させ、より活動的な毎日を送るための土台を築くことができます。
適度な運動で心臓を強くする
適度な運動は、心臓を強くし、脈拍を安定させるために非常に効果的です。ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を週に数回、無理のない範囲で続けることがおすすめです。運動を継続することで、心臓が一度に送り出す血液量が増え、結果的に安静時の脈拍数が落ち着く傾向にあります。しかし、急に激しい運動を始めるのは避け、ご自身の体力や健康状態に合わせた運動量から始めることが大切です。
運動中に胸の痛みや息切れ、めまいなどの症状が出た場合は、すぐに中止して医師に相談しましょう。
バランスの取れた食生活で体を内側からケア
食生活は、心臓の健康に直結します。脈拍を整えるためには、バランスの取れた食事が欠かせません。具体的には、塩分の摂りすぎに注意し、野菜や果物、全粒穀物を積極的に取り入れることが推奨されます。また、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の多い加工食品を控え、魚や植物性のタンパク質を選ぶようにしましょう。カリウムやマグネシウムなどのミネラルは、心臓の機能をサポートする上で重要です。
加工食品を減らし、自然な食材を中心とした食事を心がけることで、心臓への負担を軽減し、脈拍の安定につながります。
ストレスを減らし質の良い睡眠をとる
ストレスや睡眠不足は、自律神経の乱れを引き起こし、脈拍の上昇につながることがあります。心身のリラックスは、脈拍を正常に保つ上で非常に重要です。趣味の時間を持つ、瞑想や深呼吸を取り入れる、友人との交流を楽しむなど、ご自身に合ったストレス解消法を見つけましょう。また、質の良い睡眠を十分にとることも大切です。
就寝前のカフェインやアルコールを控え、寝室の環境を整えることで、心身ともにリラックスし、安定した脈拍を保つことができます。規則正しい生活リズムを意識し、心と体の休息を大切にしてください。
こんな時は要注意！医師への相談が必要な脈拍のサイン
日々の脈拍チェックは、ご自身の健康状態を知る上で非常に役立ちます。しかし、中には自己判断せずに医療機関を受診すべきサインもあります。ここでは、どのような場合に医師に相談すべきか、具体的な目安をご紹介します。
脈拍の異常に気づいたらどうする？
もし、ご自身の脈拍が普段と明らかに違うと感じたら、まずは落ち着いてもう一度測り直してみましょう。その上で、以下のような症状や状態が見られる場合は、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
- 安静時にもかかわらず、脈拍が1分間に100回を大きく超える、または50回を下回る状態が続く場合。
- 脈拍が不規則で、リズムが乱れていると感じる場合（不整脈の可能性）。
- 動悸、息切れ、胸の痛み、めまい、ふらつき、失神などの症状を伴う場合。
- 手足のむくみや倦怠感が続くなど、全身の不調を感じる場合。
これらの症状は、心臓病や甲状腺の病気など、様々な疾患のサインである可能性があります。自己判断せずに、循環器内科などの専門医に相談し、適切な検査と診断を受けることが大切です。
定期的な健康診断の重要性
症状がなくても、定期的な健康診断は60代の方にとって非常に重要です。健康診断では、脈拍だけでなく、血圧や心電図、血液検査など、様々な角度から体の状態をチェックできます。これにより、自覚症状がない段階で病気の兆候を発見し、早期治療につなげることが可能です。特に心臓病は、早期発見がその後の治療の進め方や予後に大きく影響します。
年に一度は健康診断を受け、ご自身の体の変化に意識を向けるようにしましょう。もし、過去の健康診断で脈拍や心臓に関して指摘を受けたことがある場合は、かかりつけ医と相談し、定期的な経過観察を行うことが重要です。
よくある質問
- Q1: 60代の脈拍の平均値は？
- Q2: 60代の脈拍が100を超えるのは大丈夫？
- Q3: 60代の脈拍が50台は大丈夫？
- Q4: 脈拍が速いと何が悪い？
- Q5: 脈拍が遅いと何が悪い？
- Q6: 脈拍の測り方は？
- Q7: 不整脈の症状は？
- Q8: 心拍数と脈拍数の違いは？
- Q9: 脈拍を正常にするには？
Q1: 60代の脈拍の平均値は？
A1: 60代の安静時脈拍は、一般的に成人と同じく1分間に60〜100回が正常値とされています。ただし、高齢者の場合は50〜70回/分を正常範囲とする見方もあります。個人差が大きいため、ご自身の平常時の脈拍を知ることが大切です。
Q2: 60代の脈拍が100を超えるのは大丈夫？
A2: 安静時に脈拍が1分間に100回を超える場合は「頻脈」と呼ばれます。一時的なら問題ないこともありますが、続く場合や、動悸、息切れ、めまいなどの症状を伴う場合は、心臓への負担や病気の可能性も考えられるため、医師に相談しましょう。
Q3: 60代の脈拍が50台は大丈夫？
A3: 安静時に脈拍が1分間に60回未満の場合は「徐脈」と呼ばれます。運動習慣のある方にはよく見られますが、めまい、ふらつき、倦怠感、失神などの症状がある場合は、心臓の電気信号の異常など病気が隠れている可能性もあるため、医療機関を受診してください。
Q4: 脈拍が速いと何が悪い？
A4: 脈拍が速い状態が続くと、心臓に過度な負担がかかり、動悸、息切れ、めまいなどの症状が現れることがあります。また、心不全や脳梗塞のリスクが高まる可能性も指摘されています。
Q5: 脈拍が遅いと何が悪い？
A5: 脈拍が遅すぎると、脳や全身に十分な血液が送られなくなり、めまい、ふらつき、倦怠感、失神などの症状を引き起こすことがあります。重症の場合は、生命に関わる危険性もあります。
Q6: 脈拍の測り方は？
A6: 手首の親指側にある動脈に人差し指、中指、薬指の3本を軽く当て、15秒間脈拍を数え、その数を4倍すると1分間の脈拍数が出ます。安静時にリラックスした状態で測ることが重要です。
Q7: 不整脈の症状は？
A7: 不整脈の症状は様々ですが、動悸（ドキドキする、脈が飛ぶ、脈が乱れる）、胸の不快感、息切れ、めまい、ふらつき、失神などが挙げられます。自覚症状がない場合もあります。
Q8: 心拍数と脈拍数の違いは？
A8: 心拍数は心臓が1分間に拍動する回数、脈拍数はその拍動が末梢の動脈に伝わる回数です。通常は同じ数値を示しますが、不整脈など心臓のリズムに異常がある場合は、心拍数と脈拍数が一致しないことがあります。
Q9: 脈拍を正常にするには？
A9: 脈拍を正常に保つためには、適度な運動、バランスの取れた食生活、ストレス管理、十分な睡眠といった健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
まとめ
- 60代の脈拍正常値は成人と同じく60〜100回/分が目安です。
- 高齢者では50〜70回/分を正常範囲とする見方もあります。
- 脈拍は手首の動脈で簡単に測れます。
- 安静時にリラックスして測ることが正確な測定のコツです。
- 脈拍が100回/分以上は頻脈と呼ばれます。
- 脈拍が60回/分未満は徐脈と呼ばれます。
- 頻脈や徐脈には病気が隠れている可能性があります。
- 不整脈は心臓のリズムが乱れる状態です。
- 動悸、息切れ、めまいなどの症状があれば医師に相談しましょう。
- 適度な運動は心臓を強くし脈拍を安定させます。
- バランスの取れた食生活で心臓への負担を減らしましょう。
- ストレスを減らし質の良い睡眠も重要です。
- 心拍数と脈拍数は通常同じですが、不整脈では異なることがあります。
- 定期的な健康診断で心臓の健康をチェックしましょう。
- ご自身の平常時の脈拍を把握することが大切です。